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第5章
嵐の後の学校公開 10
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「げ、厳重だな」
走りながら親分が言った。
「厳重でやんす」一が言った。
「刑務所みたいに厳重だぁ! 」
二が最後尾で声を張り上げた。
「刑務所なつかしー」一が言った。
「結構メシがうまかった」二が思い出し笑いをする。
「そういや、刑務所作業で俺の作ったテーブル、誰か買ってくれたかなぁ?」
「俺は、椅子を作ってた…懐かしい…ってアホ! 作戦練り直しだ」親分は大声を上げる。
と、鳥居の前の表参道の角に、和菓子屋十年堂がやっている甘味処十年堂を見つけた。
「おい、入るぞ、落ち着いて作戦練り直しだ」
「へえい甘い物は頭を活性化させますからね」
「へい」
カランコロン!
入口に下げられたベルを鳴らし、三人衆はドアを開けると次々に中へ入って行った。
四年一組の教室ではジョニーの父親マックがボブを連れて授業を見ていた。
「はい! 先生」ジョニーは手を上げた。
「じゃあ、ジョニー君」
白鳥先生はジョニーを指した。
ジョニーは席を立つと、ドレッドヘアを一振りして答えた。
「東京都です」
「はい、みなさん拍手、そう日本の首都は東京都です」
パチパチ…!拍手がなる。
「ご、ごんちゃん…」マックは隣に立ってるごんちゃんに語りかける。
「ジョニーはグレートだゼェ」
「♪さすがさすが、にいちゃんだぜ、だぜ、だぜえ♪」ボブがラップ調に体を揺すった。
「グレートだ」ごんちゃんはニコニコ応えた。
「嬉しいっす、ダディはちょー嬉しいっす。質問に答えたっす」
「はいはい」
近くで立っていた新垣仁はそれを見て呟いた。
「保もガンガンいけってぇの! 」
一時間目の授業も終わり白鳥先生が廊下に出てきた。そして廊下で立ち竦む伸に気がつくと、にっこり微笑んだ。
「この間は大きな綿菓子ご馳走さまでした」
伸には、白鳥先生の全てが煌めいて見えていた。
「い、いえ、…」
──しどろもどろな伸。
「今日は子どもたちの為にご足労頂きありがとうございます」
「は、はいー」真っ赤になり声が上ずった。
「次の授業の準備がありますので、また後ほど…」
と微笑む。
ズバババ! マシンガンのごとく心臓を撃ち抜かれる。
棒立ちのまま動けない伸をよそに、白鳥先生は去っていった。
そこに、仁が教室から出てきた。
「おい伸、おめ、何やってんだ? 」
「…」
ぼーっとして動けない伸。
──ちょんちょん! 指でお腹を突いてみる仁。
「おーい伸さん、伸さんよー」
「ふにゃー」
「ふにゃーって大丈夫か、おい! 」
「…」
「おーい伸! 」
と、ブルル…伸の胸ポケットの中のスマホが震えた。
走りながら親分が言った。
「厳重でやんす」一が言った。
「刑務所みたいに厳重だぁ! 」
二が最後尾で声を張り上げた。
「刑務所なつかしー」一が言った。
「結構メシがうまかった」二が思い出し笑いをする。
「そういや、刑務所作業で俺の作ったテーブル、誰か買ってくれたかなぁ?」
「俺は、椅子を作ってた…懐かしい…ってアホ! 作戦練り直しだ」親分は大声を上げる。
と、鳥居の前の表参道の角に、和菓子屋十年堂がやっている甘味処十年堂を見つけた。
「おい、入るぞ、落ち着いて作戦練り直しだ」
「へえい甘い物は頭を活性化させますからね」
「へい」
カランコロン!
入口に下げられたベルを鳴らし、三人衆はドアを開けると次々に中へ入って行った。
四年一組の教室ではジョニーの父親マックがボブを連れて授業を見ていた。
「はい! 先生」ジョニーは手を上げた。
「じゃあ、ジョニー君」
白鳥先生はジョニーを指した。
ジョニーは席を立つと、ドレッドヘアを一振りして答えた。
「東京都です」
「はい、みなさん拍手、そう日本の首都は東京都です」
パチパチ…!拍手がなる。
「ご、ごんちゃん…」マックは隣に立ってるごんちゃんに語りかける。
「ジョニーはグレートだゼェ」
「♪さすがさすが、にいちゃんだぜ、だぜ、だぜえ♪」ボブがラップ調に体を揺すった。
「グレートだ」ごんちゃんはニコニコ応えた。
「嬉しいっす、ダディはちょー嬉しいっす。質問に答えたっす」
「はいはい」
近くで立っていた新垣仁はそれを見て呟いた。
「保もガンガンいけってぇの! 」
一時間目の授業も終わり白鳥先生が廊下に出てきた。そして廊下で立ち竦む伸に気がつくと、にっこり微笑んだ。
「この間は大きな綿菓子ご馳走さまでした」
伸には、白鳥先生の全てが煌めいて見えていた。
「い、いえ、…」
──しどろもどろな伸。
「今日は子どもたちの為にご足労頂きありがとうございます」
「は、はいー」真っ赤になり声が上ずった。
「次の授業の準備がありますので、また後ほど…」
と微笑む。
ズバババ! マシンガンのごとく心臓を撃ち抜かれる。
棒立ちのまま動けない伸をよそに、白鳥先生は去っていった。
そこに、仁が教室から出てきた。
「おい伸、おめ、何やってんだ? 」
「…」
ぼーっとして動けない伸。
──ちょんちょん! 指でお腹を突いてみる仁。
「おーい伸さん、伸さんよー」
「ふにゃー」
「ふにゃーって大丈夫か、おい! 」
「…」
「おーい伸! 」
と、ブルル…伸の胸ポケットの中のスマホが震えた。
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