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       15、蓮

要さんが、真剣な顔で、
「驚かないで、聞いてくれないか?」

なんて言うから、僕の胸は壊れそうなくらい、バクバクしてる。

「俺は、蓮君が好き……なんだ。本当に、どうしようもなく、好きだ。恋愛対象としてなんだけど、蓮君は、俺の事きらい?」

えっ!要さん、何言ってるの?
要さんが僕の好き?
ありえない!
嘘だ!僕の事好きだなんて。

「要さんの事、嫌いな訳ない!」
「蓮君……じゃどう思ってる?」
「要さん、からかわないで。」
「からかってなんかない!本当に好き。大好き。」

本当に?

「僕、僕も……要さんの事好き……でも、だめだよ。」

苦しい。涙が出て止まらない。
嬉しいのに、、、

「蓮君、泣かないで。」
要さんは、僕の涙を指で払う。

「本当に好き?俺の事、好き?」
「うん…好き……大好き。」
要さんが僕を抱きしめてくれる。
僕は、涙が止まらない。
「蓮君……蓮…もう泣かないで…うん?」
僕を抱きしめる腕を緩めると、要さんは、優しくキスをした。
何度も、何度も、角度を変えて、キスをしてくれる。
おでことおでこを、合わせて笑い合う。
「蓮…蓮…俺の蓮……愛してる。」
そう言いながら、顔中にチュッチュと、キスをしまくる。

僕は、ただただ幸せだった。
要さんは、僕が落ち着くまで、ずっと抱きしめてくれた。
要さんの腕の中は、心地良くて、子供に戻ったようだった。
あぁ、本当に幸せだよ。
もう、この腕の中から、出たくない。

「要さん。ありがとう。こんな僕の事、好きになってくれて。もう、このまま死んでもいいくらい。」
僕がそう言うと、
「蓮!!」
要さんが強く僕を呼ぶ。
ビクッとして、「はい!」と、返事をすると、
「蓮…どうしてそう言う事を言うの?こんな僕とか、死んでもいい……なんて、絶対ダメ!!」
そう言って、僕の顔を見て、優しい笑顔になって、
「蓮、蓮は、いい子だよ。優しくて可愛くて、心が綺麗。そんな蓮だから、好きになったんだよ。今までこんな気持ちになった事はない。だから、蓮がおじさんになっても、ヨボヨボのおじいさんになっても、一緒にいたい。だから、俺と長生きするんだからね!」
「ありがとう要さん。もう言わない。自分を大切にするね。でも、要さん。褒めすぎだから!要さんだって、カッコイイし、優しいし、一緒にいて凄く楽しい。僕もこんなに人を好きになった事ないよ。」

僕は、要さんの頬にキスを返した。
要さんが、
「両思いだね?」
僕も、
「うん、両思いだね。」
2人で微笑み合う。

要さん、大好き!

その後、施設を出て、沢山話をしながら、家に着く。

そして、なにより、叔父さんには、報告しないと。

要さんが、僕達が両思いになった事を、話てくれた。
叔父さんは、凄く喜んでくれて
「蓮をよろしくお願いします。これまで大変な事があって、なかなか自分の気持ちを表には出せずに、つらい思いをして来た蓮を、今度は、誰よりも幸せにしてやって下さい。蓮が幸せになる事が、私の望みなんです。」
そう、叔父さんが言ってくれて、僕はまた涙が止まらない。
「叔父さん、ありがとう。僕、要さんと幸せになりたい。」
「うん、幸せになりなさい。」
要さんが
「必ず、幸せになります。一緒に。」
「あぁ、ありがとう。蓮をよろしく。」

要さんが、
「蓮、お誕生日おめでとう。」
と、僕に花束をくれた。
僕は、花束を作ったりするけど、貰った事はないから、凄く感動して、何度も
「ありがとう。」
と、感謝を伝えた。要さんは、
「本当は、会った時に渡そうと思ってたんだけど、告白の事で頭が一杯になって、遅くなってしまった。ごめんね?」
「ううん。嬉しい!本当にありがとう。」

そうして、この日は、別れた。
僕が、きっと寂しそうに見えたんだろう
「蓮?要さんと、離れるのは寂しい?」
「うん、寂しい。でも、明日また会えるから。大丈夫。さ、叔父さん、家の中に入ろう?この花束も飾らなくちゃ!」
「そうだな。良かったな。蓮。」
「うん!」
早速、僕は花束を花瓶に移し替えた。
一気に部屋の中が明るくなった気がした。
その日の夜は、幸せの気持ちのまま、夢の中に入っていった。



次の日、僕は元気よく会社に向かった。

受付の人達に、ニコニコ笑顔で挨拶をすると、
「おはよう、蓮君。何かいい事あったのかな?今日も可愛いわね。」
「はい。凄くいい事があったんです。でも内緒!」
「ふふっ、そう。良かったわね。また、帰りに寄ってね?」
「はい。また後で。じゃ!行ってきます」
色々な人と、挨拶をしながら、要さんの部屋に着く。
扉をノックしようとすると、扉が開いて、要さんがいた。
「蓮!おはよう!んー今日も可愛い!」
僕を抱きしめる。
「要さん。おはようございます。え、えっと、要さん?花が潰れちゃうよ?」
「あっ!ごめんね。嬉しくて!」
要さんが、そっと離れ……てくれない。
んーっと、どうしようかな?
すると、
「ゴホッゴホッン!」
と、わざとらしい咳払いが聞こえた。
橘さんが
「おはようございます。蓮君。そちらの引っ付いてるのは、うちの社長でしょうか?」
「あっ!橘さん。おはようございます。すみません。」
「橘!俺と蓮は、もう離れないからな!」
「いや、バカなんですか?いや、バカですね。」
「はぁぁ?バカとはなんだ!バカとは!」
「蓮君、バカは置いといて、花の方よろしくお願いしますね。」
「あ、はい!わかりました!」
僕は、要さんに、
「要さん、僕、お仕事するね。」
と、要さんから離れて、水場に向かった。

要さんと、橘さんが、何か言い合いをしてるのが、可笑しくて、僕は笑った。
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