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〜第4章〜
108.『準備』
しおりを挟むしおんはユウゼンに電話をかけた。
ハナ「と、父さんって…ユウゼンに!?」
しーっと人差し指をたてるしおん。
するとユウゼンが電話に出た。
ユウ「・・・なんでこの番号がわかった…しおん。」
しお「父さん。父さんに投げ飛ばされた時に部屋からデータを盗み出したんだよ。」
ユウ「ふっ、ハッキングで盗むのでは無く物理的に盗み出すとはな。……なんの用だ?」
しお「今晩、もう一度父さんに会いにいく。話をしよう。昔みたいに。」
ユウ「悪いなしおん。今大事な仕事の最中なんだ。お前に構ってる暇は無い。」
しお「父さんの大事なデータが僕の手元にあるって言ったら?」
ユウ「・・・なんだと?」
ユウゼンの声色が変わった。
しお「僕が父さんの番号だけ盗んだわけないだろ。組織の情報が入ったデータを僕のUSBにバックアップしたんだ。それを警察に渡せば、組織は次々と崩壊する。父さんの夢の実現も不可能になるよ。」
ユウ「・・・なるほど。してやられたわけか。お前わざと投げ飛ばされたのか…。大した度胸だ。ふっ……成長したな。」
ユウゼンはしおんの度胸を褒めた。
しお「で、どうするの?」
ユウ「・・・いいだろう。会ってやる。待ってるぞ、しおん。」
ユウゼンは電話を切った。
しお「・・・ふぅ……」
ハナ「しおん君……組織のデータって……」
しお「あぁ、あれはブラフです。」
しおんはニッと笑った。
ハナ「え?嘘かいな!」
しお「本当はそれがよかったんですが流石に無理でした。盗めたのは一部だけです。」
しおんはさらに電話をかける。
しお「あ、もしもし。ご無沙汰してます。ちょっとお願いしたいことが……。……はい。では後ほど。」
しおんは電話を切った。
ハナ「?次はどこかけたんや?」
しお「ハナさん、僕をあるところに連れて行ってくれませんか?お願いします。」
しおんはハナに頭を下げた。
ハナ「え、ええけど…それも準備のひとつなん?」
しお「はい。必要なことなんです。」
ハナ「・・・わかった。ほないこか?」
ハナはしおんをおぶって病院を出た。
むかった先は喫茶店だった。
しお「すみませんが車で待ってて貰えますか?」
ハナ「大丈夫なん?歩ける?」
しお「なんとか大丈夫です。」
しおんはゆっくり車を降り、店に入っていく。
ハナ「ホンマに大丈夫かいな……」
しおんは店内に入ると奥の席にむかった。
しお「お待たせしてすみません。…カオリさん、よつばさん。」
待っていたのは闇医者のカオリと助手のよつばだった。
カオ「おやおや。随分ボロボロですね。」
よつ「しおんさん!?何があったんですか!?みつれさんは?」
しお「今日は僕だけです。…カオリさん、すみませんが痛み止めを頂けませんか?なるべく強いやつを。」
カオ「・・・どうやらワケありのようですね。」
カオリはコーヒーを飲んだ。
よつ「なにがあったか教えてください!しおんさん!」
しお「わかった。話すよ。…実は………」
しおんはこれまでの経緯を2人に話した。
カオ「・・・なるほど。父親と……」
よつ「まさか刺し違える気ですか!?」
冷静に聞くカオリとは逆によつばは興奮気味だった。
ボロボロのしおんを見て心配だったのだろう。
しお「だからどうしても薬が必要なんです。お願いします。」
しおんは2人に頭を下げた。
カオ「いいですよ。よつば、渡してやりなさい。」
よつ「はい、ご主人様。」
よつばはしおんに薬を渡した。
カオ「前回の件の時によつばに渡したものと同じです。強いものですから飲み過ぎには気を付けてください。」
しお「ありがとうございます。」
カオ「ついでに言うとよつばは平気なようにみえてたと思いますが、身体が丈夫なだけです。ふふふ。」
カオリは微笑んだ。
もうっ!っと顔が赤くなるよつば。
しお「ありがとうございます。助かります。」
カオ「あまり無理をしないようにしなさい。みつれさんが困ってしまいますよ。」
しお「はい。もちろんです。突然お呼びしてすみませんでした。では失礼します。」
しおんは席を立ち、店を出ようとする。
よつ「あ…………っ………」
よつばは一瞬少し寂しそうな顔をした。
カオ「・・・外までお見送りしてあげなさい、よつば。」
よつ「はい!!」
よつばは走ってフラフラ歩くしおんの肩を持つ。
しお「よつば…さん?」
よつ「外まで送るよ。ワタシの手掴みな。」
手を差し伸べるよつばの顔は少し赤くなっていた。
しお「ふふっ、ありがと。よつばさん。」
しおんはニコッと笑った。。。
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