55 / 113
第二章 月人《つきびと》
月と地球の違い2
しおりを挟む
「そうですね、でも、良く地球を考えてごらんなさい、種族がある事で何が起きてます? ひいては国家間で何が起きてます? 」
少し考えて答えた。
「戦争や格差ですか? 」
「そうですね、自分たちの利益を優先して争いばかりが起きてます。逆にいうと争いの無い世界には種族で人を分けるなど意味はないのです」
「どうして月ではそれができるんですか? 」
「月夜姫、月人の仕事はなんでしょう? 受け継いだ知識に入っている筈です」
「えーと、あったあったこれだ。地球人の争いを無くす事が、創造主から与えられたお仕事! ええー」
「びっくりしましたか、それともう一つ重要な仕組みがある事を思い出してください」
「えーと、月人がどれだけ仕事に気持ちを込めたかで、月の水が増える仕組みを創造主に与えられたって、なんですか、どういう事なんですか? 」
私は自分で言って驚いた。
「その通りです。月ができた時、月には水が少ししかありませんでした、それが干上がる前に水を作る術が与えられたのです。
どれだけ気持ちを込めて働いたか、個人の気持ちの強さに応じて相応の量の水に変換される。
その二つの事が月を発展させ、争いの無い平和な世の中にしているのです」
「かぐや、さっぱりわからないです」
「無理もありません、今まで地球の価値観の中で育ってきたのですから、ですが月夜姫はかぐや姫の末裔です。ゆっくり考えれば理解できます。そして真の女王様になることでしょう、それも歴代の誰よりもお美しい女王様です」
てへ、美しいんだ。照れちゃう。
「水が無いと月人は死んでしまいます。水は月人の労働の副産物ですが、それは個人のものじゃない、共有財産です。
月には個人が生産した水の量を数値化して、生活に使うシステムがあり、それを地球のお金の代わりに利用してご飯を食べたり、服を買ったりしています。
その記録は全て私の回路にインプットされて、必要な時に出し入れしています。
月人の労働とは決して心を閉じ込め、肉体を動かすだけ動かしガムシャラに働く事ではありません。時間まで会社にいる事でお金が貰える事もありません。
手先が器用ならばそれを活用して、足が早ければそれを活用して、頭がよければそれを活用して、釣りが得意ならばそれを活用して、主婦をしている女性の家事も全く同じです、気持ちを込めて自分の特技を活かして働けばいいのです。
気持ちを込めれは込めるほど、もちろん真剣になって技術も向上します。
その技術に特化して、農業が産まれ、漁業が産まれ、娯楽が産まれ、産業が生まれ、そうして分担化していく事で、地球の争いを無くすという大きな仕事がやり易くなってきました。
つまり数値は、水という月人の共有財産を増やしている貢献度のようなものです。
他人への貢献は喜びにつながります。
自分が気持ちを込めて仕事に打ち込むことで、月人全体の幸福につながりその対価として、生きる喜びが得られるのです。
そうした生活を送っていると、自分を他人と比較しなくて良くなるんですね。
その事は協力や精神的な強いつながりを生み、結果、落ちこぼれもいなくなる。
だから、生産性や技術、研究が飛躍的に伸びて、地球よりも何百年も先をいく科学力を持つ文明となったのです。
成果主義が中心の地球と、全く違う発展の仕方です」
少し考えて答えた。
「戦争や格差ですか? 」
「そうですね、自分たちの利益を優先して争いばかりが起きてます。逆にいうと争いの無い世界には種族で人を分けるなど意味はないのです」
「どうして月ではそれができるんですか? 」
「月夜姫、月人の仕事はなんでしょう? 受け継いだ知識に入っている筈です」
「えーと、あったあったこれだ。地球人の争いを無くす事が、創造主から与えられたお仕事! ええー」
「びっくりしましたか、それともう一つ重要な仕組みがある事を思い出してください」
「えーと、月人がどれだけ仕事に気持ちを込めたかで、月の水が増える仕組みを創造主に与えられたって、なんですか、どういう事なんですか? 」
私は自分で言って驚いた。
「その通りです。月ができた時、月には水が少ししかありませんでした、それが干上がる前に水を作る術が与えられたのです。
どれだけ気持ちを込めて働いたか、個人の気持ちの強さに応じて相応の量の水に変換される。
その二つの事が月を発展させ、争いの無い平和な世の中にしているのです」
「かぐや、さっぱりわからないです」
「無理もありません、今まで地球の価値観の中で育ってきたのですから、ですが月夜姫はかぐや姫の末裔です。ゆっくり考えれば理解できます。そして真の女王様になることでしょう、それも歴代の誰よりもお美しい女王様です」
てへ、美しいんだ。照れちゃう。
「水が無いと月人は死んでしまいます。水は月人の労働の副産物ですが、それは個人のものじゃない、共有財産です。
月には個人が生産した水の量を数値化して、生活に使うシステムがあり、それを地球のお金の代わりに利用してご飯を食べたり、服を買ったりしています。
その記録は全て私の回路にインプットされて、必要な時に出し入れしています。
月人の労働とは決して心を閉じ込め、肉体を動かすだけ動かしガムシャラに働く事ではありません。時間まで会社にいる事でお金が貰える事もありません。
手先が器用ならばそれを活用して、足が早ければそれを活用して、頭がよければそれを活用して、釣りが得意ならばそれを活用して、主婦をしている女性の家事も全く同じです、気持ちを込めて自分の特技を活かして働けばいいのです。
気持ちを込めれは込めるほど、もちろん真剣になって技術も向上します。
その技術に特化して、農業が産まれ、漁業が産まれ、娯楽が産まれ、産業が生まれ、そうして分担化していく事で、地球の争いを無くすという大きな仕事がやり易くなってきました。
つまり数値は、水という月人の共有財産を増やしている貢献度のようなものです。
他人への貢献は喜びにつながります。
自分が気持ちを込めて仕事に打ち込むことで、月人全体の幸福につながりその対価として、生きる喜びが得られるのです。
そうした生活を送っていると、自分を他人と比較しなくて良くなるんですね。
その事は協力や精神的な強いつながりを生み、結果、落ちこぼれもいなくなる。
だから、生産性や技術、研究が飛躍的に伸びて、地球よりも何百年も先をいく科学力を持つ文明となったのです。
成果主義が中心の地球と、全く違う発展の仕方です」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
ブラフマン~疑似転生~
臂りき
ファンタジー
プロメザラ城下、衛兵団小隊長カイムは圧政により腐敗の兆候を見せる街で秘密裏に悪徳組織の摘発のため日夜奮闘していた。
しかし、城内の内通者によってカイムの暗躍は腐敗の根源たる王子の知るところとなる。
あらぬ罪を着せられ、度重なる拷問を受けた末に瀕死状態のまま荒野に捨てられたカイムはただ骸となり朽ち果てる運命を強いられた。
死を目前にして、カイムに呼びかけたのは意思疎通のできる死肉喰(グールー)と、多層世界の危機に際して現出するという生命体<ネクロシグネチャー>だった。
二人の助力により見事「完全なる『死』」を迎えたカイムは、ネクロシグネチャーの技術によって抽出された、<エーテル体>となり、最適な適合者(ドナー)の用意を約束される。
一方、後にカイムの適合者となる男、厨和希(くりやかずき)は、半年前の「事故」により幼馴染を失った精神的ショックから立ち直れずにいた。
漫然と日々を過ごしていた和希の前に突如<ネクロシグネチャー>だと自称する不審な女が現れる。
彼女は和希に有無を言わせることなく、手に持つ謎の液体を彼に注入し、朦朧とする彼に対し意味深な情報を残して去っていく。
――幼馴染の死は「事故」ではない。何者かの手により確実に殺害された。
意識を取り戻したカイムは新たな肉体に尋常ならざる違和感を抱きつつ、記憶とは異なる世界に馴染もうと再び奮闘する。
「厨」の身体をカイムと共有しながらも意識の奥底に眠る和希は、かつて各国の猛者と渡り合ってきた一兵士カイムの力を借り、「復讐」の鬼と化すのだった。
~魔王の近況~
〈魔海域に位置する絶海の孤島レアマナフ。
幽閉された森の奥深く、朽ち果てた世界樹の残骸を前にして魔王サティスは跪き、神々に祈った。
——どうかすべての弱き者たちに等しく罰(ちから)をお与えください——〉
異世界TS転生で新たな人生「俺が聖女になるなんて聞いてないよ!」
マロエ
ファンタジー
普通のサラリーマンだった三十歳の男性が、いつも通り残業をこなし帰宅途中に、異世界に転生してしまう。
目を覚ますと、何故か森の中に立っていて、身体も何か違うことに気づく。
近くの水面で姿を確認すると、男性の姿が20代前半~10代後半の美しい女性へと変わっていた。
さらに、異世界の住人たちから「聖女」と呼ばれる存在になってしまい、大混乱。
新たな人生に期待と不安が入り混じりながら、男性は女性として、しかも聖女として異世界を歩み始める。
※表紙、挿絵はAIで作成したイラストを使用しています。
※R15の章には☆マークを入れてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる