16 / 113
第一章 地球人と月夜姫
秘密の中庭1
しおりを挟む
二人で壁伝いに歩いていく、廊下はどうも円形になっているようだ。床は白木のフローリングで、埃一つない。きっとお掃除ロボットや、翁じいが綺麗にしていたんだろうなぁ。
壁の反対側にはいくつかドアがあって、食堂やキッチン、お母さんやお父さんが使っていた書斎や寝室があると翁じいが教えてくれた。
そしてたった一つある壁側のドアの前で止まった。
「はいルナ、センサーを出して」
「了解、翁じい」
どこからともなくルナの優しい声が聞こえてくると、やっぱり、玄関にあった1メートルくらいの石柱と同じものが床から出てきた。
石柱の前に立つと翁じいが振り返って私を見た。
「玄関と塀の入り口にあるセンサーは、じいやでも開けられるようにセットされていますが、ここから先にあるセンサーは女王様の血筋にしか反応しないようになっております」
そう言われて私は右手のひらを見た。
銀色の三日月が消えていない。
「このお印が浮かびあがる人だけってこと? 」
「そうでございます」
「それほど大切な秘密ってことなんだ」
「はい、この先にある装置を地球人が知ったら大変な争いが起こるでしょう、現にお父様はそれで命を落とされました」
私はびっくりした。
「お父さんはどうしたの? もしかして誰かに殺されたの!!! 」
「お屋敷の周りを囲む塀とシールドが完成する前の事です」
「………」
お父さんが殺されたってどういうことなの?
私が施設に預けられる前に一体なにがあったんだろう。
なんて事、なんて事、殺人事件があったんだ!
——怖い。でも現実感がないのも事実だ。どんな両親だったか全くわからないし、会った事もないから。
「心中お察し致しますが、それも時が来たらおいおい《思い出す》ことでしょう、ですが月夜姫、今しなければならない事は、センサーに手をあてることです」
「この先に一体何があるの? 」
「それはご自分でご覧あれ、ささ、手をあててください、決して地獄につながっている訳じゃありません」
「本当に? 」
私は訝しげに翁じいを見た。
「ふぁっふぁっふぁっ、そんな顔をなさらずに、私も数回ですが入れていただいたことがありますが、怖い思いは致しませんでしたよ」
「わかった」
そして私はドアを見た。
何が起きようと怖がるもんか、ここは私の自宅なんだ。そして、私は石柱が斜めに切れたところにゆっくりと右手をのせた。
石柱が光り、本人かどうか一瞬でルナが判断する。
「月夜姫を認識いたしました。ドアを開きます」
ウィーン、軽いモーター音がしてドアが開いた。開戸に見えたドアは、玄関と同じように横にスライドして開いた。
そして中を見る。
壁の反対側にはいくつかドアがあって、食堂やキッチン、お母さんやお父さんが使っていた書斎や寝室があると翁じいが教えてくれた。
そしてたった一つある壁側のドアの前で止まった。
「はいルナ、センサーを出して」
「了解、翁じい」
どこからともなくルナの優しい声が聞こえてくると、やっぱり、玄関にあった1メートルくらいの石柱と同じものが床から出てきた。
石柱の前に立つと翁じいが振り返って私を見た。
「玄関と塀の入り口にあるセンサーは、じいやでも開けられるようにセットされていますが、ここから先にあるセンサーは女王様の血筋にしか反応しないようになっております」
そう言われて私は右手のひらを見た。
銀色の三日月が消えていない。
「このお印が浮かびあがる人だけってこと? 」
「そうでございます」
「それほど大切な秘密ってことなんだ」
「はい、この先にある装置を地球人が知ったら大変な争いが起こるでしょう、現にお父様はそれで命を落とされました」
私はびっくりした。
「お父さんはどうしたの? もしかして誰かに殺されたの!!! 」
「お屋敷の周りを囲む塀とシールドが完成する前の事です」
「………」
お父さんが殺されたってどういうことなの?
私が施設に預けられる前に一体なにがあったんだろう。
なんて事、なんて事、殺人事件があったんだ!
——怖い。でも現実感がないのも事実だ。どんな両親だったか全くわからないし、会った事もないから。
「心中お察し致しますが、それも時が来たらおいおい《思い出す》ことでしょう、ですが月夜姫、今しなければならない事は、センサーに手をあてることです」
「この先に一体何があるの? 」
「それはご自分でご覧あれ、ささ、手をあててください、決して地獄につながっている訳じゃありません」
「本当に? 」
私は訝しげに翁じいを見た。
「ふぁっふぁっふぁっ、そんな顔をなさらずに、私も数回ですが入れていただいたことがありますが、怖い思いは致しませんでしたよ」
「わかった」
そして私はドアを見た。
何が起きようと怖がるもんか、ここは私の自宅なんだ。そして、私は石柱が斜めに切れたところにゆっくりと右手をのせた。
石柱が光り、本人かどうか一瞬でルナが判断する。
「月夜姫を認識いたしました。ドアを開きます」
ウィーン、軽いモーター音がしてドアが開いた。開戸に見えたドアは、玄関と同じように横にスライドして開いた。
そして中を見る。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
陽あたりのいいパティオ 〜ももとさくらは人類最強です〜
赤木 さわと
ファンタジー
神馬一族の末裔神馬もも(小学四年)とさくら(幼稚園年長組)は、ある特殊な能力を持っていた。それはももが念じると物や人を瞬間移動させる事ができるのと、さくらは念じると物を弾け飛ばす事ができるというものだ。
なぜなら、神馬一族は太古の昔から町を見守って人の進化を促し、悪意からこの土地を護ってきた、産土神「鬼王様」に託され、この土地を護るべく霊力を授けられた一族だからだ。
代々の末裔たちはそれぞれこうした霊力を持ち合わせて生まれていた。
そんな神馬一族が見守るこの町に、盗っ人団が入り込む。狙いは鬼王神社に祀られている宝玉だ。ももとさくらは、霊力を使って盗っ人団を追い払い、宝玉を守るが、盗っ人団は諦めず今度はさくらとももを誘拐して身代金を取ろうと画策する。
なぜなら神馬一族はこの町一体の地主で祖父の神馬権三は町長であり、昔で言えばお殿様みたいな存在であり、かつ、大金持ちだとわかったからだ。
また、神馬家は中道商店街のパティオと呼ばれる所に住んでおり、この場所は権三が知恵を絞って、天災や人災から町を守るべく建設した要塞なので、ももとさくらはそこに備えられている仕掛けと、特殊能力を使って盗っ人団との決戦の時を迎える。
町と子どもたちが主役の物語です。
機龍世紀3rdC:暗黒時代~黒髪の騎狼猟兵
武無由乃
ファンタジー
家の神社の裏にある禁足地に勝手に踏み込んでしまった小学生アストは、女子高生の姉カナデと共に異世界サイクレストへと飛ばされる。その世界にある三つの大陸のうちの一つソーディアン大陸で目覚めたアスト達は、突如謎の騎士の襲撃を受ける。その襲撃から命からがら逃げだしたアスト達だったが、その逃避行の間に姉カナデとはぐれ、ただ一人黒の部族と呼ばれる人々に助けられる。
そして……。
それから八年の後、逞しい戦士に成長したアストは、姉を探し出すためにソーディアン大陸を巡る旅に出る。
共に育った黒の部族の妹リディアと共に……。
神が食い殺された大陸を巡る、異邦人アストによる冒険物語。
※ 本作品は、本編が『Chapter 〇』と『World Building 〇』というページによって構成されています。『World Building 〇』は世界設定を解説しているだけですので、もしストーリーだけ楽しみたい方は『World Building 〇』のページを飛ばして読んでください(ただし『World Building 0 ソーディアン大陸』は読んでいること前提でストーリーが進みます)。
※ 『同時掲載』小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、ノベルアッププラス、ノベリズム、ノベルバ、Nolaノベル
※ 一部の投稿サイトには世界・地方地図が掲載されています。
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
プリンセスソードサーガ
黒巻雷鳴
ファンタジー
勇者が世界を救った平和な時代。小国のうら若き姫君シャーロットは、強引に侍女のドロシー、レベッカ、ハルたち三人とメイドのアリッサムも加えた少女騎士団を結成する。だが、冒険の旅へと出発したその矢先、暗黒神を崇拝する邪教絡みの事件に巻き込まれてしまい──。
※無断転載禁止です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる