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話をかわされて、モヤモヤした気持ちのまま先を進むエリーさんについて行く。

先程と違って会話はない。

気まずいわ…

早まったかしら…
でも、今更後悔しても仕方ない。
聞かなかったら聞かなかったでずっとモヤモヤしてしまうんだから。


「着きましたよ」

そして、しばらく歩いてたどり着いたのは薔薇の庭園に囲まれた美しいレンガ作りの建物だった。

「綺麗…」

思わず言葉が漏れてしまう。
そんな私を見て、エリーさんは優しく微笑む。

「ここが乙女寮ローズになります。手前が1棟、奥にあるのが2棟になります」


寮の中に入ると、とても綺麗に手入れされていて生活には不自由しなさそうでホッとする。

寮の中をしばらく進むと1つの部屋の前でエリーさんは足を止める。

「204号室。ここがカロリーナさんの寮室になります。私は隣の203号室で、203と204号室は室内が鍵のない扉で繋がっていますので自由に行き来出来る様になっています。慣れないかもしれませんが、プライベートはキチンと守りますので1年生の間は我慢してくださいね。」

そう言ってエリーさんは私に部屋の鍵を渡す。

「2、3年生は以外は完全個室で、4年生になると今度は案内役となり再びこの様な半個室になります。この乙女寮ローズ2棟は1年生と案内役の専用寮です。乙女寮ローズ1棟は個室の2、3年生の寮になります。

この学園にある寮は全てで8つ。『乙女寮ローズ‘1棟’‘2棟’』『乙女寮リリィ‘1棟’‘2棟’』『紳士寮イージス‘1棟’‘2棟’』『紳士寮ウィング‘1棟’‘2棟’』となります。それぞれの寮が東西南北に配置されていて、その中心に校舎があります。そして、この乙女寮ローズは“東の寮”となりますので、迷ったらまず校舎から東に進めば寮にはたどり着きますよ。

ああ…あと、各寮に使用人専用の部屋がありますので“”はそちらでお休みになってくださいね」

「かしこまりました」

何事もなかった様に淡々と話を進めるエリーさん。
この方は…可愛らしい見た目に反してかなりの強者だわ。


「カロリーナさんは大丈夫ですか?ここまでで何か不明点や不安な事はないですか?」


不明点や不安な事?

ありますよっっ
大ありですよっっ

でもここで楯突いたところでエリーさんは何も答えないでしょう…

「大丈夫です。ご親切にありがとうございます」

私はお得意の貼り付けた笑みをエリーさんに向けると、エリーさんには一瞬驚いた表情をしてからクスっと笑う。

「そうですか。まぁ分からないことがあったらその都度遠慮なく聞いてください。でお答えしますから」


答えられる範囲でね…

人を見かけで判断してはダメね。
この方はかなり黒い部分裏の顔をお持ちのようだわ。

「わかりました。ありがとうございます」
「…フフ。では、入学式はちょうど一刻後になります。私も準備がありますのでこれで一度失礼しますね」

エリーさんは私対してに可愛らしい笑みを浮かべると、再びリナの方チラリと見てこの場を去って行く。


「……」

先程から気になっていたのだけど、エリーさんはなんだかリナを気にしていません?


新入生の私よりも侍女のリナを…?

…なぜ?
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