『ブラックボックス』

うどん

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〜第4章〜

118.『ユウゼンのアルバム』

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防衛大臣親族誘拐事件。

防衛大臣の辞任は阻止出来なかったが無事に人質を救出でき、事件は幕を下ろした。


総理大臣邸に篭城していたテロリスト3名は死亡。
爆発による特殊部隊の死者は無し。

だがこの事件で国に尊大なダメージを受けた。

テロ組織の脅迫で防衛大臣が辞任を発表したことにより、『テロに屈した国』とレッテルが貼られてしまった。


リンたち警察は事件の後処理に追われていた。



みつれはひとまずしおんとカエデの元に戻る。

みつれは病室の扉を開けた。


カエ「みつれさん!おかえりなさい!」

しお「おかえり、みつれさん。あれ?リンさんは?」

みつ「リンは署に呼ばれた。事件の後処理に追われるだろうな。」

しお「そうだったんだ。けどまだ事件は終わってない。」

みつ「あぁ、ハナさんを見つけ出すまではな。」


みつれとしおんはハナの捜索をすることになる。
ハナは以前も行方不明のままだ。

みつれは篭城していた構成員にシロサキの居場所を聞き出そうと思っていたがそれはかなわずに終わった。


しお「ところでみつれさん。カエデちゃんが話があるってさ。」

みつ「ん?どうした?」

カエデは少しモジモジしていた。

カエ「あ、あの……私をカモミールに入れてください!!お願いします!!」

カエデはみつれに頭を下げた。


みつ「え?」

唖然とするみつれ。


しお「カエデちゃんが僕らの手伝いをしたいんだって。」

みつれに説明をするしおん。


みつ「・・・いいだろう。けど条件がある。」

カエ「・・・なんですか?」

みつ「1つは現場には絶対連れていかない。それともう1つはちゃんと学校に行って卒業すること。それまではしおんの手伝いだ。それが条件だよカエデさん。」

みつれの出した条件は前回と同じだった。

カエ「はい!分かりました!」

みつ「それと、カエデさんはもう立派な私たちの仲間だ。なにかあつたらすぐに仲間を頼れ。いいね?」

カエ「ありがとうございます!!」


しお「じゃあカエデさんはカモミールナンバー4だね!!」

みつ「ちょっと待てなんだそのナンバリング?3は誰なんだ?」

しお「ナンバー3は……秘密!!」

みつ「なんだそりゃ…」


3人は笑った。



みつ「とりあえずお前は身体を治せ。それまでヤツらの情報を集めよう。カエデさんは可能な限り手伝ってくれ。」

カエ「わかりました!」

しお「みつれさんは?」

みつ「私はもう一度廃ビルに行くよ。なにか手がかりがあるかもしれない。」

みつれはユウゼンが居た廃ビルに行くことにした。

しお「わかった。気をつけてね。」

みつ「あぁ、行ってくる。」


事件が終わってもみつれ達は休むこと無く動き続ける。


みつれはバイクで廃ビルにやってきた。

爆破で瓦礫しか残っていないがみつれは手がかりを探し始めた。


みつ「レスキュー隊が探したがみつからなかったって言ってたな……。やはり拉致されたのか…」

みつれは瓦礫の中に1冊の小さなファイルを発見した。

みつ「なんだこれ……写真?」

中を見ると、幼い頃のしおんの写真があった。

みつ「ッ!?…しおんの家族のアルバムか!?」

そこには今まで幸せそうなしおん家の日常の写真が数枚貼られていた。


みつ「・・・家族を捨てたヤツが何故こんな物を持ってる?」

みつれはアルバムの最後のページを捲る。

そこには家族3人で記念写真を撮った1枚があった。

みつ「・・・これをアイツに見せて大丈夫だろうか………。」

思い耽っていると、後ろから人の気配がした。


みつれは振り返るとユウゼンが立っていた。


みつ「ッ!?ユウゼン!?」

ユウ「お前は確か…みつれ…だったな。」

みつれはサバイバルナイフを構える。


ユウ「・・・やめておけ。」


みつ「お前に聞きたい事がある!!」


みつれは構えを解かず、ユウゼンに質問をする。

みつ「ハナさんは何処だ!!?」

ユウ「ハナ?あぁ、あの関西弁の女か。…悪いが俺は知らない。」

ユウゼンは首を横に振った。

みつ「なら、シロサキは何処だ!?」

ユウ「言うわけないだろ。お前馬鹿なのか?」

みつれはユウゼンに近づきナイフで切りつけようとする。
しかしユウゼンに受け止められ、ナイフを弾かれる。

みつ「くっ!」

みつれはユウゼンに蹴りを入れるが全く効かない。

ユウゼンはみつれの腹に拳を打ち込む。

みつ「ぐぅ……」

まともに食らったみつれはその場に崩れて嘔吐した。

ユウ「お前では俺に勝てないぞ。『ポチ』。」

ユウゼンはみつれを『ポチ』と呼んだ。


みつ「ッ!?…ぐッ……黙れッ!……その名前を呼んでいいのはスイだけだ!!!」

怒声をあげ、みつれは立ち上がってユウゼンに攻撃していく。

ユウゼンに拳を打ち込んでいくが効いている様子はない。

ユウゼンはみつれの腕を殴った。

みつ「うぅッ!」

骨折したところを攻撃され、みつれは激痛のあまり怯む。

そのスキをつかれ、ユウゼンの蹴りを食らい吹き飛ぶみつれ。


ユウ「お前は弱くない。むしろ強いほうだが、俺の方が強い。それだけだ。」


ユウゼンは小さなアルバムを拾い上げた。

ユウ「これを取りに来ただけなんだ。…じゃあな。」

みつ「ぐ……待て……」

みつれはふらふらと立ち上がって構える。


ユウ「・・・タフなヤツだな。」


みつれは再びユウゼンに攻撃しようとする。

だが阻止され、みつれは頭を掴まれ持ち上げられる。

みつ「グッ……ガァァァ……ッ!!」

頭を強く掴まれ声をあげるみつれ。


ユウ「これでわかっただろ。お前は俺には勝てない。」

パッと離され、みつれはユウゼンに蹴り飛ばされた。


みつ「うぅ……」

みつれはまた立ち上がろうとする。

ユウ「・・・面白いヤツだ。またな。」

ユウゼンは背を向けて去っていく。


みつ「ま……まて……ユウ……ゼ………」



みつれは意識を失って倒れた。。。
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