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王太子妃→王妃→王太后→后王太后……疲れた

第一話:公人としての人生よ……永久にさらば

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 ようやく、この長い人生に幕を下ろせる。

「おばあさま!」
「ひいおばあさま!」
「王太后陛下!」
「大聖女様!」

 多くの子や孫に囲まれて、ベッドの上から外を見る。
 もうほとんど見えなくなった視界には、かろうじて光を感じるだけ。

 正直言って、ホッとする自分がいる。


 ……息子や娘は、すでに鬼籍に入っている。
 私は、少し長生きしすぎた。
 
 これも、聖属性に選ばれたものの宿命か。
 祝福か呪いかも分からない、長い人生。

 振り返れれば、その大半が辛く苦しいものだった。

 嬉しいこともあった気がするけども……それ以上に大変な想いをした。

 平民なんかが、王族になるもんじゃないね。

 身の丈にあった相手と結ばれるべきだよ……

 ああ……マリアンヌ様こそが、彼と結ばれるべきだった……

 本当に、申し訳ないことをした。

 今なら、素直に謝罪出来る。

 いや、90年前に聖オルネス教会で再会した時に、私の謝罪を彼女は受け入れてくれたけども……

 立派なシスターになられていて、私も驚いた……

 もう時間が無いみたいだね。

「皆……無難に生きるのだよ」


 私は、それだけ言うと目を閉じて意識をそっと手放した。

(願わくば、あの馬鹿とは違う人生を歩みたかったと切実に思うね……)

 そして140年という長い人生に、幕を下ろしたつもりだった……
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