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32*微

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      ジークバルト

 ハルの誕生日は、無事終えることが出来た。
 ハルは、嬉しかったんだろう。
 ずっと笑顔で、可愛いかった。
 
 騎士団の団長や、皇国軍の軍団長も来ていたが、ハルを見て、いつもは厳つい顔をしているのに、相好を崩していたから、少し圧をかけてやった。
 途端、サッと青ざめて、厳つい顔に戻るグッと身体に力を入れたのがわかって、
ふんって鼻で笑ってやった。
 それを見ていたレオに、大人げない、と肩を叩かれる。
 反対に、レオも同じ事するだろ?と返すと、当たり前だ。って、おい、人に大人げないって言うなよ!
 
 ハルは、来てくれた人達、一人一人にお礼を言っていた。
 ハルがいた所では、それが当たり前なんだろうか?
 ここでは、そんな事はない。
 まして、使用人までもお礼をしていた。
 知らない人の所には、俺の手を引いて、この方は?と聞いて、ちゃんと名前を聞いて、挨拶とお礼を言っていた。
 皆、それに感激して逆にお礼を言われハルがワタワタしてるのが、可愛くて笑ってたら、お前、笑えたんだなぁ!良かったなぁってカイル達にバシバシと、背中を叩かれ、痛かった。

 それから、ハルはお礼にと、ピアノを弾いた。
 何度聞いても、やはりハルのピアノは素晴らしい。それは皆同じな様で、聞いた事がある人は、うっとりとし、始めて聞いた人は、涙を流す人もいれば、感動して胸を押さえる人が多くいた。
 ハルが弾き終わると、鳴り止まない拍手に、ハルはニコリとしていたが、終わらない拍手に、困り顔で俺の方を見るので、俺は苦笑しながら、場を納めた。
 それから、2人で結婚する事を報告する。
 番だから当然と思ってる人達に、俺は自分の思いを話す。
 ハルの居場所を作ってやりたい、ここがハルの家だよ。ちゃんと帰って来れる場所だよ。と。
 この国に来たばかりで不安もあるだろう
が、ハルが笑って過ごしてもらえるように皆も、協力して助けて欲しいと。

 皆は、拍手をしながら、ウンウンと頷きハルは、涙をこぼしながら、皆に向けて頭を下げた。

 俺は、ハルを抱きしめ、涙を拭いてやる
ハルはニコリと微笑んで、ジークありがとう、と、俺を抱きしめ返した。

 そんな幸せな時間を過ごす事が出来た事に感謝して、ハルの誕生日は過ぎていった

 終わる時に、見送りに出た俺達に、
「おめでとう」「幸せにな」
 と、声を掛けてくれた人達に、ハルが
 「今日が結婚式だったみたいだね!」
 「本当にな。でも、本番は、まだ先になりそうだけどいい?」
 「いつでもいいよ。だって、もういつも一緒だもん。もう僕の中で、ジークは永遠の伴侶だもの。」
 こんなかわいい事言われたら我慢なんて出来ない。
 素早くハルを抱きしめ部屋に向かう。

 扉を閉めた瞬間、ハルにキスをする。
軽いキスから、少しだけ先に進める。

 ハルの小さな口に、自分の舌をそっと入れる。ハルがビクッと動いたが、構わず俺の舌をハルの舌に絡ませていく。
 始めは、縮こまった舌を出してやるように、優しく撫でる。恐る恐る舌を絡ませて来たので、それをジュッと吸ってやると、またビクッとなる。
 それが可愛くて、何度も吸う。
 段々と力が抜けて、ん、とか、ふぁ、とか声が漏れ始め、その声に興奮が押さえきれない。
 ハルの頭を支えながら、丁寧に歯列を舐めて、また舌を絡ますと、ハルも俺の真似っこして、舌を吸ってくれる。
 もう、本当に気持ちがいい。
 これだけで、射ってしまいそうになる。
 不味い、、ここまでにしよう。
 そう思ってハルから口を離して、ハルの口から溢れた唾液を舐めてやる。
 ハルは恍惚とした表情で、ハクハクしてる。少し涙目だ。
 「嫌だった?」
 首を横に軽く振りながら
 「ん、いやじゃ、ない、気持ち、よかった、、」
 舌が回らないのか、少し呂律が怪しい。
 「ハル、愛してる。」
 そう言って、抱きしめる腕を強くする。
 しばらく余韻に浸っていたが、ふと、ハルを見ると、スースーと、寝てた。
 疲れたよな。
 ハルはなんて事ないって感じで対応してるけど、きっと精神的に負荷はかかっているんだろうな。
 この世界に来て、まだ数日。
 その数日の間に色々な事があって、あんな小さな体が負担にならない訳がない。
 俺の腕の中で安心して寝てる顔を見るたび、安堵の息が漏れる。
 ハルが安心出来る場所を与える事が出来るのは、俺だけだ。
 そう思うだけで、胸が熱くなり、泣きそうになる。
 何度も、愛してる。の言葉を送りながら
 ハルの顔中にキスをする。

 そして、ハルをベッドへ寝かせる。

 そのまま、寝かせてやりたいが、風呂はどうする?
 起こすのも躊躇われる。
 よし、軽く拭いてやって着替えさせるか。

 セシルを呼んで、湯とタオルと着替えを用意してもらう。
 セシルがお手伝いしましょうか?と言ってくれたが、断って俺がする。

 優しく顔から、拭いてやる。
 顔から首にかけて、拭くと服を脱がせるシャツのボタンを外し、白い肌が見えて、あまりに綺麗で、手が止まる。
 思わず、そっと撫でてしまう。
 あぁぁ駄目だ!
 平常心、頑張れ!俺!
 が、ズボンを脱がし、下着はどうする?
 んーんー、俺が我慢出来なくなるから、そのままでいい!うん!そうだ!
 だから、そのまま寝着を履かせた。

 気持ち良さそうに寝てるハルに、軽くキスをして、俺は、そのまま風呂に直行し、身支度をして、ハルの横に滑り込み、そっと抱きしめた。
 おやすみハル、夢でも会えるといいね。
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