俺の番は噛み跡を消す

ユミグ

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奇襲

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「ユイ」

「・・・ん」

「飯だ、起きれるか?」

「ん・・・あい」



こいつは寝不足にはあんまなんねぇな

不思議と俺もだが

そのかわり前は食事も与えねぇで貪ったからあれからは寝てても飯を優先するようにしてる



「食うぞ」

「あい」



寝起きに食うと素直に食べさせてくれるな

俺の腕の中で無防備にしやがって、可愛い



「ユイ」

「ありぇは、ん、ん、ぢゅ、ん、はふっ」

「ほんとお前可愛いな」

「っっ~~」

「あーーー、匂いで威嚇しないのは無理だ諦めろ」

「にゃ!?にゃんれ?」

「ずっと挿れっぱなしにして匂いつけておきてぇからだ、蜜月取れるまで無理だと思え」



また顔を隠して恥ずかしがる

ユイはたまに訳分かんねぇとこで恥ずかしがるな



了承は取れたし手出して平気だよな?

恐る恐る体を弄まさぐると耳をぴくぴくさせて抱きついてくるから遠慮なく押し倒した

そっから5日間はほとんど蜜月のような時を過ごした





✼✼✼✼✼





「ユイ」

「・・・・・」

「ユイ、機嫌直せ」

ぷいっ「・・・・・」

「悪かったって、その代わり今日飲もうぜ」

「・・・ほんちょ?」

「ああ、約束する」

じーーーーーー

「本当に」

「あい」



3日前に父上と母上と酒を飲む約束をしてたんだが、俺が抱き潰して寝かせたのが抱き潰しただけじゃなく、わざと抱き潰すようにしたって事がバレた



番ってすぐ他の奴に合わせたくねぇ



「ありぇは、嫌にゃら嫌って言うのらよ」

「嫌っつったら会わねぇのか?」

「あい」

「本気か?」

「ちゅがい、いやちってる」



番に独占欲が強いって事は知ってるっていう意味か

でもそれで納得するかは別だろ



「本当にいいのか?」

「・・・ユイらって、ありぇはどくちぇんちたい・・・・かもちれない」

「おい」

「・・・」

「ふっ、お前本当に最高の番だな」

「ちょーれもない」

「とりあえず今日は飲もうぜ、蜜月の時に独占させてくれ」

「・・・・・あい、あいちょ」

「ミッシェル達が戻ってきたから話聞いてくる、その間母上と茶でも飲んどけ」

「あい」

「寂しくないか?」

「にゃっ!?」 

「寂しいだろ?」

「にゃ!ち、ちらにゃい」

「なんでだよ、俺は考えただけで寂しいんだけど」

「あ、ぁぅ・・・」

「寂しくねぇの?」

「ぅ、しゃ、しゃ」



バリバリバリバリッッッ



ユイからの言葉をにやにやしながら待ってたらいきなり轟音が聞こえた



膝の上に居るユイを腕の中に隠しながら警戒す

音と共に俺達の周りが光り出す

チクチクと魔力を肌で感じる

対人間用の魔力封じはしてあるはずなのに魔力がこの部屋を囲ってるみてぇだ

光が円形に繋がって文字が浮かぶ



「ユイ?」



ユイの体が尋常なく震え顔を覗き込むと真っ青な顔で涙を流している



「ユイ大丈夫だ落ち着………」



バンッッッ!!!



ユイを抱きしめてた俺の体が強制的に飛ばされ壁に叩きつけられる



「ありぇは!!!」



俺の元に来ようとユイが立ち上がり駆け出すが光の円にぶつかりそこから出れそうにない

くそっ!ユイを囲う魔法陣か!

魔法陣から鉱石がコロコロと5つ出てきたと思ったら円の外に動き出しパリンと壊れた

俺は円の外からユイを出そうとするが阻まれユイを掴むことすら出来ない



「ありぇはありぇは、た、たしゅけ、たしゅけてっっ」



あんなに気丈な奴がこんなに怯えておれに助けを求めてる



「くそっ!」

「ありぇ、ありぇは、たしゅけ」



割れた鉱石から魔力が噴き出し魔法陣を書き出したと思ったら人間が5人出て来た



「犬の言う通り厄介な獣の番みたいですね」



眼鏡をかけた神経質そうな、けれど己にもなんの頓着もしてそうにない男が喋り出す



「すぐに帰還の詠唱を、獣は私が抑えておきますよ」



ドンッッッ



いきなり体が床に叩き落される



「くっっ」

「ありぇは!」



円の内側からユイがしゃがんで俺に手を伸ばそうとするが弾かれる



「帰還もすぐですから、大人しくしておいて下さい、獣は処分しましょう」



そう言いながら男は詠唱を始めるが

それに気付いたユイは俺に手をかざし分からない言葉で話しだすと男は興味深そうに詠唱を中断してユイを観察する



「※※※※※※※※※※※※※※※※」

「魔法は使わないと聞きましたが、確かに微量な魔力はありますね」



ユイが話し終わると俺の体に目に見える膜のようなモノを張る

ユイが魔法を使ったのか?



「獣を守りますか、困りますね人間国の所有物が勝手な事をするのは」



その言葉に殺気を最大限に飛ばす

人間どもが当てられて魔力が崩れそうになる

だがその時ユイが吐血した



「ゲホッゲホッゴホッ」

「ユイ!!!」

「なるほど、獣を守る為に命を削ってまで魔法を使いましたか」



俺の為・・・?



「ですが、まだ死なれては困るのですよ実験が溜まっていますから」



そう言いながら男は2人の人間に合図をして青白い顔のユイを腕を片方ずつ持たせ無理矢理立たせる



「そのまま掴んでおいて下さいね、これ以上魔力を使うと死んでしまいそうですから」



「しかし、これだけの事で死にそうになるのなら魔力以外の利用方法を考えた方がいいでしょうね」



誰に言うでもなく独り言のようにぶつぶつと話しだす

その時男達の足元が光る



「ありぇは・・・たしゅけて・・・」

「くそっ!そいつに触るな!俺のだ!」



ゆっくりと立ち上がれるようになり思いきりユイを奪おうと力を入れようとしたら



消えた



「は?」



その時俺を押さえつけていた魔力も部屋に散漫してた魔力も全て消え、人間もユイも全てが消えた



「嘘・・・嘘だろ?どこに、っっっどこに行ったんだ!ユイ!!!!!」

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