上 下
88 / 113
第三章 ボラン島と月夜姫

憎っくき鬼塚原左門二3

しおりを挟む
『はいルナ、聞こえる』

「え、月菜女王様、この声は月菜女王様じゃありませんか? 」

『そうよ、難しい話は後で月夜に聞いて頂戴、正確には月夜の体を借りた魂です』

「魂………」

『今は時間が無いの、いいルナまずは坑道にバックでリムジンを入れて、トランクの冷蔵庫を人体を冷蔵庫保存できる温度に設定して今すぐ冷やして、それと49日間のタイマーを起動させてカウントダウンを始めて、よろしく』

「了解しました」

 白いリムジンはルナの遠隔操作で起動すると、倒れている翁じいの横を通ってバックで坑道に突っ込んだ。バックミラーが弾け飛び、テールランプが岩にぶつかって割れてボディが傷だらけになるが、とにかく、物凄いスピードで坑道を進んで来ている。

 ガガガガガガ!

 私の頭の中でママが語りかけてきた。

「月夜よく聞いて、鉄ちゃんの魂は心臓が止まると同時にショックで体を離れました。つまり死にました。でも、49日間は現世に留まっています、それを過ぎて天国へいくともう体には戻れません」
「………」
「私たちの設計は完璧です。それはパパが手伝ってくれたお陰もあります」
「パパ、パパはどうしているの? 」
「今も私の横にいて月夜をちゃーんと見守っていますよ」
「そうなの! 」
「もちろんです。パパはいつも一生懸命な月夜を誇りに思っています」
「嬉しい」

「さあ、月夜、後はなにをすればいいのか分かりますね」

「うん」

「月夜なら、必ず全ての装置を動かせます。自分を信じて、鉄ちゃんを助けるのです。それができるのは月夜姫ただ一人です」

「やる、絶対やってやる」

 もう泣くもんか、私は腕で涙を拭った。
 ママが微笑んだ気がした。
 キキキー、リムジンがバックで到着した。

『ルナ、トランクを開けて鉄ちゃんを収納して』
「了解しました月菜女王様」
 リムジンのトランクが開くと、アームが飛び出し、鉄ちゃんの体をトランクの冷蔵庫に収納した。

『出発して、翁じいを車に乗せて外で待ってて』

「了解しました」

 と、リムジンは外に向かって走り出した。

「月夜、大事な物を忘れないで」
 ママが私にそう言った。
「分かった」

 そしてイガジウム採取ポットを、で手に持った。

「さあ行きなさい、私はあなたの体から離れないといけません、こうしていられるのはほんの少しの時間です。頑張るんですよ、大切な人は自分で護るのです」

 と、ママが離れようとした時、ペンダントが光ってルナの声がした。

「月菜女王様、一つだけ教えて下さい」

『なに? 』

「なぜ、こういう事ができるのですか? 」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

11 Girl's Trials~幼馴染の美少女と共に目指すハーレム!~

武無由乃
ファンタジー
スケベで馬鹿な高校生の少年―――人呼んで”土下座司郎”が、神社で出会った女神様。 その女神様に”11人の美少女たちの絶望”に関わることのできる能力を与えられ、幼馴染の美少女と共にそれを救うべく奔走する。 美少女を救えばその娘はハーレム入り! ―――しかし、失敗すれば―――問答無用で”死亡”?! 命がけの”11の試練”が襲い来る! 果たして少年は生き延びられるのか?! 土下座してる場合じゃないぞ司郎!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

プリンセスソードサーガ

黒巻雷鳴
ファンタジー
勇者が世界を救った平和な時代。小国のうら若き姫君シャーロットは、強引に侍女のドロシー、レベッカ、ハルたち三人とメイドのアリッサムも加えた少女騎士団を結成する。だが、冒険の旅へと出発したその矢先、暗黒神を崇拝する邪教絡みの事件に巻き込まれてしまい──。 ※無断転載禁止です。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

化け物バックパッカー

オロボ46
SF
自分ノ触覚デ見サセテヨ、コノ世界ノ価値。写真ヤ言葉ダケデナク、コノ触覚デ。  黒いローブで身を隠す少女は、老人にそう頼む。  眼球代わりの、触覚を揺らしながら。  変異体。  それは、“突然変異症”によって、人間からかけ離れた姿となった元人間である。  変異体は、人間から姿を隠さなければならない。  それが出来なければ、待つのは施設への隔離、もしくは駆除だ。  変異体である少女に、人間の老人はこう答える。 お嬢さんはこの世界の価値を見させくれるのか?  ここは、地球とそっくりに創造された星。  地球と似た建物、地形、自然、人々が存在する星。    人間に見つからないように暮らす“変異体”が存在する星。  世界に対して独自の考えを持つ、人間と変異体が存在する星。  バックパックを背負う人間の老人と、変異体の少女が旅をする星。  「小説家になろう」「カクヨム」「マグネット」と重複投稿している短編集です。各話の繋がりはあるものの、どこから読んでも問題ありません。  次回は9月19日(月)を予定しています。 (以前は11日の公開予定でしたが、事情で遅れての公開になってしまいました……) ★←このマークが付いている作品は、人を選ぶ表現(グロ)などがある作品です。

処理中です...