上 下
25 / 93
第3章

鬼王神社の夏祭り 1

しおりを挟む

 ──くるん! ぼふ!

「ヒャァ、ももグレートだゼェ! 」
 ジョニーの叫びが体育館中に響き渡った。
「やったージョニー、とうとうやったよ」
「ちょーグレートだゼェ!!! 」
 ももはとうとうバック宙を成功させた。
 見事に空中で一回転すると、ふかふかクッションの上に両足で立てたのだ。
 今日も、ももはジョニーをコーチに、昼休みにバック宙の練習をしていた。
「ようし、今度は床の上だ」
「うん」
「お前のパッションサイコーだぜ、イェぃ、できるぜできる、ももならできる、ゴーももゴー! 」
「うん、やってみる」
 ももはクッションから離れて、体育館の中央へといく。ジョニーは万が一に備えて、ももの後ろに立っている。

 と、体育館で遊んでいた児童が全員静かになると、視線をももに向けた。
 騒ついていた体育館に静寂が訪れる。
 緊張するもも。
 シーン…静まり返っている体育館。

 ももは、膝を曲げると同時に、腕を大きく前から後ろへ。
 体を後ろに反ると同時に、頭を先に後ろへ…
 そして、前に手を振り上げると反動を利用して、膝を伸ばす!

 ──ぐん!

 体を宙に浮かす。
 横で緊張するジョニー、一瞬でもミスするとももの体を支えるつもりだ──いつものおちゃらけは一切ない、目が真剣だ。
 自慢のドレッドヘアも静まり返っている。

 ──くるん!

 ももの体が後ろに向かって回り出す。
 高さは充分だ、後は勢いで足を回すといい。

 ──ぶん!

 足が頂点を超えた。

 ──だん!

「うわぁあああああああ! 」
 体育館中の児童が、大声をあげて拍手喝さいだ──バック宙が成功したのだ。

「やったージョニーやったー」
 両手でガッツポーズのもも。
「ウェイ、最高ー、もも、ベリーぐーっど、スゲェぜ、グレートだゼェ!」

 パチパチパチパチ! 拍手が鳴り止まない。

「みんなありがとー」ももは嬉しさ一杯だ。
 そんな中でジョニーは一人、クールになった。
「ヘィもも、次はひねりだ」
「へっ…なんですか」
 キョトンとするもも。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

給料の大半を課金に使い続けヒキニートの友人とパーティ組んでいたらゲームの世界に転生して最強になっていた。

みみっく
ファンタジー
独身、彼女なしの主人公がオンラインゲームにハマり数年、オンラインゲームでの友人とパーティを組み遊んでいると、他のヤツはニートの引き籠もりで、俺だけ会社員だったので給与、ボーナスの話をすると、唆されているのは承知で……ほぼ全額課金をする程にハマっていた。ある日、パーティメンバーと共に俺のレベル上げに付き合ってもらいレベル上げをしていると、気付いたら朝方になってしまい。僅かな仮眠を取り出社をしてなんとか午前を眠さと闘い働き終え、昼食を取り腹が満たされると寝不足もあり強い眠気が襲ってくると意識が直ぐに失われ気付くと、そこは……

日給二万円の週末魔法少女 ~夏木聖那と三人の少女~

海獺屋ぼの
ライト文芸
ある日、女子校に通う夏木聖那は『魔法少女募集』という奇妙な求人広告を見つけた。 そして彼女はその求人の日当二万円という金額に目がくらんで週末限定の『魔法少女』をすることを決意する。 そんな普通の女子高生が魔法少女のアルバイトを通して大人へと成長していく物語。

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

奴隷と呼ばれた俺、追放先で無双する

宮富タマジ
ファンタジー
「レオ、お前は奴隷なのだから、勇者パーティから追放する!」 王子アレンは鋭い声で叫んだ。 奴隷でありながら、勇者パーティの最強として君臨していたレオだったが。 王子アレンを中心とした新たな勇者パーティが結成されることになり レオは追放される運命に陥った。 王子アレンは続けて 「レオの身分は奴隷なので、パーティのイメージを損なう! 国民の前では王族だけの勇者パーティがふさわしい」 と主張したのだった。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜

よどら文鳥
恋愛
 フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。  フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。  だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。  侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。  金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。  父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。  だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。  いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。  さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。  お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。

処理中です...