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15、現実は厳しい
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自分の気持ちに正直にやっていこうと決めたは良いけど、実際何をしていけば良いのでしょうか?
相手は一国の王太子。
私は皇女とはいえ国も違うしすぐ会える相手ではありません。
当たって砕けろとは思いましたが、そもそもどう当たれば良いのかが分からないのが実情です。
リラと話した後、騎士団の訓練から帰ってきたゲイル兄様にも私の気持ちを全て話しました。
何かしら協力者は必要ですからね。
ゲイル兄様はなんやかんや文句を言いながらも私の協力者になってくれるはずです。
話を聞いたゲイル兄様は呆れ返っていましたが、1年の期間限定でその後しっかり自身の身の振り方をキチンとする事を伝えると渋々ながらも納得してくれました。
ゲイル兄様は私がお母様から逃げ回って皇族として…皇女としての勤めを疎かにして、ハッキリしない私の行動に頭を悩ませていた様なので、一歩前進か…と複雑ながらも少しホッとした顔をしていました。
ゲイル兄様の話だとケンビット様には今、国内外から沢山の縁談が来ている様です。
当たり前ですよね。
地位はもちろんの事、あんなに素敵な方ですもの。
私が縁談の申し込みをする事は…まぁ不可能ですね。
メイル兄様もお母様も許すはずがありませんし、ドイル国も流石に受け入れないでしょう。
私はそもそもライバルも多い中、圧倒的に不利だし本当に頑張り様が分からない…
とりあえず何かきっかけを作らないと何も始められません。
きっかけ…
きっかけかぁ…
何も浮かんでこない。
そんな感じで何も手立てもなく何も出来ないまま同盟式典から気づけば2ヶ月が経ってしまいました。
やる気の空回り。
自分の無力さを感じます。
メイル兄様にケンビット様に会わせて貰える様に協力を仰ぐ事が1番の近道ですが、それは1番やってはいけない事の様な気がして思い留まっています。
まぁ。メイル兄様が素直に会わせてくれるとも思いませんし…
こんなんじゃ何もできないまま、あっという間に1年経ってしまいます。
意気込んでみたものの正直このまま諦めた方が一番いいのかもしれない。そんな考えも頭に浮かびますが、どうも踏ん切りがつかなくて困る。
私は普段は決断力がある方なのですがこの件に関してはどうも判断ができません。
これが恋というものなのでしょうか…
リラから借りた恋愛小説をペラペラとめくっているけど状況が状況なだけに内容が全く頭に入って来ない。
「ティナ様…かなりお疲れの様ですが大丈夫ですか?」
そんな私に侍女のサリーが心配そうに声を掛けてくれる。
もちろんサリーにも全てを話してある。
「大丈夫よ。ちょっと感傷に浸っているだけよ。」
「あまり思い詰めるのも身体に良くないですよ。」
サリーはそう言って私にお茶を用意してくれる。
私はそのお茶をいただきながら盛大にため息をつく。
「やっぱ現実は厳しいなと痛感するわ。」
「…確かに現実は物語の様に物事は進みません。でも、事実は小説より奇なりといいますし、これから先の未来なんて誰も知りえません。」
サリーは空いたカップにお茶を注ぎ足しながらお茶菓子を差し出す。
「前向きに捕らえればね。でも今は何も為す術がないのよ。」
「ティナ様には他の誰にもない秘密兵器があるではないですか。」
「他の誰にもない秘密兵器?」
私が首を捻るとサリーはニッコリと笑みを浮かべる。
「ティナ様のそういう企みのない所は本当に素敵だと思います。」
「企みのないって…」
「ティナ様は自身の目的の為に周りの人を巻き込む事はあっても決して使う様な事はしないではないですか。」
「どうゆう事?」
「時には周りの人を自身の都合の良い様に使わせて頂くと言う事もアリではないかと…」
サリーの言っている事がいまいち分からないけど、なんとなくよからぬ事を言っている様な気がして軽く睨んでしまう。
「あっ。悪い意味でではないですよ。参考にさせて頂くって感じで…」
参考にする?
「誰を?」
「アエリア様です。」
アエリア様…
「アエリア様は王太子殿下の元婚約者でしたし、王太子殿下の想い人なのであればアエリア様を知って参考にされたら良いのではないですか?」
サリーの言葉に目から鱗が落ちる。
アエリア様…お義姉様が帝国に来て2ヶ月。
何度かお話もさせて頂きましたが、とても勤勉で優しい方です。
常に自分がどうあればいいか考えて行動をしていて頭の良い方だと思いますが、自分を表に出すのが苦手な方なのかな…とも感じます。
常に自身で抱え込むタイプというか…なんでも1人で頑張ろうとしている様に見えます。私はすぐに曝け出して人に助けを求めてしまうので逆なタイプだと思います。
現在、お義姉様は帝国の歴史を学ばれているのですが、分からない事があると書庫に行き自ら調べています。
私なら分からない事があれば調べるよりも先に近くの人に聞いてしまいますからね。
お母様も最初は思う所が少なからずあった様ですが、もう今ではお義姉様がお気に入りで事あるごとに私に『アエリアを見習う様に…』と言って来ます。
現時点ケンビット様にお会いする手立てがない中で、私に出来る事と言ったらケンビット様の好みを把握する事かもしれない。
いや…それよりもお義姉様を味方に付ければ色々と道が開かれるのでは?
お義姉様を味方につけて、ケンビット様といつかお会い出来た時に何か共通の話題でお話できたらかなりポイント高いですよね。
お義姉様ともう少し積極的にお話をしてみたいですが、そうなるとやっぱりメイル兄様がネックです。
お義姉様が帝国に来てからメイル兄様のお義姉様に対する溺愛は見ていてこちらが恥ずかしくなる位です。
時間があれば常に2人でいる姿を見掛けます。
メイル兄様が離さないといった形でしょうか…中々お義姉様に時間をとってもらうのは難しいのですよね。
ゆっくりお話をしてみたいですし、お茶にでもお誘いしようかしら。
うん。思い立ったら吉日。
とりあえずお誘いしてみましょう。
「サリー。アエリアお義姉様にお茶会の招待状を送るわ。準備してくれる?」
「かしこまりました」
サリーは待ってましたと言わんばかりにニッコリ笑って準備を始める。
メイル兄様の事が心配ですが…
まぁ何とかなるでしょう…
相手は一国の王太子。
私は皇女とはいえ国も違うしすぐ会える相手ではありません。
当たって砕けろとは思いましたが、そもそもどう当たれば良いのかが分からないのが実情です。
リラと話した後、騎士団の訓練から帰ってきたゲイル兄様にも私の気持ちを全て話しました。
何かしら協力者は必要ですからね。
ゲイル兄様はなんやかんや文句を言いながらも私の協力者になってくれるはずです。
話を聞いたゲイル兄様は呆れ返っていましたが、1年の期間限定でその後しっかり自身の身の振り方をキチンとする事を伝えると渋々ながらも納得してくれました。
ゲイル兄様は私がお母様から逃げ回って皇族として…皇女としての勤めを疎かにして、ハッキリしない私の行動に頭を悩ませていた様なので、一歩前進か…と複雑ながらも少しホッとした顔をしていました。
ゲイル兄様の話だとケンビット様には今、国内外から沢山の縁談が来ている様です。
当たり前ですよね。
地位はもちろんの事、あんなに素敵な方ですもの。
私が縁談の申し込みをする事は…まぁ不可能ですね。
メイル兄様もお母様も許すはずがありませんし、ドイル国も流石に受け入れないでしょう。
私はそもそもライバルも多い中、圧倒的に不利だし本当に頑張り様が分からない…
とりあえず何かきっかけを作らないと何も始められません。
きっかけ…
きっかけかぁ…
何も浮かんでこない。
そんな感じで何も手立てもなく何も出来ないまま同盟式典から気づけば2ヶ月が経ってしまいました。
やる気の空回り。
自分の無力さを感じます。
メイル兄様にケンビット様に会わせて貰える様に協力を仰ぐ事が1番の近道ですが、それは1番やってはいけない事の様な気がして思い留まっています。
まぁ。メイル兄様が素直に会わせてくれるとも思いませんし…
こんなんじゃ何もできないまま、あっという間に1年経ってしまいます。
意気込んでみたものの正直このまま諦めた方が一番いいのかもしれない。そんな考えも頭に浮かびますが、どうも踏ん切りがつかなくて困る。
私は普段は決断力がある方なのですがこの件に関してはどうも判断ができません。
これが恋というものなのでしょうか…
リラから借りた恋愛小説をペラペラとめくっているけど状況が状況なだけに内容が全く頭に入って来ない。
「ティナ様…かなりお疲れの様ですが大丈夫ですか?」
そんな私に侍女のサリーが心配そうに声を掛けてくれる。
もちろんサリーにも全てを話してある。
「大丈夫よ。ちょっと感傷に浸っているだけよ。」
「あまり思い詰めるのも身体に良くないですよ。」
サリーはそう言って私にお茶を用意してくれる。
私はそのお茶をいただきながら盛大にため息をつく。
「やっぱ現実は厳しいなと痛感するわ。」
「…確かに現実は物語の様に物事は進みません。でも、事実は小説より奇なりといいますし、これから先の未来なんて誰も知りえません。」
サリーは空いたカップにお茶を注ぎ足しながらお茶菓子を差し出す。
「前向きに捕らえればね。でも今は何も為す術がないのよ。」
「ティナ様には他の誰にもない秘密兵器があるではないですか。」
「他の誰にもない秘密兵器?」
私が首を捻るとサリーはニッコリと笑みを浮かべる。
「ティナ様のそういう企みのない所は本当に素敵だと思います。」
「企みのないって…」
「ティナ様は自身の目的の為に周りの人を巻き込む事はあっても決して使う様な事はしないではないですか。」
「どうゆう事?」
「時には周りの人を自身の都合の良い様に使わせて頂くと言う事もアリではないかと…」
サリーの言っている事がいまいち分からないけど、なんとなくよからぬ事を言っている様な気がして軽く睨んでしまう。
「あっ。悪い意味でではないですよ。参考にさせて頂くって感じで…」
参考にする?
「誰を?」
「アエリア様です。」
アエリア様…
「アエリア様は王太子殿下の元婚約者でしたし、王太子殿下の想い人なのであればアエリア様を知って参考にされたら良いのではないですか?」
サリーの言葉に目から鱗が落ちる。
アエリア様…お義姉様が帝国に来て2ヶ月。
何度かお話もさせて頂きましたが、とても勤勉で優しい方です。
常に自分がどうあればいいか考えて行動をしていて頭の良い方だと思いますが、自分を表に出すのが苦手な方なのかな…とも感じます。
常に自身で抱え込むタイプというか…なんでも1人で頑張ろうとしている様に見えます。私はすぐに曝け出して人に助けを求めてしまうので逆なタイプだと思います。
現在、お義姉様は帝国の歴史を学ばれているのですが、分からない事があると書庫に行き自ら調べています。
私なら分からない事があれば調べるよりも先に近くの人に聞いてしまいますからね。
お母様も最初は思う所が少なからずあった様ですが、もう今ではお義姉様がお気に入りで事あるごとに私に『アエリアを見習う様に…』と言って来ます。
現時点ケンビット様にお会いする手立てがない中で、私に出来る事と言ったらケンビット様の好みを把握する事かもしれない。
いや…それよりもお義姉様を味方に付ければ色々と道が開かれるのでは?
お義姉様を味方につけて、ケンビット様といつかお会い出来た時に何か共通の話題でお話できたらかなりポイント高いですよね。
お義姉様ともう少し積極的にお話をしてみたいですが、そうなるとやっぱりメイル兄様がネックです。
お義姉様が帝国に来てからメイル兄様のお義姉様に対する溺愛は見ていてこちらが恥ずかしくなる位です。
時間があれば常に2人でいる姿を見掛けます。
メイル兄様が離さないといった形でしょうか…中々お義姉様に時間をとってもらうのは難しいのですよね。
ゆっくりお話をしてみたいですし、お茶にでもお誘いしようかしら。
うん。思い立ったら吉日。
とりあえずお誘いしてみましょう。
「サリー。アエリアお義姉様にお茶会の招待状を送るわ。準備してくれる?」
「かしこまりました」
サリーは待ってましたと言わんばかりにニッコリ笑って準備を始める。
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まぁ何とかなるでしょう…
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