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43話

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 嬉しいほどの晴天。
 雨は嫌いだしせっかく遠出してもらうのに悪天候だと乗り気でなくなってしまうから、よかったと安堵する。
 女子なら何時間も掛けて服を選ぶのだろうが俺はてきとーに選んだ。
 長袖のシャツに黒のジャンパー。
 紺色のジーンズ。
 以上。
 オシャレはよくわからない。
 それはそうと待ち合わせ時間より少し早く来てしまった。
 スーパーでお菓子のコーナーをぶらつき、グミとかラムネとかをいくつかレジに通す。
 彼が何を好きかなんて知らないけど、口に含めるようなものがあった方がいいのではと思った。
 なんとなく買ったぶどうの飴を舐め、彼からの連絡を待った。 
 五分くらい経つと、 彼から着信があった。
 この前下ろした辺りに来いと言われ、俺は小走りにそこに向かった。
 止まっていたのはいつもの車とは違うもので一応確認しようと車内をチラっと覗き込んだ。
 まぁ案の定乗ってたのは寿人さんだった。
 早く乗れとジェスチャーで伝えられ俺は後ろのドアを開けた。
 
 「こんにち……」

 「なんだ、前乗れよ」

 「あっ、はい。すいません……」

 慌てて寿人さんの隣に座り直した。
 彼は俺を見るとふふ、と笑った。

 「なんですか……」

 「いや、いつもそんな感じの服着てんのかなって。ブランドとか興味無い感じだな」

 「悪かったですね」

 「ごめんって、気にしてねぇよ。それより、行きたいとこ決めたか?」

 「本当にどこでもいいんですよね?」

 「お、おう。許容範囲ならどこでも行ってやる」
 
 それを聞くと、俺はすぐにスマホの画面を見せた。
 
 「駄目ですか?」

 寿人さんは驚いているだろう。
 当たり前だ。
 俺が行きたいと伝えたのは、山だからだ。
 それも田舎の方の。
 星が綺麗に見えるところに行きたい。

 「奏、ロマンチストなのか。知らなかったわ」

 「いや、そうじゃなくて!少し落ち着きたくて……」

 そういうと、彼は納得したように頷いた。

 「わかった、行ってやる。でもまあまあ遠いぞ?暇じゃないか?」

 「いいんです。どうにかします」

 「ならいいんだが。じゃ、行くか」

 彼はアクセルを踏んだ。
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