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第四章 帝との約束
3つの鍵4
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綺麗に折りたためられたシルクのようなその羽衣は、柔らかく私を迎えてくれた。
——これが二つ目の《鍵》
間違いない、思った通りだ。
かぐや姫の末裔ならこれで空を飛べる筈。
私は箱から『天の羽衣』を取り出すと首から下げた。
中心がふわりと弧を描くように空に浮かびあがり、体が包まれた。
私は一つ目の箱を抱えると、目を閉じて集中した。
もう、水は腰まで浸かった。
できる、絶対飛べる。
かぐや姫、私に力を下さい、月夜はあなたの末裔です!
「お待ちしてました。一緒に空へ向かいましょう」——かぐや姫の声だ! 確かに聞こえた!
そして私は空に向かって浮かんだ。
出口の穴の中を月に向かって浮かんだ。
ドドドー!
一気に水かさが増すと、洞窟の小部屋が完全に浸水した。
ほっ。
安堵しながら地上へと向かう、だが、問題は《三つ目の鍵》だ。
これからどうなるのだろう? まさか《鍵》は二つ? そんな事はない筈だ記憶に間違いはない。
鍵は三つだ!
そして地上へ出た。
皇居の中庭らしい。
足元の穴が一瞬で閉じる、お屋敷と一緒だ。
どれが《鍵》なんだ。
不思議に思っていると、天の羽衣の浮力がなくなった。
「きゃあああああ」
どん!
その場に尻餅を着いた。
と、何十人もの警官隊が取り囲んでいた。
皇宮警察だ! 光を見つけて集まったんだ。
「捕えろ! 」
隊長が叫ぶと私は手足が動かなくなった。
取り押さえられた。
しまった!
「お前は何者だ! どうやって光る穴から出て来たんだ! それよりなんで庭が光って穴が開いたんだ? 」
隊長が戸惑いながらそう言った。
「………」
「そして閉まっちゃった。なんだこれ、なんだこれ! いったい全体どういう仕組みだ??? 」
「………」
「おい、説明して貰おうか、コソ泥め」
威嚇するように言った。
「………」
どうしよう………
「一体その箱はなんだ! 何を持っている? 何を盗んだんだ????? 」
「………」
「答えられないなら留置所まで来てもらうぞ、どうするかは檻の中で考えな、連れて行け! 」
『了解』
手足を持つ警官隊が力を入れる。
ああ、駄目だ!
と、その時だった。
「お待ちなさい」
どこまでも届くような透き通った声が聞こえた。
高貴で落ち着いた口調だった。
——これが二つ目の《鍵》
間違いない、思った通りだ。
かぐや姫の末裔ならこれで空を飛べる筈。
私は箱から『天の羽衣』を取り出すと首から下げた。
中心がふわりと弧を描くように空に浮かびあがり、体が包まれた。
私は一つ目の箱を抱えると、目を閉じて集中した。
もう、水は腰まで浸かった。
できる、絶対飛べる。
かぐや姫、私に力を下さい、月夜はあなたの末裔です!
「お待ちしてました。一緒に空へ向かいましょう」——かぐや姫の声だ! 確かに聞こえた!
そして私は空に向かって浮かんだ。
出口の穴の中を月に向かって浮かんだ。
ドドドー!
一気に水かさが増すと、洞窟の小部屋が完全に浸水した。
ほっ。
安堵しながら地上へと向かう、だが、問題は《三つ目の鍵》だ。
これからどうなるのだろう? まさか《鍵》は二つ? そんな事はない筈だ記憶に間違いはない。
鍵は三つだ!
そして地上へ出た。
皇居の中庭らしい。
足元の穴が一瞬で閉じる、お屋敷と一緒だ。
どれが《鍵》なんだ。
不思議に思っていると、天の羽衣の浮力がなくなった。
「きゃあああああ」
どん!
その場に尻餅を着いた。
と、何十人もの警官隊が取り囲んでいた。
皇宮警察だ! 光を見つけて集まったんだ。
「捕えろ! 」
隊長が叫ぶと私は手足が動かなくなった。
取り押さえられた。
しまった!
「お前は何者だ! どうやって光る穴から出て来たんだ! それよりなんで庭が光って穴が開いたんだ? 」
隊長が戸惑いながらそう言った。
「………」
「そして閉まっちゃった。なんだこれ、なんだこれ! いったい全体どういう仕組みだ??? 」
「………」
「おい、説明して貰おうか、コソ泥め」
威嚇するように言った。
「………」
どうしよう………
「一体その箱はなんだ! 何を持っている? 何を盗んだんだ????? 」
「………」
「答えられないなら留置所まで来てもらうぞ、どうするかは檻の中で考えな、連れて行け! 」
『了解』
手足を持つ警官隊が力を入れる。
ああ、駄目だ!
と、その時だった。
「お待ちなさい」
どこまでも届くような透き通った声が聞こえた。
高貴で落ち着いた口調だった。
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