174 / 185
〜最終章〜
168.『非人道的』
しおりを挟む闇医者のカオリとよつばが協力してくれることになった『カモミール』一行は、エトが作り上げたクスリ『オビディエンス』について探る。
エトの情報を得るために、しおんはダメ元でユウゼンにメッセージを送る。
よつ「なぁ、この数字はなに?」
よつばはしおんが打ち込む数字の羅列を聞いた。
しお「父さんと僕だけの暗号だよ。昔、父さんが作った暗号なんだ。」
しおんは暗号をよつばに教えた。
しお「前に父さんから突然この暗号が送られて来たんだ。返信がくるかはわからないけど、これなら組織の人間に僕とやり取りしてるのはバレないと思う。」
よつ「なんでアンタの父親は暗号で送ったりしたんだ?敵じゃないのか?」
しお「んー……それが正直分からなくなってる。前に送られてきた暗号には組織にとって不利なことを教えてくれた。組織の人間からみたら裏切り行為だよ。」
よつ「よく分からないな。組織を抜けた訳じゃないんだろ?」
しお「うん。けど組織のやり方が気に入らない部分があるみたいなんだ。父さんのおかげで『ドッグオーディション』を潰せたし、父さんもそれを望んでた。」
しおんは暗号を打ち終えた。
しお「よし、送信っと。」
よつ「なんて送ったの?」
しお「エトについて教えて的なことを送ったよ。まぁダメ元だけどね。流石に教えてはくれないと思う。」
よつ「そうだった場合、相手は警戒するんじゃないのか?ワタシたちがエトを探してるのがバレるぞ。」
しお「それはそれで構わないよ。それでなんらかの動きがあればそこから探ればいいし、接触してきてもよつばさんが居るしね。」
しおんはニコッと笑った。
よつ「ったく、ワタシをなんだと思ってんだ……」
しお「仮に父さんが直接来ても、その分話しやすくなる。襲撃されるデメリットもあるけどそれなりのメリットもあるかもしれない。」
よつ「・・・前のアンタの怪我…父親にやられたんだろ?デメリットのほうが強い気がするけど……」
しお「まぁ向こうの出方次第だけどね。……よつばさんはあれからどうしてたの?元気してた?」
よつ「あぁ、ご主人様にずっとついてたよ。相手がヤクザばっかで少し疲れるけどね。」
しお「大変だねぇ。けど元気でやってるならよかった。」
するとピコンっとPCが鳴った。
しお「ッ!?返信が来た!」
しおんはメッセージを開く。
よつ「なんて書いてあるんだ!?」
しおんは送られた暗号を読み上げる。
しお「・・・『それより用心しろ。シロサキがお前らを始末しに動き始めるぞ。』…て書いてある。」
しおんは生唾をのんだ。
しおんは席をたち、みつれに伝えるため部屋に行く。
しお「みつれさん!父さんから返信が来た!」
みつ「・・・なんてきたんだ?」
しお「エトのことは教えてくれなかったけど、シロサキが僕らを始末しに動き始めるって……」
みつ「・・・わかった。用心するようにリンにも伝えておく。」
みつれは立ち上がった。
みつ「『オビディエンス』のこともだいたいわかった。だがやはり入手経路を辿るのは難しそうだな。」
カオ「そのクスリには一般に入手出来る物を配合して作ってます。つまり専門知識があれば誰でも作ろうと思えば作れます。」
しお「・・・そうですか…。じゃあ別の方法を考えるしか無いですね……」
するとカエデが口を開いた。
カエ「あの……ひとつ質問なんですけど、カオリさんはこのクスリを作れるんですか?」
カエデは恐る恐るカオリに質問をした。
カオ「えぇ。作ろうと思えば。」
カエ「あまりいいことではありませんが、カオリさんがこのクスリを作ってハナさんに飲ませれば元に戻る可能性があるんじゃあ……」
まさかの発想に全員が驚いた。
皆の様子に慌てふためくカエデ。
カエ「や、やっぱりよくないですよね!ごめんなさい……」
みつ「いや…ハナさんはこのクスリで精神を壊されてシロサキに再構築されてる。それをもう一度こちらで再構築すれば……」
カオ「面白い発想ですね。非人道的には非人道的にを…ですか。ふふふッ。」
カエ「や、やっぱりダメです!ごめんなさい。忘れてください。」
カエデは手をブンブンと振り、発言を撤回しようとする。
しお「・・・確かにカエデちゃんの言う通り、非人道的でよくないけど、やる価値は充分あるかも。…カオリさん、このクスリを飲ませてハナさんが戻る可能性はあるんでしょうか?」
カオ「断言はできませんが、可能性はあるかもしれませんね。」
みつ「・・・その方法をするにはハナさんを拘束しないとダメだな……」
一同はまた考えはじめた。
ハナを拘束することはかなり難しい。
警察を使い、逮捕しようとしても居場所が分からない。
シロサキを狙い、捕まえればハナは出てくる。
ハナを拘束するにはシロサキを狙うのが妥当とみつれとしおんは考えた。
しお「・・・みつれさん」
みつ「あぁ…。やっぱりシロサキを捕まえるしかない。シロサキを捕まえないとハナさんの身柄を確保するのは無理だ。」
しお「そうだよね。同じ考えだよ。」
2人とも意見は同じだった。
みつ「・・・カオリさん、『オビディエンス』を作ってもらえませんか?私たちはシロサキを捕まえてハナさんの身柄を確保します。」
カオ「ふふっ、わかりました。……よつば、みつれさんたちに付いてなさい。クスリの調合は私ひとりで十分です。」
よつ「かしこまりました。ご主人様。」
自分の発言で方向性が決まってしまったカエデはオロオロしていた。
カエ「ちょ、ちょっと待ってください!本当にそれでやるんですか!?」
みつ「あぁ。カエデ、お前の発想は凄い。お前のおかげで前に進める。」
しお「そうだよ。流石カエデちゃん!」
カオ「子どもの発想は大人の私たちより柔軟ですからね。面白いです。」
カエ「えぇ………」
カエデは褒められることに悪い気はしなかったが、ずっと困惑していた。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
ガダンの寛ぎお食事処
蒼緋 玲
キャラ文芸
**********************************************
とある屋敷の料理人ガダンは、
元魔術師団の魔術師で現在は
使用人として働いている。
日々の生活の中で欠かせない
三大欲求の一つ『食欲』
時には住人の心に寄り添った食事
時には酒と共に彩りある肴を提供
時には美味しさを求めて自ら買い付けへ
時には住人同士のメニュー論争まで
国有数の料理人として名を馳せても過言では
ないくらい(住人談)、元魔術師の料理人が
織り成す美味なる心の籠もったお届けもの。
その先にある安らぎと癒やしのひとときを
ご提供致します。
今日も今日とて
食堂と厨房の間にあるカウンターで
肘をつき住人の食事風景を楽しみながら眺める
ガダンとその住人のちょっとした日常のお話。
**********************************************
【一日5秒を私にください】
からの、ガダンのご飯物語です。
単独で読めますが原作を読んでいただけると、
登場キャラの人となりもわかって
味に深みが出るかもしれません(宣伝)
外部サイトにも投稿しています。
Flower Girls〜オトナになった君たち〜
うどん
キャラ文芸
うどん劇場◥█̆̈◤࿉∥
『近所でちょっぴりウワサの姉妹』
『幼なじみといっしょに』
『思春期のかがりちゃん』
3作品のアフターストーリー。
成人式の後の同窓会。
20代になった新成人のうどん学園卒業生。
学級委員長だったこともあり、同窓会の幹事を任されるかがりは進行にあたふたしながらもこなしていく。
すると、ある女が話しかけてきた・・・
一方で、昔話に花が咲き、盛り上がったひまわりといちごは、同性カップルを集めて飲みなおそうと提案する。
そこで、いちご×ゆき、ひまわり×みずき、かがり×かんなのペアが集結した。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる