え?何これ?

もっちドーナッツ

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2話「体育祭」①

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「おい、来実くるみお前今日から俺に話しかけんな」

  そう、安藤冬架あんどうとうかに朝方冬架の家の廊下で言われた。突然で頭に?マークを浮かべる。

「仕方ねーだろ。今日から体育祭の練習始まって俺のファンが増える大切な期間なんだからよ」

  意味不明なことを照れながらいいながら、冬架は私に念を押して先に登校してしまった。真っ白な頭でリビングに戻ると、

「ごめんね、あの子去年のこと思い出して来実ちゃんにゴタゴタに巻き込みたくないって思ってるみたい」

  いやいやいや、あいつが私にそんな女の子扱いしてくれるわけないじゃん。そういえば、去年って言えば…
上級生のファンの人達に呼び出されたりしたっけ。でも、全然痛くもかゆくもなかったけど、だって呼び出すってことは冬架に自分をよく見せたくて邪魔な私を排除したいって理由だから、私が万知まちに妬いて妬いて苦しかった時のことを思い出したらなんだか可愛く思えちゃったし。
  彼女たちとは仲良くしたいなーって思ってるとこだったんだけど三年生だったから卒業しちゃって残念だったな。
  って!私、何他の子と同じ立場でいいなんて思ってんの!私は、冬架に女の子として扱ってもらって成就することが一番重要なんだから!しかも、半年間しか時間ないんだから!

  私が教室に着いて椅子に腰を下ろした時、同じクラスであり、先に出たはずの冬架の姿は見当たらなかった。ホームルームまであと10分もなかったのに。

「来実ちゃん、おはよう。今日の放課後大丈夫だった?」

  私が鞄の中から筆記用具だのなんだのを取り出していた時、友人の菜種美夜なたねみよが声をかけてきた。今日の放課後体育祭の準備の担当になった二年生同士で集まれるかのことだと思う。

「うん。美夜ちゃんは?」

「もっちろん。だって、井塚いつかくんも来るんだよ?行かないと損しかないし!」

「そっかあ。美夜ちゃん、井塚くんのこと好きだもんね」

「うん!大好き」

  井塚っていうのは、4組にいるカッコいい男の子で冬架と並んで人気がある生徒である。私は冬架にしか興味ないけど、友人が別の人を好きっていうのは結構大切である。だって、友人同士で好きな人同じなんて取り合いにあって苦い感情しか生まれないし、違う人を好きってことは友人のことを素直な気持ちで応援できるので安心なのだ。

「でも、安藤くんと別々になって残念だねえ。練習で間近で見れるのはすっごい羨ましいけど」

  そうなのだ。冬架とは担当が異なってしまったのだ。なんだったか…応援担当だっけ?途中までは準備担当だったのに、いつの間にか他の担当になってたみたいで本当に残念だったのだ。美夜ちゃんのいう通り、同じクラスの特権は体育中に間近で冬架を見れること。体育中もクラスの女子や合同で一緒になた他クラスの女子がキャーキャー言ってるけど、怖い怖い体育教師の前なのでいつもより声は小さめだし、ファン同士で喧嘩になってるのは今のところないみたいだ。

  私が冬架に片思いしてるって知ってるのはこの学校だと、友人の美夜ちゃんだけなので去年上級生に呼び出された以外は何かちょっかい出されたことはないのだ。
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