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第2章
中道商店街の人々 8
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小学校は給食の時間が終わり昼休みになった。昼休みになるとももが、ほぼ毎日のように体育館で練習していることがある。
それは、バック宙の練習だ。
コーチはボブ君のお兄さんの、クラスメイトのジョニーだ。肌は黒いが、ボブと同じくマミーはジャパニーズの日本生まれの日本人だ。
ジョニーの自慢は長い髪をクルクル編んだドレッドヘアーだ。背も学年で一番高いが、小学四年なのにかなり大人っぽい、どこかのレゲエミュージシャンのようだ。
ももは、一ヶ月でふかふかのクッションの端にたち、ジョニーの補助付きでバック転できるようになった。
その後、床で手をついて一人でバック転出来るようになった。
でも、後一ヶ月後に迫った鬼王神社の夏祭りでは、一人でバック宙を決めないといけない。
「えい」
ももは大きなふかふかクッションの端にしゃがみこみ、ジャンプする。
頭を先に回転させるつもりで、足を空中に飛ばして…
──ボフ!
クッションに正面から落ちていく。
半回転まではできるのだが、綺麗に足から着地できないのだ。
「ハァイ、もも、手を使ってバック転出来るんだから、もうできたもおんなじだぜ」
「うーん、どうも途中で怖くなる」
ももはクッションに寝転がるようにジョニーを見る。
「みてな」
ジョニーはクッションも何もない床で、いともたやすくバック宙を決めた。
どん!
着地も綺麗だ。自慢のドレッドヘアーもフサフサ宙に舞うとさらりと最後にまとまった。
「う、うまい」
「もも、できるってできる、ヒャア」
「どうやって出来るようになったの?」
「うーん、ダディが俺をオリンピック選手にしようって考えて、コーチにつけて特訓した結果だぜ、でも俺は嫌だねラップの方が好きさ、オーノー」
「……」
「ヘイもも、お前の運動神経イケてるぜパッションもバッチリだ、絶対できるぜ、できるぜ、グレードだゼェ」
アメリカンはいつも陽気だ──ハーフだが、血は争えない。
ももは時々ついていけなくなる時がある。
「ホレ、もう一回」
「うん」
再びトライだ。
ダン! ボフ!
半回転で正面から落ちていく。
「もう少しだ、もう少し、もも、イケてるぜワァオ」
何度も練習するもも。
その度に奇声を発するジョニー。
「ヒャぁぁぁ、ゴー、もも、ゴー…」
ジョニーはいい奴だ。
それは、バック宙の練習だ。
コーチはボブ君のお兄さんの、クラスメイトのジョニーだ。肌は黒いが、ボブと同じくマミーはジャパニーズの日本生まれの日本人だ。
ジョニーの自慢は長い髪をクルクル編んだドレッドヘアーだ。背も学年で一番高いが、小学四年なのにかなり大人っぽい、どこかのレゲエミュージシャンのようだ。
ももは、一ヶ月でふかふかのクッションの端にたち、ジョニーの補助付きでバック転できるようになった。
その後、床で手をついて一人でバック転出来るようになった。
でも、後一ヶ月後に迫った鬼王神社の夏祭りでは、一人でバック宙を決めないといけない。
「えい」
ももは大きなふかふかクッションの端にしゃがみこみ、ジャンプする。
頭を先に回転させるつもりで、足を空中に飛ばして…
──ボフ!
クッションに正面から落ちていく。
半回転まではできるのだが、綺麗に足から着地できないのだ。
「ハァイ、もも、手を使ってバック転出来るんだから、もうできたもおんなじだぜ」
「うーん、どうも途中で怖くなる」
ももはクッションに寝転がるようにジョニーを見る。
「みてな」
ジョニーはクッションも何もない床で、いともたやすくバック宙を決めた。
どん!
着地も綺麗だ。自慢のドレッドヘアーもフサフサ宙に舞うとさらりと最後にまとまった。
「う、うまい」
「もも、できるってできる、ヒャア」
「どうやって出来るようになったの?」
「うーん、ダディが俺をオリンピック選手にしようって考えて、コーチにつけて特訓した結果だぜ、でも俺は嫌だねラップの方が好きさ、オーノー」
「……」
「ヘイもも、お前の運動神経イケてるぜパッションもバッチリだ、絶対できるぜ、できるぜ、グレードだゼェ」
アメリカンはいつも陽気だ──ハーフだが、血は争えない。
ももは時々ついていけなくなる時がある。
「ホレ、もう一回」
「うん」
再びトライだ。
ダン! ボフ!
半回転で正面から落ちていく。
「もう少しだ、もう少し、もも、イケてるぜワァオ」
何度も練習するもも。
その度に奇声を発するジョニー。
「ヒャぁぁぁ、ゴー、もも、ゴー…」
ジョニーはいい奴だ。
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