『ブラックボックス』

うどん

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〜最終章〜

168.『非人道的』

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闇医者のカオリとよつばが協力してくれることになった『カモミール』一行は、エトが作り上げたクスリ『オビディエンス』について探る。


エトの情報を得るために、しおんはダメ元でユウゼンにメッセージを送る。


よつ「なぁ、この数字はなに?」

よつばはしおんが打ち込む数字の羅列を聞いた。


しお「父さんと僕だけの暗号だよ。昔、父さんが作った暗号なんだ。」

しおんは暗号をよつばに教えた。

しお「前に父さんから突然この暗号が送られて来たんだ。返信がくるかはわからないけど、これなら組織の人間に僕とやり取りしてるのはバレないと思う。」


よつ「なんでアンタの父親は暗号で送ったりしたんだ?敵じゃないのか?」


しお「んー……それが正直分からなくなってる。前に送られてきた暗号には組織にとって不利なことを教えてくれた。組織の人間からみたら裏切り行為だよ。」


よつ「よく分からないな。組織を抜けた訳じゃないんだろ?」


しお「うん。けど組織のやり方が気に入らない部分があるみたいなんだ。父さんのおかげで『ドッグオーディション』を潰せたし、父さんもそれを望んでた。」

しおんは暗号を打ち終えた。

しお「よし、送信っと。」

よつ「なんて送ったの?」


しお「エトについて教えて的なことを送ったよ。まぁダメ元だけどね。流石に教えてはくれないと思う。」


よつ「そうだった場合、相手は警戒するんじゃないのか?ワタシたちがエトを探してるのがバレるぞ。」


しお「それはそれで構わないよ。それでなんらかの動きがあればそこから探ればいいし、接触してきてもよつばさんが居るしね。」


しおんはニコッと笑った。


よつ「ったく、ワタシをなんだと思ってんだ……」


しお「仮に父さんが直接来ても、その分話しやすくなる。襲撃されるデメリットもあるけどそれなりのメリットもあるかもしれない。」


よつ「・・・前のアンタの怪我…父親にやられたんだろ?デメリットのほうが強い気がするけど……」


しお「まぁ向こうの出方次第だけどね。……よつばさんはあれからどうしてたの?元気してた?」


よつ「あぁ、ご主人様にずっとついてたよ。相手がヤクザばっかで少し疲れるけどね。」


しお「大変だねぇ。けど元気でやってるならよかった。」



するとピコンっとPCが鳴った。

しお「ッ!?返信が来た!」


しおんはメッセージを開く。


よつ「なんて書いてあるんだ!?」

しおんは送られた暗号を読み上げる。


しお「・・・『それより用心しろ。シロサキがお前らを始末しに動き始めるぞ。』…て書いてある。」


しおんは生唾をのんだ。


しおんは席をたち、みつれに伝えるため部屋に行く。


しお「みつれさん!父さんから返信が来た!」


みつ「・・・なんてきたんだ?」


しお「エトのことは教えてくれなかったけど、シロサキが僕らを始末しに動き始めるって……」


みつ「・・・わかった。用心するようにリンにも伝えておく。」


みつれは立ち上がった。


みつ「『オビディエンス』のこともだいたいわかった。だがやはり入手経路を辿るのは難しそうだな。」


カオ「そのクスリには一般に入手出来る物を配合して作ってます。つまり専門知識があれば誰でも作ろうと思えば作れます。」


しお「・・・そうですか…。じゃあ別の方法を考えるしか無いですね……」


するとカエデが口を開いた。


カエ「あの……ひとつ質問なんですけど、カオリさんはこのクスリを作れるんですか?」

カエデは恐る恐るカオリに質問をした。


カオ「えぇ。作ろうと思えば。」


カエ「あまりいいことではありませんが、カオリさんがこのクスリを作ってハナさんに飲ませれば元に戻る可能性があるんじゃあ……」


まさかの発想に全員が驚いた。
皆の様子に慌てふためくカエデ。


カエ「や、やっぱりよくないですよね!ごめんなさい……」


みつ「いや…ハナさんはこのクスリで精神を壊されてシロサキに再構築されてる。それをもう一度こちらで再構築すれば……」


カオ「面白い発想ですね。非人道的には非人道的にを…ですか。ふふふッ。」


カエ「や、やっぱりダメです!ごめんなさい。忘れてください。」


カエデは手をブンブンと振り、発言を撤回しようとする。


しお「・・・確かにカエデちゃんの言う通り、非人道的でよくないけど、やる価値は充分あるかも。…カオリさん、このクスリを飲ませてハナさんが戻る可能性はあるんでしょうか?」


カオ「断言はできませんが、可能性はあるかもしれませんね。」


みつ「・・・その方法をするにはハナさんを拘束しないとダメだな……」


一同はまた考えはじめた。

ハナを拘束することはかなり難しい。
警察を使い、逮捕しようとしても居場所が分からない。


シロサキを狙い、捕まえればハナは出てくる。

ハナを拘束するにはシロサキを狙うのが妥当とみつれとしおんは考えた。


しお「・・・みつれさん」


みつ「あぁ…。やっぱりシロサキを捕まえるしかない。シロサキを捕まえないとハナさんの身柄を確保するのは無理だ。」


しお「そうだよね。同じ考えだよ。」


2人とも意見は同じだった。


みつ「・・・カオリさん、『オビディエンス』を作ってもらえませんか?私たちはシロサキを捕まえてハナさんの身柄を確保します。」


カオ「ふふっ、わかりました。……よつば、みつれさんたちに付いてなさい。クスリの調合は私ひとりで十分です。」


よつ「かしこまりました。ご主人様。」


自分の発言で方向性が決まってしまったカエデはオロオロしていた。


カエ「ちょ、ちょっと待ってください!本当にそれでやるんですか!?」


みつ「あぁ。カエデ、お前の発想は凄い。お前のおかげで前に進める。」


しお「そうだよ。流石カエデちゃん!」


カオ「子どもの発想は大人の私たちより柔軟ですからね。面白いです。」



カエ「えぇ………」


カエデは褒められることに悪い気はしなかったが、ずっと困惑していた。

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