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Lesson.4 ヒロイン封じと学園改革
72.ウェスペル家の休日5
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カイルがノックされたドアを開けると、先ほど別れたばかりのフレエシアと目をギラギラとさせたマギア教授が立っていた。
「お二人ともどうされたのですか?」
「ごめん。調剤で忙しいのは分かっているんだけど、聞きたいことがあって。」
「カイル君、このチョコレートの材料を全部描き出してくれる?」
マギア教授は、マリーが作った薬膳チョコレートが一粒だけ入った箱をずいっとカイルの顔先に突き出した。
「これは、マリーの?
昨日作っていたものなら、材料はすべて把握しています。
とりあえず、お二人とも中へどうぞ。」
狭いながらも整理整頓の行き届いたカイルの研究室へ通される。
「あいかわらず綺麗にしているね。」
フレエシアが感心する。
「皆さんそうおっしゃるのですが、普通ですよ?
よろしければ、こちらにお掛けください。」
二人に椅子を進めるカイル。
カイルは、研究棟でも“きちんとしすぎている人”として、知られている。
だが、本人はいたってマイペースだ。
「それで、そのチョコレートですが、マリーがウェスペル家の皆さんのために特別に作った薬膳チョコレートです。
実は、今日調剤用の薬草が足りなかったのも、そのチョコレートに貴重な薬草をふんだんに使ったからだったのです。」
「え、そんなに薬草が入ってるの?
全然わからなかった。
だって普通においしいよ?」
薬草や生薬というと、独特なにおいや苦みがあり、おいしいと思えるものは滅多にない。
「そこが、マリーのすごいところなのです!
どんなに風味の薬草でも、きちんとおいしいと思える黄金の配合を見つけ出して、チョコレートにしてしまうのですよ。
そのチョコレートのメインともいえる薬草は、苦みの強い『ルーン草』です。
『ルーン草』は、滋養強壮はもちろん、美肌・美髪にも効果があると言われているのです。」
「それに、魔力強化の薬でもある。
だが、ルーン草はかなり希少な薬草だ。
この国には生息していないからな。
さすが、ハモンド家だ。」
急にキリっとしたマギア教授が解説をし始めた。
「確かに、古には『ルーン草』で魔力強化をしていたそうです。
しかし、現代では魔法や魔力自体が衰退しているので、その効果を知る人はあまりいません。
それに本当に苦いので、誰も飲みたがらないのです。
魔力関連の薬草に興味がおありですか?
それでしたら、そのチョコレートには魔力効率化の効果がある『クトの実』と魔力節約効果のある『ヨンオウの葉』も少々入っていました。
もっとも、マリーは『クトの実』は疲労回復と風味付け、『ヨンオウの葉』も美容と香りづけのために入れたのだと思いますが……。」
「どれも最高級の薬草じゃないか……。
これ一箱で家が建つんじゃないか……?」
マギア教授は目を見開きながら、最後の一個になってしまったチョコレートの箱を見つめる。
「恩人であるウェスペル家の皆様のためでしたので、父も秘蔵の薬棚からいろいろと出してきていましたよ。」
「とにかく、さっきの現象の原因がわかった!
この魔法に特化したチョコレートを使えば、あの手紙にどんな力が隠されているのか鑑定できるぞ。
しかし、あとチョコレートは一つしかないから、確実に結果を出すために協力をお願いしたい人がいるんだ。
フレエシアちゃんも付いてきて!」
興奮気味のマギア教授は、フレエシアの手を引っ張るようにして、カイルの研究室を出ていく。
「カイル、ありがとう!」
慌ててフレエシアがお礼を言うと、カイルはまたもや深々とお辞儀をして二人を見送ったのだった。
「お二人ともどうされたのですか?」
「ごめん。調剤で忙しいのは分かっているんだけど、聞きたいことがあって。」
「カイル君、このチョコレートの材料を全部描き出してくれる?」
マギア教授は、マリーが作った薬膳チョコレートが一粒だけ入った箱をずいっとカイルの顔先に突き出した。
「これは、マリーの?
昨日作っていたものなら、材料はすべて把握しています。
とりあえず、お二人とも中へどうぞ。」
狭いながらも整理整頓の行き届いたカイルの研究室へ通される。
「あいかわらず綺麗にしているね。」
フレエシアが感心する。
「皆さんそうおっしゃるのですが、普通ですよ?
よろしければ、こちらにお掛けください。」
二人に椅子を進めるカイル。
カイルは、研究棟でも“きちんとしすぎている人”として、知られている。
だが、本人はいたってマイペースだ。
「それで、そのチョコレートですが、マリーがウェスペル家の皆さんのために特別に作った薬膳チョコレートです。
実は、今日調剤用の薬草が足りなかったのも、そのチョコレートに貴重な薬草をふんだんに使ったからだったのです。」
「え、そんなに薬草が入ってるの?
全然わからなかった。
だって普通においしいよ?」
薬草や生薬というと、独特なにおいや苦みがあり、おいしいと思えるものは滅多にない。
「そこが、マリーのすごいところなのです!
どんなに風味の薬草でも、きちんとおいしいと思える黄金の配合を見つけ出して、チョコレートにしてしまうのですよ。
そのチョコレートのメインともいえる薬草は、苦みの強い『ルーン草』です。
『ルーン草』は、滋養強壮はもちろん、美肌・美髪にも効果があると言われているのです。」
「それに、魔力強化の薬でもある。
だが、ルーン草はかなり希少な薬草だ。
この国には生息していないからな。
さすが、ハモンド家だ。」
急にキリっとしたマギア教授が解説をし始めた。
「確かに、古には『ルーン草』で魔力強化をしていたそうです。
しかし、現代では魔法や魔力自体が衰退しているので、その効果を知る人はあまりいません。
それに本当に苦いので、誰も飲みたがらないのです。
魔力関連の薬草に興味がおありですか?
それでしたら、そのチョコレートには魔力効率化の効果がある『クトの実』と魔力節約効果のある『ヨンオウの葉』も少々入っていました。
もっとも、マリーは『クトの実』は疲労回復と風味付け、『ヨンオウの葉』も美容と香りづけのために入れたのだと思いますが……。」
「どれも最高級の薬草じゃないか……。
これ一箱で家が建つんじゃないか……?」
マギア教授は目を見開きながら、最後の一個になってしまったチョコレートの箱を見つめる。
「恩人であるウェスペル家の皆様のためでしたので、父も秘蔵の薬棚からいろいろと出してきていましたよ。」
「とにかく、さっきの現象の原因がわかった!
この魔法に特化したチョコレートを使えば、あの手紙にどんな力が隠されているのか鑑定できるぞ。
しかし、あとチョコレートは一つしかないから、確実に結果を出すために協力をお願いしたい人がいるんだ。
フレエシアちゃんも付いてきて!」
興奮気味のマギア教授は、フレエシアの手を引っ張るようにして、カイルの研究室を出ていく。
「カイル、ありがとう!」
慌ててフレエシアがお礼を言うと、カイルはまたもや深々とお辞儀をして二人を見送ったのだった。
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