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〜最終章〜
167.『心強い助っ人』
しおりを挟む捜査報告書をみただけでクスリを作った人物がわかったカオリ。
カオリは話しはじめた。
カオ「彼とは学生時代の同期でした。大学院を卒業して私と同じ病院に配属されましたが、彼は少々変わり者でしてね…。私がいうのもアレですが。」
カオリはふふっと笑いながら話を続けた。
カオ「医者としての腕は今ひとつですが、クスリの調合は見事でした。ですがある日から彼は消息不明になりました……」
みつ「・・・そのエトが組織でクスリを作っているって事ですか。」
カオ「そういうことですね。」
しお「ちょっと待ってください。そもそもなんでその人が作ったクスリってわかるんですか?」
カオ「このクスリ、『オビディエンス』という名前ではないですか?」
みつ・しお「ッ!!?」
2人は驚いた。
クスリの名前はまだカオリには言っていなかったからだ。
カオ「『オビディエンス』はエトが作り出したクスリの名称です。裏社会で一時期一部で出回ったクスリです。」
しお「そ、そうなんですね……。」
カオ「このクスリは人を支配するのに特化したクスリです。まぁ副作用が少々キツイですが。」
みつ「・・・副作用は記憶障害……。スイのメモに書いてあった。」
カオリは頷く。
カオ「はい。みつれさんのように記憶障害を引き起こします。まぁ過剰摂取したらですがね。」
しお「・・・そのエトは今何処にいるかわかりますか?」
カオ「そこまでは分かりません。ただこれを作ったのはエトで間違い無いですね。」
エトって名前がわかっただけでも収穫があった『カモミール』一同。
しお「・・・ダメ元で暗号で父さんに聞いてみるよ。」
みつ「あぁ。頼む。」
するとよつばが口を開いた。
よつ「そういえばしおんさん、父親とはどうなったんですか?」
しお「・・・いや、まだ決着ついていないんです。けど、少し進展があったような……無いような……」
どう説明すればわからず唸るしおん。
カオ「・・・この件、私たちも協力しましょう。昔の同僚が今どうなっているのか、少し興味があります。」
みつ「ありがとうございます。クスリの事は私たち素人なので心強いです。」
『カモミール』一同はカオリとよつばに頭を下げる。
カオ「ふふっ。よつば、みつれさんたちをサポートしてあげなさい。けどあまりムチャはしないように。」
よつ「かしこまりました。ご主人様。」
カエ「((・・・ん?ご主人様?))」
カエデでカオリとよつばのもうひとつの関係性を知らず、目がキョトンとなった。
みつ「じゃあ、しおんはユウゼンにエトのことを聞き出してみてくれ。」
しお「あまり期待しないでよ?」
みつ「あぁ、分かっている。」
しおんはキーボードを打ち始めた。
よつばは画面を覗くようにしおんの後ろに立った。
みつ「カオリさん、この『オビディエンス』についてもっと詳しく教えてください。」
カオ「えぇ、もちろん。私の知る範囲でよければ。」
カオリはチラチラと後ろ姿のしおんとよつばを見る。
みつれはそれを察して自分の部屋に案内した。
みつ「・・・私の部屋にどうぞ。…カエデ、お前も来い。」
カエ「えっ!?は、はい!」
みつれとカエデとカオリは部屋に移動した。
みつ「・・・カオリさん、アナタ…随分あの二人を面白そうにみてますね…」
カオリはクスクスと笑う。
カオ「いくらペットといえどよつばは女の子です。それくらいの思いはさせてあげたいのは親心ですかね。ふふふッ。」
するとカエデは思っていた疑問を微笑んでいる2人に聞いた。
カエ「あの……カオリさんとよつばさんってどういう………ペットって?」
カオ「おや、気になりますか?カエデさん。」
カオリはカエデに微笑む。
カエデはこくりと頷いた。
カオ「アナタ、歳はいくつですか?」
カエ「じゅ……14です。」
カオ「14歳の娘に話すには少々理解に苦しむかも知れませんが……」
カオリはみつれを見る。
みつ「・・・カエデ、カオリさんとよつばさんは主従関係なんだ。」
カエ「主従関係……ですか?」
カオ「簡単に言えば、飼い主とペットです。アナタたちが追ってる組織でいうと『犬』に近いですね。まぁよつばは犬というより猛犬ですが。ふふふっ。」
カオリはクスクス笑った。
カエ「なるほど……」
カエデはなんとなく理解した。
みつ「フッ、では本題に入りましょう。」
みつれはクスリのことについて詳しく聞いた。。。
しおんとよつばは2人きりでモニターをみていた。
しお「・・・よつばさん。あの日以来だね…久しぶり。」
よつ「今更ご挨拶かよ。…連絡もよこさねぇからワタシはてっきり死んだのかと思ってたよ。ご主人様に電話の1本くらいしておけ。馬鹿。」
よつばはしおんの肩をグッと掴んだ。
しお「イタタタタッ!!痛いよよつばさん!」
あまりの力強さに声が出るしおん。
よつ「ワタシがどんだけ心配したと思ってんだ。あれからどうなったのかちゃんと説明しろ。」
よつばはしおんの肩から手を離す。
しお「し、心配させてごめんねよつばさん。あの日から……」
しおんはカオリとよつばから痛み止めの薬を受け取った日以降の話をよつばに話した。
父親 ユウゼンとの決着、仲間だったハナの拉致、総理邸爆破事件、カエデの仲間入り、『ドッグオーディション』でのハナ奪還作戦、みつれの復讐の一人 トドロキの死………。
よつばは黙ってしおんの話を聞いていた。
しお「本当に色々あったよ。けど解決してない問題がまだまだある。」
よつ「・・・そうだったのか。んで、今はそのハナさんを助ける為に動いていると。」
しお「まぁそうだね。でも正直難しいと思う。ハナさんはトドロキを手にかけてしまったし……」
よつ「・・・事情はだいたいわかった。ワタシに出来ることはなんでもする。ご主人様の命令だしな。」
しお「よつばさんがいれば心強いよ。ありがとう。」
しおんはよつばに微笑んだ。
よつばはふと顔が赤くなる。
よつ「ち、父親にメッセージ打つんだろ?早くしろよ!」
よつばはしおんの背中をバンッと叩く。
しお「イタタ……わかってるよぉ。」
しおんはキーボードを打ち込む。
それを間近で見守るよつば。
2人は久しぶりに再会しても相変わらずだった。。。
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