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第三章 ボラン島と月夜姫

掘って掘って掘り進め1

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 イガジウムセンサーの反応を見ながら、島の中心部へと入っていくと、草原の外れに岩山があって、センサーの音が大きくなった。
 車もこれ以上進めそうもない。
「どうもこの岩山の下にありそうですね」
 ルナママの声が車内に響いた。

「よし! 行こう! 」
 鉄ちゃんが意気揚々と道具を担いで車の外にでた。

「うん」

 私も続いて外にでた。

「よーし、せーのー」
 鉄ちゃんが掛け声とともにツルハシを地面に振り下ろす。
 現場から連れてきたから、ヘルメットにタンクトップ、作業ズボンに安全靴、もうバッチリだ。

「ほれ! 」
 グサっ、
「ほい」
 グサっ!
「とりゃ」
 グサっ!

「あーあー鉄ちゃん大丈夫、大丈夫、手で掘らなくていいよ」
 私は慌てて鉄ちゃんを止めた。
「だって月夜ちゃん、ユンボも重機もないのにどうするの??? 」
 不思議そうだ。
「鉄ちゃん頼もしー、でも、掘削機を出しますぞ」
 後から降りてきた翁じいが嬉しそうにそう言った。

「そんなのどこにあるの? 」

 辺りを見回す鉄ちゃん。

「じゃあルナ掘削機の準備を」
「翁じい了解です」
 ルナママの声が聞こえる。

 バン!
 トランクが自動で開いて、厚みのある円盤みたいな物が飛び出すと、
 ウィーン!
 四方に刃が飛び出して大きくなった。

「うっひゃーなにこれ!? 」
 驚く鉄ちゃん。

「月夜姫、円盤の中心のくぼみにイガジウムセンサーを取り付けて下さい」

「わかった」
 私は車に着いて来た雲にいき、イガジウムセンサーを持とうと思ったが、おっもーい、ちょー重い。
 大きさはボーリングの球ぐらいなのにボーリングの球より全然重い。
 ひゃー、こんなに重い物が雲に載ってたんだ。

「任しとけ」

 えっ。

 いつの間にか隣にいた鉄ちゃんがイガジウムセンサーに両手を当てる。
「んが! 」
 変な掛け声と共に軽々と持ち上げた。
「百キロはないな、楽勝」
 そういうと掘削機に持っていく。
「月夜ちゃん、円盤の真ん中のここに置けばいいの? 」
「うん」
「ほい」
 円盤の中心部のくぼみにイガジウムセンサーが置かれると、円盤は縦になった。
 縦になると鉄ちゃんの身長より大きい。
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