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〜第3章〜
84.『〜裏切りの逃亡者編〜覚醒』
しおりを挟む立体駐車場の屋上にいる4人は硬直状態が続いていた。
よつ「みつれさん……退いて!!」
スイ「やめろポチッ!!下がってて!」
みつ「退かない!スイは撃たせない!!」
みつれはスイの前を退こうとしなかった。
しお「みつれさん……」
しおんも動けなかった。
最悪スイがみつれを人質にするかもしれない。
スイ「ポチ…もうやめろ…危ないよ。」
みつ「うるさい!スイはわたしが守る!」
目に涙を溜めながらみつれは言い放った。
よつ「・・・くそっ…どうすれば……」
よつばは引き金を引けずにいた。
この4人の誰ひとりとして動けずにいた。
一方、シロサキは立体駐車場に到着した。
シロ「ユウゼン!今どんな状況?」
ユウ「『犬』がスイさんの前に立ってそのまま硬直状態ですね。」
シロ「よし。分かった。」
シロサキはワゴン車を降りる。
シロ「お前らはここで待ってろ。」
シロサキは立体駐車場に入りエレベーターで屋上まで上がった。
屋上に到着したシロサキ。
エレベーターの到着音が鳴り扉が開く。
屋上にいた4人の視線はシロサキに集まった。
スイ「ッ!?シロサキ!?」
しお「ッ!?」
よつ「ッ!?」
シロサキはスイッチを持ってニヤッと笑った。
スイ「ッ!?やばい!!!」
スイは後ろからみつれを抱き締め、身を丸めた。
しおんも瞬時に気付き、車から離れようとする。
よつばはしおんの元に走り出した。
シロ「死ね。」
シロサキがスイッチを押した瞬間、車が大爆発した。
4人は爆発で吹き飛ばされる。
車は炎上し、煙が立ち込める。
シロサキはエレベーターを出て銃を2丁取り出し、燃え盛る車に向かって歩いていく。
シロ「さぁ、ちゃんと死んだ?確認していくよぉ」
あたりは一面煙に包まれている。
シロサキはその中をゆっくり歩き出した。
スイ「うぅ……ポ…ポチ……」
スイは抱いたみつれの生存を確認する。
みつ「……お……お母さ………」
スイ「ぶ……無事でよかった……」
みつ「・・・スイ……」
煙の中で2人は生きていた。
だが爆発をもろに受けたスイはもう動くことが出来なかった。
スイ「ポチ……逃げて……私は……もう動けない……」
スイは瀕死の重傷を負っていた。
もう逃げる力が残されていなかった。
みつ「ダメだ。死ぬなスイ!私が助ける!」
スイ「・・・ポチ?…あんた……まさか……」
みつ「思い出したよ。なにもかも。」
みつれは爆発で記憶が戻っていた。
スイ「ふっ……爆発が…トリガー……だったか……」
スイは諦めた。
もう、なにもかも。
スイ「・・・だったら…私を…殺してよ……ポチの手で……終わらせて……」
スイは涙を流しながらみつれに言った。
みつ「・・・」
みつれはスイの手を握った。
スイ「・・・どうしたの……殺り…なよ……」
みつ「全部わかったんだよ。アンタが私を本気で愛してくれてたことを……。」
みつれはスイの手を力強く握る。
みつ「爆発の時、アンタは私を庇ってくれた。…私のお母さんが私を守ってくれたように……。」
みつれの目から涙が零れ落ちた。
スイ「ポ……ポチ………」
みつ「スイ……まだ死なないで。必ず助けるから!」
みつれはスイをおぶり、シロサキに見つからないように進んだ。
シロサキは周りを見渡すが煙で見えなかった。
シロ「・・・ユウゼン。カメラから動きわかる?」
ユウ「煙が凄くてわからないですね。」
映像でも居場所は把握出来なかった。
シロ「はぁ……」
シロサキがため息をついた時、よつばたちが乗ってきたバイクのエンジン音が聞こえた。
シロ「ッ!?」
シロサキは音のなるほうに銃を構え、発砲した。
だがバイクの音はどんどんシロサキに近づいていき、バイクがシロサキの横を横切った。
バイクを運転していたのはみつれだった。
後ろには瀕死のスイが乗っていた。
シロ「くそっ!死に損ないが!!!」
シロサキはバイクを狙い撃つが、みつれは華麗に避けていく。
みつ「しっかり捕まって!スイ!」
みつれはバイクに乗ったままエレベーターに乗り込んだ。
そして1階に降りていく。
シロ「くそ!ユウゼン!カメラで追え!!」
ユウ「了解」
シロ「便利屋は後だ!先にスイと『犬』を始末する!!」
シロサキは非常階段から下に降りていく。
記憶が戻ったみつれはスイを助ける為にシロサキから逃げた。。。
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