350議席の軌跡

①2017年衆議院議員選挙

第２０議席・大阪２区の三つどもえ

　大阪では【次期官房長官】の平野雄太元環境相が目を輝かせていた。


　「皆様！ひらの～、平野雄太をよろしくお願いします！！」


　平野は２０００年の総選挙から一貫して前回の２０１４年まで６連続で当選している実力者。父親の地盤というのもあるがやはり本人の実力はいうまでもない。


　「(必ず、もう一度閣僚に！！)」


　しかしそんな平野にも対抗する相手は居る。同じ小選挙区の鍵村徳縺元国土交通相である。ましてや暴言連発の平野に対して鍵村は国会での温厚な姿勢が有権者から好印象を抱かれており、実は平野はこの選挙で当選確実どころか意外とギリギリの立場のようだ。


　「(・・・よりによって選挙活動開始直後から鍵村氏の評判が・・・)」


　実は選挙前はスポンサーや地盤という点からも平野は当選がほぼ確実とされていた。しかし立場が厳しくなったのは彼のこれまでの暴言がテレビで取り上げられてしまったからである。勿論取り上げられたのは彼だけではなく他にもたくさん居るが平野の発言は別格で気がつけば【小選挙区当選確実】から【比例区での当選の可能性】に下がっていたのだ。


　「(まさかこのタイミングで発言を・・・いや、俺は正しい！！世間は発言の意味を取り違えている！！)」


　こんな調子の平野ではあったがやはりスポンサーも多く、実績があるのも確か。さあ浅野は二つの城に切り込むことが出来るのだろうか・・・！？



　ー大阪市内ー

　ここ最近、評価がうなぎのぼりのハト議員・鍵村徳縺元国土交通相は長年のパートナーである元衆院議員(三世議員)の【小山こやま親大ちかひろ】元文部科学相の応援を受けていた。


　「皆様、私がこの日本に光を差し込ませるよう頑張りますので清き一票をよろしくお願いします！」


　鍵村もまた日本の未来を見据えて頑張っていた。しかしこの二人に対して浅野は勝機があるのだろうか・・・？



　ー大阪市内ー

　浅野靖広候補は元閣僚経験者を前に厳しい戦いが・・・と思われていたがここに来て大変な事態となっていたのだ。


　「え！？俺への支持率が増えてる！？」


　愛読する【中部日本新聞】によると浅野への支持率が二人を少し抜いていたのだ。さらにその記事の見出しのタイトルが『新人候補が二人の元閣僚を倒すか？』である。


　「このまま！勝ち進む！」


　浅野は脳裏に浮かべていた。元閣僚二人を倒して国政に挑戦する自分の姿を・・・！