14 / 15
王太子妃→王妃→王太后→后王太后……疲れた
第14話:マリアンヌの行く末
しおりを挟む
「さて侯爵……戦争の大義名分は得た。フィアンス侯爵家の至宝たるマリアンヌ様を虚仮にされて、そのまま引き下がるおつもりですか?」
「も……勿論、断固抗議させてもらいます……もらうつもりだ」
つい敬語になってしまったのかな?
マリアンヌがおたおたしてるけど、いまはあの馬鹿をぶちのめしたい気持ちでいっぱいだから彼女を気遣う余裕なんて微塵もない。
「抗議するだけですか? 婚約は破棄されなくても?」
「向こうの出方次第ですな。とぼけるようならこちらにも考えがある」
「ふふ……幸い陛下は子だくさんですからね。代わりはいくらでもいますし。そうですねぇ……せいぜい生涯側妃を娶らない制約くらいは、結んでもらいましょう」
「それは、流石に断られるのではないか?」
「結婚前にその程度の誠意も示せない相手とか……」
「その程度だから、あんなふざけた事をマリアンヌに抜かすのだ!」
「宜しい、ならば戦争だ!」
「おう!」
「おう! じゃありませんわ! お父様、どうなさったのですか?」
「絶対強者の御意を得たのだ! 問題あるまい!」
私の言葉に、フィアンス侯爵が鼻息を荒くして大きく頷いている。
そしてマリアンヌが首を傾げている。
「お……お父様、その彼女は平民でして」
「ふむ……そう聞いていたが、生まれながらの王者の資質があるのだろう。彼女であれば、あの第一王子の手綱を握ることはできるだろうから……確かにお前が正妃で彼女が側妃なら安心できそうなのだが」
「魅力的ではあるが、生憎と私は馬鹿が嫌いでね」
「エリスさん……正直すぎます。その方に、私は嫁ぐことになるのですが」
馬鹿を馬鹿と言って何が悪いんだい! と、王太后だったころの私でも、怒鳴ってるだろうね。
「正直、幸せになれるとは思えんね。婚約を破棄するかあの馬鹿を矯正するしか、マリアンヌが幸せになる未来は無いと思うよ」
「とうとう、呼び捨て……」
「ふむ、婚約破棄を視野に、少し方針を考える必要がある……か」
「お父様も、この状況を当たり前のように受け入れないでください!」
確かに……最初こそ使用人たちも固唾を飲んで見守っていたが、いまはどこか遠い目をしている。
「なんというか……ご友人からは先代の王妃に似た圧力を感じるのだが」
「あの、聖母として名高いアレクサンドリア王太后ですか? ただし、決して怒らせてはいけないとのお話ですが」
「ああ、アレクサンドリア様が怒る一歩手前の雰囲気が、今の彼女にそっくりなのでね……つい、萎縮してしまって」
まあ、アレクサンドリア様はあの馬鹿に泣かされてばかりの私を叱咤激励して、裏で色々と叩き込んでくれた方だからね。
おかげで、王妃になるころにはほとんどの貴族を掌握することができて、あの馬鹿の力をだいぶ削ぐことができたが。
しかしあの立派な女性の孫が、なんであんな馬鹿に育ったのか分からないけど。
どうも、王妃の教育が悪かったようだ。
先代王妃の申し出を断って、自分であの馬鹿の教育を主導した結果があの馬鹿だ。
そのくせ、私の息子を取り上げるとか。
馬鹿のときの反省を生かして、今度こそ立派な王族をとはっちゃけたらしいけどね。
根本が、甘やかしいなのだろう。
違う意味で、残念な結果だったとしか言いようがない。
「とりあえず、私はあの馬鹿の側妃はまっぴらごめんだよ。関わりたくもないんでね! ということで、話も終わったみたいだし、そろそろお暇させてもらおうかね」
「お待ちください! 今日は、もう遅いので泊まっていらしてください」
流石に、急にお泊りは迷惑……いや、拉致されて連れて来られた時点で、私が迷惑を掛けられている側か。
謝罪代わりに、美味しい料理と柔らかい寝具を提供してもらってもいいかねぇ。
「しかし、「その、お友達が泊まりにこられるのに憧れてまして、ベッドで寝るまでおしゃべりもしたいですし」」
……変に懐かれちゃったねぇ。
まあ、このモードの時の彼女は、親しみやすいし。
まあ、いいかねぇ。
「も……勿論、断固抗議させてもらいます……もらうつもりだ」
つい敬語になってしまったのかな?
マリアンヌがおたおたしてるけど、いまはあの馬鹿をぶちのめしたい気持ちでいっぱいだから彼女を気遣う余裕なんて微塵もない。
「抗議するだけですか? 婚約は破棄されなくても?」
「向こうの出方次第ですな。とぼけるようならこちらにも考えがある」
「ふふ……幸い陛下は子だくさんですからね。代わりはいくらでもいますし。そうですねぇ……せいぜい生涯側妃を娶らない制約くらいは、結んでもらいましょう」
「それは、流石に断られるのではないか?」
「結婚前にその程度の誠意も示せない相手とか……」
「その程度だから、あんなふざけた事をマリアンヌに抜かすのだ!」
「宜しい、ならば戦争だ!」
「おう!」
「おう! じゃありませんわ! お父様、どうなさったのですか?」
「絶対強者の御意を得たのだ! 問題あるまい!」
私の言葉に、フィアンス侯爵が鼻息を荒くして大きく頷いている。
そしてマリアンヌが首を傾げている。
「お……お父様、その彼女は平民でして」
「ふむ……そう聞いていたが、生まれながらの王者の資質があるのだろう。彼女であれば、あの第一王子の手綱を握ることはできるだろうから……確かにお前が正妃で彼女が側妃なら安心できそうなのだが」
「魅力的ではあるが、生憎と私は馬鹿が嫌いでね」
「エリスさん……正直すぎます。その方に、私は嫁ぐことになるのですが」
馬鹿を馬鹿と言って何が悪いんだい! と、王太后だったころの私でも、怒鳴ってるだろうね。
「正直、幸せになれるとは思えんね。婚約を破棄するかあの馬鹿を矯正するしか、マリアンヌが幸せになる未来は無いと思うよ」
「とうとう、呼び捨て……」
「ふむ、婚約破棄を視野に、少し方針を考える必要がある……か」
「お父様も、この状況を当たり前のように受け入れないでください!」
確かに……最初こそ使用人たちも固唾を飲んで見守っていたが、いまはどこか遠い目をしている。
「なんというか……ご友人からは先代の王妃に似た圧力を感じるのだが」
「あの、聖母として名高いアレクサンドリア王太后ですか? ただし、決して怒らせてはいけないとのお話ですが」
「ああ、アレクサンドリア様が怒る一歩手前の雰囲気が、今の彼女にそっくりなのでね……つい、萎縮してしまって」
まあ、アレクサンドリア様はあの馬鹿に泣かされてばかりの私を叱咤激励して、裏で色々と叩き込んでくれた方だからね。
おかげで、王妃になるころにはほとんどの貴族を掌握することができて、あの馬鹿の力をだいぶ削ぐことができたが。
しかしあの立派な女性の孫が、なんであんな馬鹿に育ったのか分からないけど。
どうも、王妃の教育が悪かったようだ。
先代王妃の申し出を断って、自分であの馬鹿の教育を主導した結果があの馬鹿だ。
そのくせ、私の息子を取り上げるとか。
馬鹿のときの反省を生かして、今度こそ立派な王族をとはっちゃけたらしいけどね。
根本が、甘やかしいなのだろう。
違う意味で、残念な結果だったとしか言いようがない。
「とりあえず、私はあの馬鹿の側妃はまっぴらごめんだよ。関わりたくもないんでね! ということで、話も終わったみたいだし、そろそろお暇させてもらおうかね」
「お待ちください! 今日は、もう遅いので泊まっていらしてください」
流石に、急にお泊りは迷惑……いや、拉致されて連れて来られた時点で、私が迷惑を掛けられている側か。
謝罪代わりに、美味しい料理と柔らかい寝具を提供してもらってもいいかねぇ。
「しかし、「その、お友達が泊まりにこられるのに憧れてまして、ベッドで寝るまでおしゃべりもしたいですし」」
……変に懐かれちゃったねぇ。
まあ、このモードの時の彼女は、親しみやすいし。
まあ、いいかねぇ。
23
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜
伽羅
恋愛
愛莉鈴(アリス)は幼馴染の健斗に片想いをしている。
ある朝、通学中の事故で道が塞がれた。
健斗はサボる口実が出来たと言って愛莉鈴を先に行かせる。
事故車で塞がれた道を電柱と塀の隙間から抜けようとすると妙な違和感が…。
気付いたら、まったく別の世界に佇んでいた。
そんな愛莉鈴を救ってくれた騎士団長を徐々に好きになっていくが、彼には想い人がいた。
やがて愛莉鈴には重大な秘密が判明して…。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
ルピナス
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の藍沢直人は後輩の宮原彩花と一緒に、学校の寮の2人部屋で暮らしている。彩花にとって直人は不良達から救ってくれた大好きな先輩。しかし、直人にとって彩花は不良達から救ったことを機に一緒に住んでいる後輩の女の子。直人が一定の距離を保とうとすることに耐えられなくなった彩花は、ある日の夜、手錠を使って直人を束縛しようとする。
そして、直人のクラスメイトである吉岡渚からの告白をきっかけに直人、彩花、渚の恋物語が激しく動き始める。
物語の鍵は、人の心とルピナスの花。たくさんの人達の気持ちが温かく、甘く、そして切なく交錯する青春ラブストーリーシリーズ。
※特別編-入れ替わりの夏-は『ハナノカオリ』のキャラクターが登場しています。
※1日3話ずつ更新する予定です。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
騎士団長のアレは誰が手に入れるのか!?
うさぎくま
恋愛
黄金のようだと言われるほどに濁りがない金色の瞳。肩より少し短いくらいの、いい塩梅で切り揃えられた柔らかく靡く金色の髪。甘やかな声で、誰もが振り返る美男子であり、屈強な肉体美、魔力、剣技、男の象徴も立派、全てが完璧な騎士団長ギルバルドが、遅い初恋に落ち、男心を振り回される物語。
濃厚で甘やかな『性』やり取りを楽しんで頂けたら幸いです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる