『ブラックボックス』

うどん

文字の大きさ
上 下
112 / 187
〜第4章〜

108.『準備』

しおりを挟む


しおんはユウゼンに電話をかけた。



ハナ「と、父さんって…ユウゼンに!?」

しーっと人差し指をたてるしおん。



するとユウゼンが電話に出た。




ユウ「・・・なんでこの番号がわかった…しおん。」


しお「父さん。父さんに投げ飛ばされた時に部屋からデータを盗み出したんだよ。」



ユウ「ふっ、ハッキングで盗むのでは無く物理的に盗み出すとはな。……なんの用だ?」


しお「今晩、もう一度父さんに会いにいく。話をしよう。昔みたいに。」


ユウ「悪いなしおん。今大事な仕事の最中なんだ。お前に構ってる暇は無い。」



しお「父さんの大事なデータが僕の手元にあるって言ったら?」



ユウ「・・・なんだと?」

ユウゼンの声色が変わった。



しお「僕が父さんの番号だけ盗んだわけないだろ。組織の情報が入ったデータを僕のUSBにバックアップしたんだ。それを警察に渡せば、組織は次々と崩壊する。父さんの夢の実現も不可能になるよ。」


ユウ「・・・なるほど。してやられたわけか。お前わざと投げ飛ばされたのか…。大した度胸だ。ふっ……成長したな。」

ユウゼンはしおんの度胸を褒めた。


しお「で、どうするの?」


ユウ「・・・いいだろう。会ってやる。待ってるぞ、しおん。」

ユウゼンは電話を切った。



しお「・・・ふぅ……」


ハナ「しおん君……組織のデータって……」


しお「あぁ、あれはブラフです。」
しおんはニッと笑った。


ハナ「え?嘘かいな!」


しお「本当はそれがよかったんですが流石に無理でした。盗めたのは一部だけです。」


しおんはさらに電話をかける。


しお「あ、もしもし。ご無沙汰してます。ちょっとお願いしたいことが……。……はい。では後ほど。」

しおんは電話を切った。


ハナ「?次はどこかけたんや?」


しお「ハナさん、僕をあるところに連れて行ってくれませんか?お願いします。」

しおんはハナに頭を下げた。


ハナ「え、ええけど…それも準備のひとつなん?」

しお「はい。必要なことなんです。」


ハナ「・・・わかった。ほないこか?」

ハナはしおんをおぶって病院を出た。





むかった先は喫茶店だった。


しお「すみませんが車で待ってて貰えますか?」


ハナ「大丈夫なん?歩ける?」


しお「なんとか大丈夫です。」

しおんはゆっくり車を降り、店に入っていく。


ハナ「ホンマに大丈夫かいな……」





しおんは店内に入ると奥の席にむかった。


しお「お待たせしてすみません。…カオリさん、よつばさん。」


待っていたのは闇医者のカオリと助手のよつばだった。


カオ「おやおや。随分ボロボロですね。」


よつ「しおんさん!?何があったんですか!?みつれさんは?」


しお「今日は僕だけです。…カオリさん、すみませんが痛み止めを頂けませんか?なるべく強いやつを。」


カオ「・・・どうやらワケありのようですね。」

カオリはコーヒーを飲んだ。

よつ「なにがあったか教えてください!しおんさん!」


しお「わかった。話すよ。…実は………」

しおんはこれまでの経緯を2人に話した。


カオ「・・・なるほど。父親と……」


よつ「まさか刺し違える気ですか!?」

冷静に聞くカオリとは逆によつばは興奮気味だった。
ボロボロのしおんを見て心配だったのだろう。


しお「だからどうしても薬が必要なんです。お願いします。」

しおんは2人に頭を下げた。


カオ「いいですよ。よつば、渡してやりなさい。」

よつ「はい、ご主人様。」

よつばはしおんに薬を渡した。

カオ「前回の件の時によつばに渡したものと同じです。強いものですから飲み過ぎには気を付けてください。」

しお「ありがとうございます。」

カオ「ついでに言うとよつばは平気なようにみえてたと思いますが、身体が丈夫なだけです。ふふふ。」

カオリは微笑んだ。

もうっ!っと顔が赤くなるよつば。


しお「ありがとうございます。助かります。」


カオ「あまり無理をしないようにしなさい。みつれさんが困ってしまいますよ。」


しお「はい。もちろんです。突然お呼びしてすみませんでした。では失礼します。」

しおんは席を立ち、店を出ようとする。


よつ「あ…………っ………」

よつばは一瞬少し寂しそうな顔をした。



カオ「・・・外までお見送りしてあげなさい、よつば。」


よつ「はい!!」

よつばは走ってフラフラ歩くしおんの肩を持つ。



しお「よつば…さん?」

よつ「外まで送るよ。ワタシの手掴みな。」

手を差し伸べるよつばの顔は少し赤くなっていた。

しお「ふふっ、ありがと。よつばさん。」



しおんはニコッと笑った。。。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

Flower Girls〜オトナになった君たち〜

うどん
キャラ文芸
うどん劇場◥█̆̈◤࿉∥ 『近所でちょっぴりウワサの姉妹』 『幼なじみといっしょに』 『思春期のかがりちゃん』 3作品のアフターストーリー。 成人式の後の同窓会。 20代になった新成人のうどん学園卒業生。 学級委員長だったこともあり、同窓会の幹事を任されるかがりは進行にあたふたしながらもこなしていく。 すると、ある女が話しかけてきた・・・ 一方で、昔話に花が咲き、盛り上がったひまわりといちごは、同性カップルを集めて飲みなおそうと提案する。 そこで、いちご×ゆき、ひまわり×みずき、かがり×かんなのペアが集結した。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...