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第1章:仮冒険者と魔王様、冒険者になる!~エンの場合~
第23話:29階層~中ボス強すぎワロタ~
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ガガガガガ!
「えっ?」
「結構やりますね」
いやいやいや!
おかしいでしょ?
ヴァンパアって装甲固かったっけ?
僕の五月雨突きを全て人差し指で受けきると、キアラさんが少し驚いたような表情をしていた。
うん、僕の方がびっくりだからね?
「今度はこっちの番ですね。死なないでくださいよ!」
「はっ?」
キアラさんが手を振ると、バチコーン! という音が鳴り響き、僕はキリモミ状態で遥か後方にまで吹き飛ばされた。
なんとか地面に叩き付けられる直前で、剣で地面を叩いて衝撃を和らげることに成功はしたが、全身がメチャクチャ痛い。
「はっ……本当に驚きました。この攻撃でもごくまれに死んじゃう人が居るのですが、耐えますか」
「いやいやいや……ちょっとこれ無理すぎるでしょ!」
助けを求めるようにカナタさんに目を向けるが、彼は親指を立てるだけだ。
頑張れ! って言われてるみたいだけど、頑張ってどうにか出来るレベルじゃないし。
見切りが発動した瞬間には、すでに側頭部に平手を受けた後だった。
というか、早すぎ。
「F級でここまで強いとなると、どうにか生き延びて欲しいですね。将来有望な若者みたいですし」
「いや……才能が無いから苦労したよ。普通なら10回は死ぬような訓練をしてもこの程度だからな……分かるだろ?」
「えっ? 死ぬ? はっ? いや、分かりません」
カナタさんの言葉にキアラさんが、心底驚いたような表情をしてから一転、凄く可哀想なものを見るような視線をこっちに向けてくる。
こっち見んな!
というか、カナタさんも自覚してやらせてたのか。
なお性質が悪い。
そして、あんなに頑張ったのに不満ですか……そうですか……
あれ? いつの間にか訓練を受け入れてる。
僕……鍛えてくださいなんてお願いしてないのに。
「そんなに苦労してここまで来られたのですね……ならば、頑張って生き延びて、このダンジョンを制覇してもらわなければ」
キアラさんが僕に微笑みかけてくる。
てか彼って……彼女なのかな?
中性的な見た目で、どっちでもかなり高いレベルのルックスだという事は分かるけど、男か女かで僕の心境も大分変って来るのですが。
「くっ、だったらこれならどうだ! 【強突き】!」
「おお! これは凄い」
うん……凄いと思うなら避けるか、吹き飛ぶかしてくれませんか?
普通に人差し指と親指で摘んで止められて、その言葉になんの信憑性も無くなってるんですけど。
「今度はこっちの番ですね!」
またもバチコーンという音とともに、遥か後方に吹き飛ばされてしまった。
でも、計画通り! 吹き飛ばされた先はこの部屋の入り口。
基本中ボスはこの部屋から出ては来ないからね。
逃げるがバターン!
逃げようとしたら、凄い勢いで扉が閉まってしまった。
そんなに甘くないですよね。
溜息を吐いてキアラさんの方を見ると、彼(彼女? )も驚いた様子だ。
お前じゃないんかーい!
と思っていたら……
「いま、俺とレイド置いて逃げようとしただろ?」
キアラさんの後方に、立ち上がって扉に手を翳すカナタさんの姿が見えた。
あんたラスボスみたいだな!
というか設定! 魔法使えない設定どこいった!
「いや、カナタさんが居れば大丈夫かなと……」
「俺は武器も魔法も使えない無職だぞ?」
もうその設定破綻してるから。
無理だから……
知ってるから。
というか、虹色鋼のニードルで目の前のヴァンパイアの心臓を貫いちゃいなYO!
「あ……貴方は一体……」
キアラさんがギギギという音が聞こえてきそうな動きで、カナタさんの方を振り返っているがカナタさんは既に椅子に座り直している。
「ああ、邪魔したな。それじゃ続きをどうぞ」
「えぇ……」
「えぇ……」
キアラさんと僕の口から思わず同じセリフが漏れる。
思わぬところで、同志を得た気分だが今は敵同士なんだよね。
「はよっ!」
「あっ……はい。じゃあ、次は貴方の番ですね」
カナタさんにちょっと強めの口調で急かされて、キアラさんがこっちに向き直ってこのような事を言っている。
というか、完全ターン制の攻防なのかな?
だとすれば、かなり楽が出来そうだ。
―――――――――
5分前までそんな事を思っていた自分をぶん殴ってやりたい。
と言っても、現在進行形でぶん殴られているのも僕なんですけどね。
「次は私の番ですね」
「えっ! ちょっ、待って!」
バチコーンと本日8回目の張り手で、またも吹き飛ばされる僕。
ちなみにエクスプロージョンも簡単に防がれました。
完全に手詰まりです……はい。
というか、強すぎませんか?
「どうぞ」
と言われても、もう攻撃手段が無いんですけどね。
かと言って今更連打を浴びせるのも、ルール違反のような気もするし。
というか、連撃とかかましたら反撃も連撃になりそうで、怖くて無理です。
五月雨突きは1つの技として認識されているので、1回とカウントしてくれたみたいですが。
そして、相手はまだスキルも使って無い状況。
はは……オワタ。
「もうお終いですか?」
「えっ……あ、はい」
僕の言葉にキアラさんがガッカリした表情を浮かべている。
それから、ちょっと申し訳無さそうな表情へと変わる。
「あっ、すいません……ちょっと期待しすぎたみたいで。でもF級冒険者としては、ダントツで強いので私が悪かったですね」
そう思うなら、もう黙ってやられたフリでもしてください。
というか、この人の方が後ろで本を読んでいるどっかの悪魔よりよっぽど常識的だ。
「おいおい……この程度の敵も倒せないのか?」
「えっ? この程度?」
カナタさんが偉そうな事を言っているが、そう思うならあんたが戦えよ!
と言えたらどんなにスッキリ出来るのだろうか。
言えないけどね。
でも……
「じゃあ、次はカナタさんの番って事で……」
「えっ? やだけど?」
やだけどじゃねーよ!
なんなんだよアンタもー!
てか、僕が死んだらカナタさんしか戦えないんですけど?
レイドは相変わらず夢の国の中に居るみたいだし。
何故かカナタさんも起こす気が無いみたいだし。
「私も嫌ですね」
あんたも嫌なんかーい!
唖然としていたら、キアラさんも嫌だとか言いだした。
なんでや!
「一瞬で消滅させられてしまいそうな……そんなオーラを感じます」
「買い被りすぎだよ。俺は武器も魔法も「それは、もうええっちゅーねん! 嘘吐くなや!」
ついにプッツンしてしまった。
という訳では無く、単純に我慢できなくなっただけだ。
あからさまに魔法が使えるのに、よくもまあいけしゃあしゃとそんな事を言いましたね。
「ふう……【狂化】」
カナタさんがこっちをチラッと見て溜息を吐くと、強化魔法を使って来た……僕に。
あっ……
「ふはははは! 吸血鬼風情が俺を本気にさせた事を後悔させてやるぜ! 【|猪突猛進】【強五月雨突き】! 【エクスプロージョン】!」
「おお! まだまだ戦えってこれ、結構ヤバい!」
ガドドドドドドドッ!
「まだまだ速度を上げてくぜ! 付いてこれなきゃそこで1人で踊ってな!」
「くっ! これは流石に! きゃっ! ってえっ?」
「あっ……」
きゃってキアラさん女性だったのか。
というか、凄いぜ僕!
最初の連撃も一撃目で彼女の指を弾き飛ばし……というか、その瞬間僕にもはっきり見えた。
彼女指に防御壁のような魔法を張ってた。
全弾を彼女に叩き込んだうえに、当たる度に爆発を起こし。
追い打ちの連撃の一撃目で鳩尾辺りにキレイに一撃入れて、こっから畳みかけようと思った矢先にバターンという音とともに地面に倒れ込む僕。
はい……魔力枯渇状態です。
気持ち悪い……
さっき食べた物全部吐きそうです……
頭もくらくらするし……
「ププッ」
カナタさんがめっちゃこっちを見て噴き出してるけど、マジシャレにならないんですけど。
彼女も今度こそダメージが入るのを覚悟した様子だったけど、先に倒れた僕を見て言葉にならないといった感じだ。
「あの……大丈夫ですか?」
「はい……もう無理です……強化も切れました……というか、気持ち悪いです。」
「えっと、今度はこっちの番?」
あんたは鬼か!
すでに立つことも出来ない僕を相手に、今度はこっちの番もクソも無いだろう!
どう考えても、僕の負けでいいじゃん!
「いえ、いま何かされるとさっき食べたものを吐いてしまいそうなのですが……」
「えっ……それはちょっと」
彼女も困ってしまった。
でも、嘘は言ってない。
だって、未だに地面がグルグルと回っているような感覚で、時間が経つにつれて吐き気がドンドン強くなってくる。
「あっ……もう、これ何もされなくても無理かも!」
「ちょっと待って! やめて! ここ、私の部屋なんだけど!」
ああ、焦ってる美形ヴァンパイアってのも悪くないというか、むしろ良いいいいいいむりいいいい……
※自主規制(かなり不快な音声の為、カットさせていただきます)
「ああ……汚されちゃった」
うん、それ色々と意味深だからやめて。
あと、本当にごめんなさい。
暫くゆっくりさせてもらって、大分気分が良くなった僕はいま、一生懸命彼女の部屋を掃除している。
当然戦闘は一時中断だ。
「掃除が終わったら……私の番からで良いですか?」
「良くねーよ!」
どんだけ攻撃したいんだよこの人は。
っていうか、生きろつってる割には殺す気満々だな。
「うーん……なんか臭い」
とか思ってたら、レイドが顔を顰めながら目を覚ました。
良かった……これで、ちょっとは勝算が見えて来た気がする。
「何してるの?」
ようやく頭がすっきりしてきたのか、モップで床を磨いている僕を見て、不思議そうな表情をしている。
すいません、ちょっと粗相がありまして……後始末してるとこです。
「いや、別に」
とは言えずに誤魔化しおいた。
「ああ、エンがいきなり吐いたから、そこのヴァンパイアに怒られて掃除してるとこ」
「ちょっ!」
なんで言っちゃうかなこの人!
こういうとこ空気読めないよね。
いや、読んでるよね?
「わ……私は別に怒ったりなんか。ただ、ちょっと悲しかっただけです。私室を汚されて」
うん……せめて怒って貰えた方が、まだ救いがあるのですが。
というか、思ったよりも中ボス戦が殺伐としていなくて、喜んでいいやらなんか微妙だわ。
「えっ?」
「結構やりますね」
いやいやいや!
おかしいでしょ?
ヴァンパアって装甲固かったっけ?
僕の五月雨突きを全て人差し指で受けきると、キアラさんが少し驚いたような表情をしていた。
うん、僕の方がびっくりだからね?
「今度はこっちの番ですね。死なないでくださいよ!」
「はっ?」
キアラさんが手を振ると、バチコーン! という音が鳴り響き、僕はキリモミ状態で遥か後方にまで吹き飛ばされた。
なんとか地面に叩き付けられる直前で、剣で地面を叩いて衝撃を和らげることに成功はしたが、全身がメチャクチャ痛い。
「はっ……本当に驚きました。この攻撃でもごくまれに死んじゃう人が居るのですが、耐えますか」
「いやいやいや……ちょっとこれ無理すぎるでしょ!」
助けを求めるようにカナタさんに目を向けるが、彼は親指を立てるだけだ。
頑張れ! って言われてるみたいだけど、頑張ってどうにか出来るレベルじゃないし。
見切りが発動した瞬間には、すでに側頭部に平手を受けた後だった。
というか、早すぎ。
「F級でここまで強いとなると、どうにか生き延びて欲しいですね。将来有望な若者みたいですし」
「いや……才能が無いから苦労したよ。普通なら10回は死ぬような訓練をしてもこの程度だからな……分かるだろ?」
「えっ? 死ぬ? はっ? いや、分かりません」
カナタさんの言葉にキアラさんが、心底驚いたような表情をしてから一転、凄く可哀想なものを見るような視線をこっちに向けてくる。
こっち見んな!
というか、カナタさんも自覚してやらせてたのか。
なお性質が悪い。
そして、あんなに頑張ったのに不満ですか……そうですか……
あれ? いつの間にか訓練を受け入れてる。
僕……鍛えてくださいなんてお願いしてないのに。
「そんなに苦労してここまで来られたのですね……ならば、頑張って生き延びて、このダンジョンを制覇してもらわなければ」
キアラさんが僕に微笑みかけてくる。
てか彼って……彼女なのかな?
中性的な見た目で、どっちでもかなり高いレベルのルックスだという事は分かるけど、男か女かで僕の心境も大分変って来るのですが。
「くっ、だったらこれならどうだ! 【強突き】!」
「おお! これは凄い」
うん……凄いと思うなら避けるか、吹き飛ぶかしてくれませんか?
普通に人差し指と親指で摘んで止められて、その言葉になんの信憑性も無くなってるんですけど。
「今度はこっちの番ですね!」
またもバチコーンという音とともに、遥か後方に吹き飛ばされてしまった。
でも、計画通り! 吹き飛ばされた先はこの部屋の入り口。
基本中ボスはこの部屋から出ては来ないからね。
逃げるがバターン!
逃げようとしたら、凄い勢いで扉が閉まってしまった。
そんなに甘くないですよね。
溜息を吐いてキアラさんの方を見ると、彼(彼女? )も驚いた様子だ。
お前じゃないんかーい!
と思っていたら……
「いま、俺とレイド置いて逃げようとしただろ?」
キアラさんの後方に、立ち上がって扉に手を翳すカナタさんの姿が見えた。
あんたラスボスみたいだな!
というか設定! 魔法使えない設定どこいった!
「いや、カナタさんが居れば大丈夫かなと……」
「俺は武器も魔法も使えない無職だぞ?」
もうその設定破綻してるから。
無理だから……
知ってるから。
というか、虹色鋼のニードルで目の前のヴァンパイアの心臓を貫いちゃいなYO!
「あ……貴方は一体……」
キアラさんがギギギという音が聞こえてきそうな動きで、カナタさんの方を振り返っているがカナタさんは既に椅子に座り直している。
「ああ、邪魔したな。それじゃ続きをどうぞ」
「えぇ……」
「えぇ……」
キアラさんと僕の口から思わず同じセリフが漏れる。
思わぬところで、同志を得た気分だが今は敵同士なんだよね。
「はよっ!」
「あっ……はい。じゃあ、次は貴方の番ですね」
カナタさんにちょっと強めの口調で急かされて、キアラさんがこっちに向き直ってこのような事を言っている。
というか、完全ターン制の攻防なのかな?
だとすれば、かなり楽が出来そうだ。
―――――――――
5分前までそんな事を思っていた自分をぶん殴ってやりたい。
と言っても、現在進行形でぶん殴られているのも僕なんですけどね。
「次は私の番ですね」
「えっ! ちょっ、待って!」
バチコーンと本日8回目の張り手で、またも吹き飛ばされる僕。
ちなみにエクスプロージョンも簡単に防がれました。
完全に手詰まりです……はい。
というか、強すぎませんか?
「どうぞ」
と言われても、もう攻撃手段が無いんですけどね。
かと言って今更連打を浴びせるのも、ルール違反のような気もするし。
というか、連撃とかかましたら反撃も連撃になりそうで、怖くて無理です。
五月雨突きは1つの技として認識されているので、1回とカウントしてくれたみたいですが。
そして、相手はまだスキルも使って無い状況。
はは……オワタ。
「もうお終いですか?」
「えっ……あ、はい」
僕の言葉にキアラさんがガッカリした表情を浮かべている。
それから、ちょっと申し訳無さそうな表情へと変わる。
「あっ、すいません……ちょっと期待しすぎたみたいで。でもF級冒険者としては、ダントツで強いので私が悪かったですね」
そう思うなら、もう黙ってやられたフリでもしてください。
というか、この人の方が後ろで本を読んでいるどっかの悪魔よりよっぽど常識的だ。
「おいおい……この程度の敵も倒せないのか?」
「えっ? この程度?」
カナタさんが偉そうな事を言っているが、そう思うならあんたが戦えよ!
と言えたらどんなにスッキリ出来るのだろうか。
言えないけどね。
でも……
「じゃあ、次はカナタさんの番って事で……」
「えっ? やだけど?」
やだけどじゃねーよ!
なんなんだよアンタもー!
てか、僕が死んだらカナタさんしか戦えないんですけど?
レイドは相変わらず夢の国の中に居るみたいだし。
何故かカナタさんも起こす気が無いみたいだし。
「私も嫌ですね」
あんたも嫌なんかーい!
唖然としていたら、キアラさんも嫌だとか言いだした。
なんでや!
「一瞬で消滅させられてしまいそうな……そんなオーラを感じます」
「買い被りすぎだよ。俺は武器も魔法も「それは、もうええっちゅーねん! 嘘吐くなや!」
ついにプッツンしてしまった。
という訳では無く、単純に我慢できなくなっただけだ。
あからさまに魔法が使えるのに、よくもまあいけしゃあしゃとそんな事を言いましたね。
「ふう……【狂化】」
カナタさんがこっちをチラッと見て溜息を吐くと、強化魔法を使って来た……僕に。
あっ……
「ふはははは! 吸血鬼風情が俺を本気にさせた事を後悔させてやるぜ! 【|猪突猛進】【強五月雨突き】! 【エクスプロージョン】!」
「おお! まだまだ戦えってこれ、結構ヤバい!」
ガドドドドドドドッ!
「まだまだ速度を上げてくぜ! 付いてこれなきゃそこで1人で踊ってな!」
「くっ! これは流石に! きゃっ! ってえっ?」
「あっ……」
きゃってキアラさん女性だったのか。
というか、凄いぜ僕!
最初の連撃も一撃目で彼女の指を弾き飛ばし……というか、その瞬間僕にもはっきり見えた。
彼女指に防御壁のような魔法を張ってた。
全弾を彼女に叩き込んだうえに、当たる度に爆発を起こし。
追い打ちの連撃の一撃目で鳩尾辺りにキレイに一撃入れて、こっから畳みかけようと思った矢先にバターンという音とともに地面に倒れ込む僕。
はい……魔力枯渇状態です。
気持ち悪い……
さっき食べた物全部吐きそうです……
頭もくらくらするし……
「ププッ」
カナタさんがめっちゃこっちを見て噴き出してるけど、マジシャレにならないんですけど。
彼女も今度こそダメージが入るのを覚悟した様子だったけど、先に倒れた僕を見て言葉にならないといった感じだ。
「あの……大丈夫ですか?」
「はい……もう無理です……強化も切れました……というか、気持ち悪いです。」
「えっと、今度はこっちの番?」
あんたは鬼か!
すでに立つことも出来ない僕を相手に、今度はこっちの番もクソも無いだろう!
どう考えても、僕の負けでいいじゃん!
「いえ、いま何かされるとさっき食べたものを吐いてしまいそうなのですが……」
「えっ……それはちょっと」
彼女も困ってしまった。
でも、嘘は言ってない。
だって、未だに地面がグルグルと回っているような感覚で、時間が経つにつれて吐き気がドンドン強くなってくる。
「あっ……もう、これ何もされなくても無理かも!」
「ちょっと待って! やめて! ここ、私の部屋なんだけど!」
ああ、焦ってる美形ヴァンパイアってのも悪くないというか、むしろ良いいいいいいむりいいいい……
※自主規制(かなり不快な音声の為、カットさせていただきます)
「ああ……汚されちゃった」
うん、それ色々と意味深だからやめて。
あと、本当にごめんなさい。
暫くゆっくりさせてもらって、大分気分が良くなった僕はいま、一生懸命彼女の部屋を掃除している。
当然戦闘は一時中断だ。
「掃除が終わったら……私の番からで良いですか?」
「良くねーよ!」
どんだけ攻撃したいんだよこの人は。
っていうか、生きろつってる割には殺す気満々だな。
「うーん……なんか臭い」
とか思ってたら、レイドが顔を顰めながら目を覚ました。
良かった……これで、ちょっとは勝算が見えて来た気がする。
「何してるの?」
ようやく頭がすっきりしてきたのか、モップで床を磨いている僕を見て、不思議そうな表情をしている。
すいません、ちょっと粗相がありまして……後始末してるとこです。
「いや、別に」
とは言えずに誤魔化しおいた。
「ああ、エンがいきなり吐いたから、そこのヴァンパイアに怒られて掃除してるとこ」
「ちょっ!」
なんで言っちゃうかなこの人!
こういうとこ空気読めないよね。
いや、読んでるよね?
「わ……私は別に怒ったりなんか。ただ、ちょっと悲しかっただけです。私室を汚されて」
うん……せめて怒って貰えた方が、まだ救いがあるのですが。
というか、思ったよりも中ボス戦が殺伐としていなくて、喜んでいいやらなんか微妙だわ。
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