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Lesson.3 学園生活の始まりが、悪役令嬢の始まり
22.フレエシアとディナルド
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次の日、フレエシアはいつもよりも早めに学園へ登校すると、自分の研究室がある研究棟とは正反対に位置する鍛錬所へ赴いた。
そこでは、親友のディナルドが毎朝一人で剣の鍛錬をしている。
ウェスペル家と対をなす公爵家の次男であるディナルド・ルーナノワは、フレエシアと同じ16歳。
小さなころからフレエシアと共に行動し、学園へも共に入学した。
幼馴染の二人は、いつも一緒にいるのが当たり前になっている。
「おはよう。」
フレエシアの声で剣の素振りを止めたディナルドは、「おう」と挨拶を返した。
フレエシアから冷たいジュースを受け取ると、一気に飲み干す。
「ちょっとそこで待ってろ」と言われ、フレエシアはベンチに腰掛ける。
座りながらぼんやりとディナルドを待っていると、中庭の方から枯れ葉が風に吹かれて飛んできて、フレエシアの足元にふわりと落ちる。
そろそろ秋も終わると、枯れ葉が告げているようだった。
着替えを済ませたディナルドが、フレエシアの横にどかっと座る。
「どうした? 朝からわざわざこんなとこまで来て。」
「ディナルドは、殿下方が来年度から学園に入学してくることを知ってる?」
「ああ、兄上に聞いたよ。
お前の妹たちも一緒に入学するんだろ?」
「そうなんだ。だけど、一つ心配なことがあって……。」
ディナルドには日記帳のことは伏せて、リーリウムが視察で出会ったアイリのこと、
もしかするとその子が編入してくるかもしれないことを話した。
「その子の殿下に対する態度が無垢……というかあからさますぎて、リーリウムが心配をしているんだ。
殿下にも危害が及ぶかもしれないし、ディナルドに話しておこうと思って。」
宰相を歴任し“知”を武器とするウェスペル家に対して、ルーナノワ家は代々王国の軍事部門を担い騎士団を統括している。
ディナルドも学園を卒業すると同時に近衛騎士団へ入隊し、ゆくゆくは団長になることが約束されていた。
「そうか。そんな小娘一人で何ができるかわからんが、気にしておこう。」
「うん。ありがとう。」
「それより、楽しみだな。妹。」
「うん。いっしょに学園へ通える日が来るなんて思ってもなかった。」
フレエシアは公爵令嬢としては変わり者だったため、同年代の友人はディナルドくらいしかいない。
下位貴族の子女ばかりの学園では、憧れられはしても、友だちはついにできなかった。
その姿を隣で見ていたディナルドは、妹たちとの学園生活を誰よりもフレエシアが楽しみにしていると分かっていたのだ。
(妹たちとの学園生活を邪魔させるわけにはいかないな。)
隣のフレエシアの横顔を見つめながら、ディナルドはそんなことを考えていた。
「じゃあ、私はこれでいくよ。
実は午後からリーリウムが研究室にくるから、少し片づけておかなきゃいけないんだ。」
「そうか。リーリウムが来るまでに片づけ終わるとも思えないけど、まあがんばれよ。」
「うーん。がんばってみる。」
フレエシアはディナルドのおでこにそっと口づけをして、ベンチから立ち上がる。
「じゃあ。」
「おう。」
短い別れの言葉をかけあって、それぞれの用事を済ませるためにその場を離れた。
そこでは、親友のディナルドが毎朝一人で剣の鍛錬をしている。
ウェスペル家と対をなす公爵家の次男であるディナルド・ルーナノワは、フレエシアと同じ16歳。
小さなころからフレエシアと共に行動し、学園へも共に入学した。
幼馴染の二人は、いつも一緒にいるのが当たり前になっている。
「おはよう。」
フレエシアの声で剣の素振りを止めたディナルドは、「おう」と挨拶を返した。
フレエシアから冷たいジュースを受け取ると、一気に飲み干す。
「ちょっとそこで待ってろ」と言われ、フレエシアはベンチに腰掛ける。
座りながらぼんやりとディナルドを待っていると、中庭の方から枯れ葉が風に吹かれて飛んできて、フレエシアの足元にふわりと落ちる。
そろそろ秋も終わると、枯れ葉が告げているようだった。
着替えを済ませたディナルドが、フレエシアの横にどかっと座る。
「どうした? 朝からわざわざこんなとこまで来て。」
「ディナルドは、殿下方が来年度から学園に入学してくることを知ってる?」
「ああ、兄上に聞いたよ。
お前の妹たちも一緒に入学するんだろ?」
「そうなんだ。だけど、一つ心配なことがあって……。」
ディナルドには日記帳のことは伏せて、リーリウムが視察で出会ったアイリのこと、
もしかするとその子が編入してくるかもしれないことを話した。
「その子の殿下に対する態度が無垢……というかあからさますぎて、リーリウムが心配をしているんだ。
殿下にも危害が及ぶかもしれないし、ディナルドに話しておこうと思って。」
宰相を歴任し“知”を武器とするウェスペル家に対して、ルーナノワ家は代々王国の軍事部門を担い騎士団を統括している。
ディナルドも学園を卒業すると同時に近衛騎士団へ入隊し、ゆくゆくは団長になることが約束されていた。
「そうか。そんな小娘一人で何ができるかわからんが、気にしておこう。」
「うん。ありがとう。」
「それより、楽しみだな。妹。」
「うん。いっしょに学園へ通える日が来るなんて思ってもなかった。」
フレエシアは公爵令嬢としては変わり者だったため、同年代の友人はディナルドくらいしかいない。
下位貴族の子女ばかりの学園では、憧れられはしても、友だちはついにできなかった。
その姿を隣で見ていたディナルドは、妹たちとの学園生活を誰よりもフレエシアが楽しみにしていると分かっていたのだ。
(妹たちとの学園生活を邪魔させるわけにはいかないな。)
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「じゃあ、私はこれでいくよ。
実は午後からリーリウムが研究室にくるから、少し片づけておかなきゃいけないんだ。」
「そうか。リーリウムが来るまでに片づけ終わるとも思えないけど、まあがんばれよ。」
「うーん。がんばってみる。」
フレエシアはディナルドのおでこにそっと口づけをして、ベンチから立ち上がる。
「じゃあ。」
「おう。」
短い別れの言葉をかけあって、それぞれの用事を済ませるためにその場を離れた。
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