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第6章

決戦 14

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 そしてすかさずももは放水銃のスイッチを入れた。
 さくらがジョイスティックで燃えているジャージにターゲットを当てて赤いボタンを押す。
 すると、左のビルの壁の一角がぽこりと開き、中から放水銃が姿を現した。
 放水銃は角度を変えると、シャッターより高い位置から燃えているジャージに向かって放水を始めた。
 ばばば!
 ジュジュジュジュー…
 燃えているジャージの火が消される。
「親分なんすかこれ? 」
 二がポツリと呟く。
「俺も知りたい…」
 親分は勢いよく放水される滝のような水を見てそう言った。
 ももは今度は注水ボタンを押した。
 すると両方のビルの壁の十カ所がぽこりと開き、勢いよく放水が始まった──この盗っ人三人衆が閉じ込められている空間は完全防水である。どんどん水が溜まりだす。
「それより親分、これやばいんじゃね」
 一が気がついた時には足首あたりまで水が溜まっていた。
『わーーー』
 どんどん水位が上がっていく、プール状態になっていく。

 どんどん!

 盗っ人三人衆はようやく危険を察知しシャッターを叩くが開かない。

『助けて、誰か助けて』

「親分浮き輪だ! 」
 一が叫んだ。
「おう、あれに掴まれ」
 親分が言った。
 盗っ人三人衆が、慌ててももとさくらが置いていった二つの浮き輪を掴んだ時には、既に腰あたりまで水がたまっていた。

 この時、シャッターの外には数百の影の氏子衆が、黒い忍者の装束に黒い頭巾の正装で集まっていた。
 町の要塞から非常警報が発令されたので当たり前だ。
 そしてごんちゃんの指示のもと、中道商店街のパティオをぐるりと取り囲むように配置され、シャッターの外には普段着のままのごんちゃんと数十人の影の氏子衆、そしてその影に潜むように、ボス、ポン三郎、コン姐、他、あらゆる生き物たちが待機していた。

 そしてシャッターの中で放水が終わると盗っ人三人衆は所在なさげに浮き輪に掴まって、水の上にぷかぷか浮いていた。

「俺たちどうなるんだ…」親分が呟いた。
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