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第二章 月人《つきびと》

戴冠式3

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 でもいいのかな私が女王になんてなっちゃって!

『素敵ですよ』
 ジーヤンの声が頭に響いた。

「さてお集まりの皆さん、パレードの前に採血式がありますので、月夜女王様は一度退室なさります。お外にてお待ち下さい」
 司会者がそう言った。

 レッドカーペットの上をジーヤンは、白い手袋をした右手を優しく持って誘導してくれた。
 きゃーこれじゃ結婚式みたい。
 その間拍手が鳴り止まないどころか、泣いている人も少なくなかった。

 そして翁じいはもう顔面涙の洪水でグチャグチャ。
 よっぽど嬉しいんだ。
 その姿を見て、私もうるうるしてしまった。

 会場を出ると採血式の部屋へと向かった。
 誰もいない通路をジーヤンと二人で歩きながら聞いた。
「採血式ってなに? 」
「新しい女王様の血液をほんの少し頂きます。地球人のような針は使いませんので、ご安心ください」
「どうして採血が大切なの? 」
「地球では月菜女王様の寿命は三十年でしたが『月』ではまだおよそ二十一年です。なよ竹のかぐや姫の時代から見ると二倍になっていますがどうやってここまで寿命を長くできたのですか? 」

 逆に聞かれた、私は知識にアクセスした。

 あったこれだ。

「歴代の女王が地球人と結婚して、子ども寿命を長くするとその遺伝子を『月』で分析してその差異を遺伝子に組み込むサプリメントを作って飲んだから? 」
「その通りです」
 うーん言葉に出来ても理解ができない。
「ははは、知ってても理解するのが大変そうですな」
「お恥ずかしながら、さっぱり分かりましぇん」
「いいですいいです。簡単にいうと寿命に関連した遺伝子を分析して、我々の遺伝子と比較して、その違いを埋める働きをする薬を開発しています。それをみんなが飲んでいます」
「へーそれで寿命を伸ばしてきたんだ」
「はい、少しづつですがね」
「地球人と結婚して子どもを産む事で子どもの寿命が伸びる。その子どもが私って訳か」

「はい、過去のデータの蓄積でサプリメントを飲んだ月人の寿命は全て計算で出るレベルまできております。
 採血式はかぐや姫のご令嬢の時代から続くお式です」

 うーん、かぐや姫が遠いい遠いい時代の私のご先祖さま………

 採血はちくりとも痛くなかった。
 腕をまくると看護師さんが、針がついてない注射器みたいな装置を持ってきて、ボタンをおすと、先端がピッと光って一瞬で100シーシーくらい抜かれた。

 その後小さな紙パックの乳酸飲料をもらって飲んだ、あは、こういうところは地球と似てる。

 その後ジーヤンとバルーンに乗って、月の内部をパレードした。

 たくさんの本当にたくさんの月人が家から出て私を見ると手を振ってくれた。

 私もいっぱい手を振った。

 手を振りながら熱いものがこみ上げてきた。
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