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第三章 ボラン島と月夜姫

いざボラン島へ1

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「緯度と経度からするとここら辺なんだが………」

 周りは海しかない太平洋の上空で翁じいが海面を見ながらそう言った。
 私も鉄ちゃんも一緒にドアウィンドー越しに海原を探している。



 ここまで来る間に、イガジウムや『人体改造装置』について鉄ちゃんに説明した。半分くらい、うーん四分の一くらいは理解してくれたみたいだけど、

「わかった! 隕石なんて掘ったことないけど、きっと大丈夫、月夜ちゃんにとって大切なものなんでしょう、じゃあ掘ろう」

 といって、持ってきたツルハシとスコップを筋肉むきむきの太い腕で天井高く持ち上げた。
 そしてやっぱり私を見ておっきな笑顔を作った。
「やるぞー、ねえ翁じい」
「うひょひょーい、宜しく頼みますぞ」
 翁じいが運転席で嬉しそうに叫んだ。



 太陽光が海面に反射して煌めいている。
 そして幾つも見える自然のままのサンゴ礁。
 と、鉄ちゃんが大声を上げた。

「あそこだー! 島があるよ」

 私と翁じいには全く見えない、でも鉄ちゃんには見えているようだ。

「そっちそっち、ちょっと右に進んで」
「了解」
 翁じいが車体を右に傾けるとゆっくり進む。
「そのまままっすぐ、いいよ、そのまま」
「鉄ちゃん見えてます? 」
 翁じいが言った。
「うん、ほら、おっきなサンゴ礁の真ん中に小さな森が見えるでしょう、砂浜と草原に囲まれた、島はそこだよ絶対」

「うーん」
「もっと下がって、そのまま下がって」
「了解」
 翁じいはゆっくり高度を下げた。
 すると見えてきた、私と翁じいにも見えてきた。

「あったー、あれがボラン島? 」
 私は嬉しくなって大声を上げた。
「うひょひょーい、じいやにも見えてきましたぞ」
 そういうと運転席のモニターに映っているイガジウムセンサーが撮った映像と見比べた。
「ああ、ぴったりですね。間違いありません、これがボラン島です。さあ、行きましょう! 」

 一際大きなサンゴ礁に囲まれて小さなその島はあった。
 島の上空に来ると、白いリムジンは垂直に降下していく、と、いつの間にか横には『雲』の乗り物が浮いていた。

「ルナママ聞こえる? 」
「はい月夜姫、感度良好です」
「雲に出会えたわ、車に雲を追尾させて」
「了解しました」

 白いリムジンはゆっくりと島に降りると草原に停車した。
 雲は少し遅れて降下してくると、草原の上で浮いている。
 ピピピ、ピピピ、雲に載っているイガジウムセンサーが音をたてながらピンク色に光っていた。
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