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第2章

中道商店街の人々 12

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 ごんちゃんの家からの帰り道。
 森の木々に囲まれた『鎮守の小道』を登校時とは逆に歩いていると、正面から、のそりのそり真っ白な猫が歩いてきた。
「あ、ボス」
 さくらが見つけてそういうと、ボスは岩石のような厳つい顔を崩し、嬉しそうな顔でにゅあー、とないた。そして、さくらの足元にすり寄ってくる。
 さくらはしゃがみこむと、のどをすりすりしてあげた。
 ボスは気持ちがよさそうに、されるがままになっていた。
「どこ行くの?」
 ももが問いかけると、小道を覆い隠している鎮守の森の木々がざわついた。

 ──ザワザワ…

 そして、ボスは神殿の方を見つめた。どうもこの猫は人語がわかるらしい。

「神殿にいくのね」
 …にゃー
「今日の報告だ」
 …にゃー
「行ってらっしゃい、さくら離してあげて…」
 さくらがなでなでしていた手を放すと、ボスは何事もなかったように、のそりのそりと歩いてゆく。
「ばいばーい」
 さくらがそう言ってももと手を繋ぎ、二人がボスに背を向け歩きはじめた時、

 ──ザワザワ!

 更に激しく木々が揺れ動くと、

 …2回目は気をつけるんだにゃー

「えっ」ももになにやら聞こえた。
 ももは立ち止まって咄嗟に振り返る。
 ボスは相変わらずのそりのそりと歩いているが、真っ白な毛並みが一回り大きく見えた。いや違う、ボスの体が光っているようだ。
「お姉ちゃんどうしたの? 」
 さくらはそういうとももを見上げた。
「だって…」ももはボスから目を離せない。
 ボスは一瞬二人を振り返ると、ニヤリと笑い、尻尾をピンと立てて神殿に向かって走り去った。

 ──揺れ動く尻尾は、二つあったように見えた。

 ボスの姿が見えなくなると、木々のざわつきがおさまった。
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