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〜最終章〜
174.『ピンチ』
しおりを挟む事務所を攻撃され、ちりじりになった便利屋カモミール。
しおんとよつばは追手を撃退したが、みつれとカエデは追手を振り切るのに手間取っていた。
みつ「ちっ、いつまでも追ってくるな……」
カエデを乗せてバイクで走り続けるみつれ。
追手はバイク4台、車3台。
振り切るのは困難を極めた。
カエ「みつれさん……」
みつ「くそ………仕方ない。カエデ!しっかり捕まってろ!絶対手を離すな!!」
みつれはカエデの手をグイッと自分の腹部にまわす。
カエ「は、はい!!」
さらにスロットルをまわすみつれ。
スピードをあげていく。
しかし追手も振り切られないようにスピードをあげる。
するとみつれは急ブレーキをかけ、狭い路地に入り込んだ。
「ッ!?左に曲がったぞ!!」
「追いかけろ!!絶対逃がすな!!」
追手も必死にみつれ達を追う。
猛スピードで狭い路地を走るバイク達。
しかし行く先は工事中で通行止めだった。
カエ「ッ!?みつれさん!前!!工事中!!」
カエデは前方が工事中であるのに気付き、焦る。
だが、みつれは違った。
さらにスピードをあげ、工事現場に突っ込む。
みつ「しっかり捕まってろ!!」
みつれは前輪をあげて鉄材に乗り上げ、その勢いのまま飛び越えた。
「うわっ!?」
追手は急ブレーキをかけて呆然とする。
「マジかよ……」
「まだだ!!先回りだ!行くぞ!!」
追手のバイク達は迂回し、みつれの後を追おうとした。
しかしみつれ達は追手から姿を消した。
みつ「・・・なんとか振り切ったな。大丈夫か?カエデ。」
カエ「まだ心臓がバクバクしてますぅ……」
みつ「大丈夫そうだな。このまま隠れ家に向かうぞ。」
みつれは隠れ家である旧トンネルへ急いだ。
目的地の旧トンネルまであと数キロのところで、みつれはバイクを止めた。
カエ「どうしたんですか?」
みつ「・・・嫌な予感がする。」
なにかを察知したみつれ。
みつれは旧トンネルの道を行かず迂回するようにバイクを再び走らせた。
みつ「あの隠れ家は元々シロサキが所有していたものだ。ここまでの襲撃をしたんだ、旧トンネルの隠れ家も狙わないワケが無い……」
カエ「えっ!?ということは……」
みつ「待ち構えているか……爆破してるかだな……。一度遠くから様子を見る。」
みつれは遠くから旧トンネルが見渡せる場所へむかった。
みつ「着いた。ここからなら見える。」
みつれとカエデはバイクを降り、展望台へ歩く。
みつれは望遠鏡で旧トンネルを視認する。
みつ「・・・やっぱりか。」
みつれの予想通り、旧トンネルは爆破されていて入り口が崩落していた。
あまりにも非日常の光景の連続で唖然とするカエデ。
カエ「ど、どうするんですか?」
みつ「・・・とにかく隠れ家は使えない。他の場所に移動しよう。………ッ!?」
みつれは気配を感じ取った。
急いでナイフを構える。
みつ「カエデ、私の後ろにいろ!」
背後から男達が20人程現れた。
待ち伏せされていた。
みつれとカエデがこの展望台に来ることを読まれていた。
みつ「・・・お前ら、組織の人間だな。」
いくらみつれでもカエデを守りながらこの人数を相手にするのは難しい。
どう切り抜けるか考えていた矢先、男達の間から1人の女性が現れた。
みつ「ッ!?ハナさんッ!?」
姿を現したのはハナだった。
ハナ「みつれさん、アンタの負けです。ナイフを捨ててください。」
ハナはみつれに降伏を促した。
しかしみつれはナイフを構え続ける。
ハナ「この人数相手に1人かばいながら戦うのは流石のアンタでも無理だと思いますよ。…ね?カエデちゃん。」
ハナはカエデを見て名前を呼んだ。
カエ「あ、あ……ハナ……さん。」
みつ「・・・くやしいがハナさんの言う通り、お前を守りながらこの人数を相手にするのは難しい。」
みつれはカエデに聞こえるようにボソッと言った。
するとみつれはカエデに危害が加えられないようにナイフを手放した。
ハナ「いい判断です。……おい。」
ハナは1人の男にみつれのナイフを回収するよう指示を出した。
男がみつれ達に近づき、ナイフを回収しようとする。
その瞬間、みつれは男に襲いかかり人質にとる。
みつ「動くなッ!!」
みつれは慣れた手つきで男の喉元にナイフを突きつける。
みつ「全員下がれ!!」
緊張感が張りつめる。
カエデを守るためにこの状況を切り抜けるにはこれしか無かった。
ハナ「・・・」
ジリジリと男達が下がる中、ハナはピクリともしなかった。
ハナ「・・・アンタならそうすると思った。私もそうすると思う。………『相手が銃を持ってない』という前提なら……だけど。」
ハナは銃を取り出し、カエデに銃口を向ける。
カエ「ヒッ!?」
銃口を向けられたカエデはビクッとおびえる。
みつ「ッ!?」
ハナ「ここにいる全員、幹部じゃないから銃は持ってないと考えていたんでしょうが、私はシロサキ様から特別に銃の所持の許可をいただいています。……子どもを撃ちたくない。どうすべきか分かりますよね?便利屋さん。」
みつれにとって最大の誤算だった。
まさかハナが銃を所持しているなんて思ってもいなかった。
みつ「くっ……」
カエデに銃口が向いている以上、みつれはどうすることも出来ない。
みつれは男を離し、再びナイフを手放して両手をあげた。
すると男はみつれを殴った。
「ふざけやがって!!オラ!!」
みつれは抵抗せず殴られ続ける。
抵抗すればカエデが撃たれるかもしれない。
みつれは耐えるしか無かった。
カエ「や、やめて………」
震えながらか細い声を出すカエデ。
みつ「ぐっ………」
「立てオラ!!」
展望台には男の怒声と殴打の音が響く。
そこに加えて上空からヘリコプターの音が聞こえた。
ハナ「もういい。連れていくぞ。」
男達はみつれとカエデを連れていこうとする。
しかしその瞬間、みつれとカエデを拘束していた男が倒れた。
「ッ!?どうした!?」
倒れた男からは血が流れていた。
その時、ハナは気付いた。
ハナは今まで気にもとめてなかった上空ねやヘリコプターを見上げる。
よく見るとそのヘリは特殊部隊で使われてるヘリコプターだった。
ハナ「ッ!?」
ヘリに気付いた瞬間、ハナの持っていた拳銃が弾かれる。
ハナ「ぐッ!?スナイパーッ!?マズイ!」
ハナはヘリからスナイパーが自分達を狙ってることに気付いた。
ハナ「撤退ッ!!」
ハナと男達はみつれとカエデを置いてその場から素早く撤退した。
カエ「みつれさん!!!」
拘束が解けてすぐにみつれに駆けつけるカエデ。
カエ「みつれさん!みつれさん!!」
みつれの身体をゆするカエデ。
みつ「・・・痛いよ。ゆするな……」
みつれは無事だった。
それに安堵したカエデは上空のヘリコプターを見上げる。
するとヘリコプターから3人降りてきた。
武装した特殊部隊とリンだった。
リン「2人とも大丈夫!?」
みつ「・・・今回ばかりは助かったよ…リン。」
リンのおかげでなんとか九死に一生を得たみつれとカエデ。
リン「カエデちゃんがSOSを送ってくれたの。おかげですぐに来れたけど…酷くやられちゃったね。」
みつ「カエデが……?」
男達に囲まれた時、カエデは密かにリンにSOS信号を送っていた。
そのおかげで場所を特定でき、すぐに対処出来た。
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みつ「流石だな、カエデ。……ありがとう。」
みつれはカエデに微笑んで感謝を告げた。
リン「今、特殊部隊のヘリでハナちゃんを追ってる。私達はとりあえず安全な場所に移動しよう。」
リンはみつれを担ぎ、カエデを連れて展望台から離れた。。。
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