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23.

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コンコン

アロンへの想いを自己完結させていると部屋の奥にあるドアがノックされる。

先程、エリーさんが言っていた部屋をつなぐドア。
私が立ち上がりドアの前まで行こうとしたら、リナがそれを静止する。


「カロリーナさん。エリーです。そろそろ入学式の会場に行こうと思うのですが、準備は大丈夫ですか?」

ドア越しにエリーさんが声を掛ける。

「えっえぇ…もうそんな時間ですか?」

私が慌てて時計を見ると、入学式まではまだ時間に余裕がありそうでホッとする。


リナがドアを開けると同時にエリーさんはドアの隙間からヒョコッと顔を出してニコリと笑う。

「入学式の行う会場まではここから少し距離があるので、少し早いですがそろそろ行きましょう」

そう言ってエリーさんはピョコンと横飛びで私の部屋の方に入ってくると可愛らしく首をコテっと軽く傾げる。


…ウサギ?

えっ…何?何?何なの?

この人…行動の一つ一つが可愛すぎる。

狙っている?狙ってやってるよね?
自分が可愛いのが分かってやっているよね。絶対。

女の私ですら今、キュンってなりましたよ。

なんだろう…この同じ女としての敗北感というか…



……真似してみようかしら

いやいや。無理ね。私には無理。


この方は可愛いだけではない。
惑わされてはダメよ。


「ココット様…いえ。ココット。カロリーナ様を惑わせる様な行動は謹んでください」

「えっ?惑わす?そんな事…「わたくしとココットの事はカロリーナ様にお伝えしました。」

「……」
「……」

リナとココットが睨み合うように見つめあう。

リナはエリーさんの“案内役”だったのよね?何故睨み合い?

ただならぬ雰囲気ですが…


「なぁんだ。言ってしまったの?どこまで?」

んっ?どこまで???

は隠す事は御座いませんから」

「ふーん。そっか。そうよね」

「……」
「……」

再び2人は無言で見つめ合う。

2人は仲が悪いのかしら?

2人のただならぬ雰囲気にわたしが戸惑っていると、エリーさんは急にこちらを向いて少し悲しげに眉を寄せて笑みを浮かべる。

「カロリーナさん。驚かしてごめんなさい。別に隠そうとした訳ではないんです。私のだったリナさんがカロリーナさんのをしてるなんて。こんな偶然、驚きすぎてつい知らんぷりしちゃいました。リナさんもごめんなさい。きちんとご挨拶すべきでしたよね」

そう言ってエリーさんはシュンと肩を落とす。

耳っっ。垂れたうさ耳が、見えるっっ


そんなエリーさんをリナは呆れ顔で見つめる。

うーん…2人の関係性がいまいちわからない。
案内役と新入生として仲良しだった…って訳ではなさそうね。

でも、リナもエリーさんも同じ様な事を言うのね。
そのあたりは似たもの同士?なのかも…

でも、驚きすぎてお互い知らんぷりなんて…そんな事あるのかしら。

2人の関係性がいまいち分からないけど、馴れ合う様な雰囲気は全く無いし、余り仲が宜しくないのかも?人間には合う人、合わない人っているものよね…

ここはあまり突っ込まない方がよさそうね。


「いえ…私もこんな偶然があるのかとビックリしました」
「ええ。本当にビックリですよね」

「だからこそお2人共、私の事は気にしないで昔の様に接して下さい。リナにも言いましたが、コソコソされるとそっちの方が気になってしまうので」


私が満面の笑みでそう言うと、エリーさんは目を見開いてからニッコリ笑って「ええ」と答えた。
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