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〜第5章〜
135.『説得』
しおりを挟むみつれとしおんはユウゼンの後を追う。
ユウゼンは街を歩いていた。
みつれは人混みに紛れながら尾行を始める。
しお「みつれさん、父さんの前方に組織のワゴン車は無いしそれらしい車も無いよ。…迎えは無いのかな?」
みつ「分からない。何処へ行く気だ…」
ユウゼンはしばらく歩いている。
すると喫茶店に入っていった。
みつ「しおん、見えてるか?」
しお「うん。喫茶店に入っていったね。その店には防犯カメラは無いから中を覗けないよ。」
みつ「・・・入るしかないか…。」
しお「気をつけて。」
みつれもユウゼンが入った喫茶店に入っていく。
ユウゼンの座ってる席より少し離れた所に座るみつれ。
するとユウゼンは喋り始めた。
ユウ「そんなとこ座ってないでこっちに来たらどうだ?便利屋。」
ユウゼンは尾行に気付いていたようだ。
みつ「・・・どうやらバレていたらしいな。」
みつれは席を立ち、ユウゼンの席に座った。
ユウ「少し話をしよう。それも取れ。」
ユウゼンは耳に指を当てた。
みつ「・・・全てお見通しってわけか。…しおん、切るぞ。」
みつれはしおんとの通信を切ってインカムを外した。
すると店員が注文に伺ってきた。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
ユウ「アイスコーヒー2つ、お願いします。」
ユウゼンは丁寧に店員に注文した。
「かしこまりました。」
店員は厨房へ戻っていった。
みつ「・・・どういうつもりだ。」
ユウ「お前らが後をつけるのは分かっていた。しおんが防犯カメラやドローンを使って、お前は直接尾行……そんなところだろ。」
ユウゼンは全てお見通しだった。
みつ「ならなぜ私を殺さない?わざわざ事務所まできたお前の本当の目的はなんだ!?」
ユウ「・・・お前、あの廃ビルでアルバムの中を見ただろ。」
以前みつれが廃ビルの瓦礫の中から見つけたユウゼンのアルバムのことだ。
みつ「・・・あぁ。」
ユウゼンは静かに話し始めた。
ユウ「シロサキさんがお前らを始末しようと考えている。…俺はしおんに死んでほしくない。」
みつ「お前は家族を捨てたんだろ?なぜ捨てた家族をそう思うんだ?」
ユウ「俺は好きで家族を捨てた訳では無い。」
みつ「・・・なにか事情がある…ていうのか?」
ユウ「それはお前には関係ない。…お前からもしおんを説得してほしい。もう関わるなと。」
ユウゼンはみつれにしおんの説得を頼んだ。
みつ「それは無理だ。アイツはお前をとめるために今まで動いていた。これからも変わらないだろう。…たとえ私が死んでもな。」
みつれはしおんをわかっていた。
仮に自分が説得したところでとまるようなヤツでは無いことを。
店員がアイスコーヒーをテーブルに置いた。
どうもありがとう。とユウゼンは店員に礼を言った。
ユウ「お前が死んでも変わらない…か。」
ユウゼンはアイスコーヒーを飲んだ。
ユウ「・・・シロサキさんはお前らを始末するつもりだ。だが今は飼育で忙しい。…お前らは生かされているだけだ。」
みつ「そんなことは問題では無い。ハナさんは必ず取り戻す。」
ユウ「・・・俺はあの『犬』というのが理解出来なくてな。人を奴隷のようにするのは俺の考えには合わない。」
ユウゼンは立ち上がった。
ユウ「居場所を知らないのは本当だ。だがシロサキさんはあの刑事を来月の『ドッグオーディション』のは知っている。会場は人手が少ない。それがお前らが唯一取り戻せれるチャンスだ。無駄にするなよ。」
ユウゼンはコーヒー代を置いて去ろうとする。
みつ「待て!どうしてそれを教える!?」
ユウゼンは振り返る。
ユウ「組織のそういうことが気に入らないからだ。」
ユウゼンは真っ直ぐな目をしてみつれに言い放った。
ユウゼンは店を後にした。
みつ「・・・」
ユウゼンが店を出た後、しおんから着信がはいる。
しお「みつれさん!!大丈夫!?無事!?」
みつ「あぁ、大丈夫だ。」
しお「父さんと何を話したの?」
みつ「事務所に来た時に言ってたことだ。……とりあえず事務所戻るよ。」
みつれは一度事務所に戻ることを告げる。
しお「え!?追わないの!?」
みつ「監視はしておいてくれ。じゃあ。」
みつれは電話を切った。
みつ「・・・ユウゼンのあの目……しおんと同じだったな。」
みつれは喫茶店を後にした。。。
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