上 下
48 / 94
第二章:王都学園編~初年度前期~

第25話:補習

しおりを挟む
 さて、長期休暇初日。
 早速、学園に向かう。
 お兄さまとクリントには訝し気にされたけど、補習を受けようと思いますのと言って高笑いして屋敷を出た。
 ハルナが慌ててついてきていたし、ロンも心配そうだったけど。

「お嬢様は、優秀な成績を修められたと聞いたのですが」
「ああ……そのはずなんだけどね。勉強のため……ってわけじゃなさそうだね」

 後ろからロンとお兄さまの会話が聞こえてきた。
 勉強のためじゃないというより、勉強だけのためじゃないと言ってほしい。
 一応、勉強も目的の一つだし。

「おはよう!」

 大きな声で挨拶をしながら、1年生の補習教室に乗り込む。
 うーん……半分以上の生徒が困惑している。
 私と同じクラスの子は、普通に挨拶を返してくれる子がいるけど。
 身分至上主義派の子たちも、目礼は返してくれた。
 ふふん……この子たちは、普段あれだけ身分を笠に着ておいて補習を受けざるを得ないのか。
 顔は覚えたよ。

 あっ、気まずそうに視線を反らされてしまった。

「エルザ様!」
「カーラ! それにフローラも!」

 カーラとフローラはすでに登校していて、並んで座っていた。
 そしてソフィはと……いたいた。
 ソフィは理科と歴史で補習って言ってたね。
 流石に宿のお手伝いをしてるだけあって、言語系と算数は通過したらしい。
 素材は悪くないってことかな?

 歴史は貴族じゃないと知りえないことも多いし。
 詰め込み授業じゃあ、難しいか。
 理科も一般の子には少しハードルが高かったようだ。
 魔石や魔力による現象が、あまり身近に存在しないもんね。

「2人はそっちなんだね。じゃあ、私はあっちの空いてるところに座ろう」

 2人とひとしきり挨拶を交わしたあとで、ソフィの横にちゃっかりと陣取る。
 やっぱり皆、平民の横は嫌なのかな?
 
「おはよう」
「おはようございます。エルザ様」

 私がソフィに挨拶をすると、ソフィもはにかみながら返してくれた。
 周囲がざわついたけど。

「エルザ様は、あの子のことをご存知ないのかしら?」
「平民の横に座るだけじゃなくて、声までお掛けになるなんて」

 自分たちだって補習を受ける身分のくせに、よくもまあいけしゃあしゃあと。
 気にしたら負けだ。
 無視だ、無視。

「へえ、凄いノートだね」
「はい……家の手伝いもあるので、できれば一週間で補習を終えたいので頑張りました」
「なるほど! 分からないことがあったら、聞いてね。なんでも、答えてあげる」

 横目で見た彼女のノートは、黒いインクでびっしりと書き詰められていた。
 見づらくないのかな?
 隙間なく授業で習うことで埋め尽くされたノートを見て、思わず顔を顰めてしまった。

「汚い……ですよね。でもノートも、ただじゃないので」
「そっか、そうだよね。だったら、今度ノートをいっぱい用意してあげるよ」
「いや、それは流石に申し訳ないです」
「良いって良いって、私が携わってるお店から献上されるノートもあるし。私が自分で稼いだお金だから、気にしなくていいよ」

 よく分からないって顔も、可愛いなぁもう。
 お姉さんが、なんでも買ってあげるよ。
 これでも私が持ってるお店の利益以外にも、魔物の素材の売買で稼いだお金もあるし。
 この間のポイズンボアフィーバーのお金に至っては、手付かずの状態でギルドに預けてあるしね。

「エルザ様ともあろうお方でも、補習を受けられるのですね」
「誰?」

 ソフィにちょっかいを出していたら、また巻き髪の女の子が声を掛けてきた。
 茶巻き髪も多いなぁ。
 このクラスだけでも、3人もいるし。
 身分至上主義派かな?

「うん、なんか楽しそうだったから」
「えっ?」
「あれ? 学園長の話を聞いてなかった? 私は、別に補習を受けさせられてるわけじゃなくて、友達もいるから受けに来ただけだよ」
「友達……ですか?」

 そう言って、ソフィの方をチラリと見た彼女は扇子で口元隠す。
 お嬢様っぽい。
 お嬢様か。

「ソフィとはこの前知り合ったばかりだけど、もう友達ってことでいいよね?」

 一応、以前から付き合いがあったことは隠しておいた方が良いかな?
 ソフィも学園でずっと私のことを、知らんぷりしてたわけだし。
 隠す必要もないけど、以前からの知り合いなのに余所余所しい態度を取ってたってなったら、上げ足を取る輩もいそうだしね。

「そう……なのですか?」
「うん、ところで貴女は?」
「わ……私は、ビルウッド伯爵家の長女でオルガと申します」
「へえ、強そうな名前だね」
「つ……強そう? 自分では、荘厳なイメージだと思ったのですが」

 なるほど。
 そうとも感じ取れるね。
 しかし、何の用だ?

「で、何か私に用でも?」
「えっと……同じ補習を受けることになったので、これを機に親交を深められたらと思ったのですが……どうやら、エルザ様は私たちとは事情が違うみたいですね」

 なるほど。
 私も補習を受ける側の子だと思って、親近感を抱いたのかな?
 それとも、頭が良くないなら取り込みやすいと思ったのかな?
 しかし、身分至上主義派かな?
 違うのかな?
 ソフィのことも、あまり気にしたようでもないし。

「オルガは派閥には入ってるの?」
「えぇ……まあ。親が、身分至上主義派閥なので」

 ド直球に聞いたら、答えにくそうに答えてくれた。
 表情にそこはかとなく、哀愁が感じられる。

「好きじゃないの?」
「私は……正直、あまりよく分かってないのです。親が偉い人というのは漠然と理解しているのですが、何をしたかは理解してません。ご先祖様が偉業を成して家を興し、その子孫の方が大きくしたのは分かります。でも……祖父も、父もこれといった功績をあげたわけではないですから」

 身も蓋もない。
 いや、親が身分至上主義派だからって、子供までその思想に染まるわけじゃないのか。

「それに娘の私だって、習熟度テストを落第するような子ですよ? 血に価値はあれど、そこまでの意味は無いってことですよね」
「へえ、オルガは賢いんだね。それが、分かれば十分だよ」
「ありがとう……ございます? 褒められているのでしょうか?」
「うん、褒めてるよ。それじゃあ、ソフィとも仲良くできる?」

 私の言葉に、オルガが首を傾げる。

「それは、難しいのでは? いえ、流石に貴族と平民では、その生活様式も違いますし。平民の彼女に、私と同じように過ごすのは経済的に難しいですよね? 逆に、私も彼女と同じように過ごすのは言い方は悪いですが、不便に感じると思いますよ」

 なるほど。
 不敬とかっていうわけじゃなくて、お互いの生活レベルの違いからってことかな?

「お互いに歩み寄れたらいいのですが、現状の彼女では今の生活が精いっぱいでさらに上を望むのは厳しいかと。私が引き立てても、それは私の家の力によるもので彼女も引け目を感じて対等の付き合いは難しいのでは? 見たところ、そういったものを甘受できるほど神経が太いわけでもなさそうですし。むしろ、細そうですし」

 おおう……目下、私が彼女に経済支援をしようとしてたのに。
 それをしたら、対等の友にはなりえないと否定された気分だ。

「持つ者は、持たざる者に与えるべしとも言うでしょう。私にはお金があって、ソフィには愛嬌がある。私がお金を出して、彼女が癒しを与えてくれるから私たちは対等よね? ソフィ?」
「いえ、申し訳なさで心苦しい気持ちでいっぱいです」

 私たちのやり取りに、オルガが少し呆れた表情を浮かべていた。
 主に、私に対して。
 ソフィには悪感情は抱いていなさそうだ。
 
 それから、先生が入ってきたので慌てて席に着く。
 オルガもなし崩し的に、ソフィを挟んで私の反対隣に座っていた。
 途中で彼女が落としたペンをソフィが拾って、お礼を言っていた。
 うーん……素直。

***
「オルガ嬢とお知り合いになったのですか?」
「うん、友達と言っても遜色ないかな?」

 帰りにハルナに、オルガのことを話したら驚いていた。

「オルガ嬢とは、ビルウッド伯爵家の?」
「そうね。知り合い?」
「いえ……」

 どうやら、ハルナはオルガのことも知っていたらしい。
 この子の情報源はいったいどこなのだろうか?
 私が知り合う子、知り合う子、大体の子を知っていた。
 ソフィアのことまで知っていたくらいだ。
 何か、闇社会に繋がりでもあるのだろうか?

「ビルウッド伯爵家と言えば、運河を管理する一族で川を使った材木の輸送販売で莫大な財を成している、国内有数の富豪ですよね……そして成り上がりでありながら、身分至上主義派閥の三大巨頭の一人」

 へえ、物凄くよく知ってる。
 別に、私に聞かせるために話してるわけじゃないんだろうけど。
 独り言タイムに突入しちゃったか。
 とりあえず耳は傾けつつ、こうなったら話し相手にならないので来週からの予定を考えるかな?
 ソフィもカーラもフローラも、一週間で補習を終えたと想定して。
 勿論終えてない子がいたら、もう一週間は付き合うのもやぶさかじゃないけど。

「オルガ嬢はビルウッド伯爵の愛娘でありながら、身分至上主義派閥の在り方に疑問を感じソフィアに絆されて彼女の味方に付く存在。そして、ソフィアに対して影ながら経済支援するあしながおじさん的なポジション」

 あしながおじさん?
 いま、あしながおじさんって言ったか?
 この世界にもあしながおじさんの話があるのか?

「エルザ様の行った数々の嫌がらせに対して、ことごとく失敗させた人物……靴を汚せば、新しい靴をそっと用意し、ドレスを破られたらそれとなくドレスを送り。しかも、どれも偶然手に入ったかのように見せるために、人を雇って裏工作までして……最後は、エルザ様の数々の悪事を殿下に報告した危険人物」

 ちょっと待って、私別にソフィに嫌がらせなんかしてないんだけど?
 そもそも、ソフィってドレスとか持ってたの?
 靴どころか制服を汚されて、私が貸した側なんだけど?
 それにどう考えても、ハルナの方がオルガよりも色々な意味で危険人物だけど?

「敵味方入り交えて、お嬢様の周りに集まっているわね」

 敵?
 敵なんていないよ?
 私の周りは、皆私の味方だと思うよ?
 味方だよね?
 いや、味方だよ。
 
 やばい、疑心暗鬼になってきた。
 ちょっと、皆に確認しなくちゃ。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

前世は婚約者に浮気された挙げ句、殺された子爵令嬢です。ところでお父様、私の顔に見覚えはございませんか?

柚木崎 史乃
ファンタジー
子爵令嬢マージョリー・フローレスは、婚約者である公爵令息ギュスターヴ・クロフォードに婚約破棄を告げられた。 理由は、彼がマージョリーよりも愛する相手を見つけたからだという。 「ならば、仕方がない」と諦めて身を引こうとした矢先。マージョリーは突然、何者かの手によって階段から突き落とされ死んでしまう。 だが、マージョリーは今際の際に見てしまった。 ニヤリとほくそ笑むギュスターヴが、自分に『真実』を告げてその場から立ち去るところを。 マージョリーは、心に誓った。「必ず、生まれ変わってこの無念を晴らしてやる」と。 そして、気づけばマージョリーはクロフォード公爵家の長女アメリアとして転生していたのだった。 「今世は復讐のためだけに生きよう」と決心していたアメリアだったが、ひょんなことから居場所を見つけてしまう。 ──もう二度と、自分に幸せなんて訪れないと思っていたのに。 その一方で、アメリアは成長するにつれて自分の顔が段々と前世の自分に近づいてきていることに気づかされる。 けれど、それには思いも寄らない理由があって……? 信頼していた相手に裏切られ殺された令嬢は今世で人の温かさや愛情を知り、過去と決別するために奔走する──。 ※本作品は商業化され、小説配信アプリ「Read2N」にて連載配信されております。そのため、配信されているものとは内容が異なるのでご了承下さい。

使えないと言われ続けた悪役令嬢のその後

有木珠乃
恋愛
アベリア・ハイドフェルド公爵令嬢は「使えない」悪役令嬢である。 乙女ゲームの悪役令嬢に転生したのに、最低限の義務である、王子の婚約者にすらなれなったほどの。 だから簡単に、ヒロインは王子の婚約者の座を得る。 それを見た父、ハイドフェルド公爵は怒り心頭でアベリアを修道院へ行くように命じる。 王子の婚約者にもなれず、断罪やざまぁもされていないのに、修道院!? けれど、そこには……。 ※この作品は小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

悪役令嬢に転生したので、すべて無視することにしたのですが……?

りーさん
恋愛
 気がついたら、生まれ変わっていた。自分が死んだ記憶もない。どうやら、悪役令嬢に生まれ変わったみたい。しかも、生まれ変わったタイミングが、学園の入学式の前日で、攻略対象からも嫌われまくってる!?  こうなったら、破滅回避は諦めよう。だって、悪役令嬢は、悪口しか言ってなかったんだから。それだけで、公の場で断罪するような婚約者など、こっちから願い下げだ。  他の攻略対象も、別にお前らは関係ないだろ!って感じなのに、一緒に断罪に参加するんだから!そんな奴らのご機嫌をとるだけ無駄なのよ。 もう攻略対象もヒロインもシナリオも全部無視!やりたいことをやらせてもらうわ!  そうやって無視していたら、なんでか攻略対象がこっちに来るんだけど……? ※恋愛はのんびりになります。タグにあるように、主人公が恋をし出すのは後半です。 1/31 タイトル変更 破滅寸前→ゲーム開始直前

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

悪女の指南〜媚びるのをやめたら周囲の態度が変わりました

結城芙由奈 
恋愛
【何故我慢しなければならないのかしら?】 20歳の子爵家令嬢オリビエは母親の死と引き換えに生まれてきた。そのため父からは疎まれ、実の兄から憎まれている。義母からは無視され、異母妹からは馬鹿にされる日々。頼みの綱である婚約者も冷たい態度を取り、異母妹と惹かれ合っている。オリビエは少しでも受け入れてもらえるように媚を売っていたそんなある日悪女として名高い侯爵令嬢とふとしたことで知りあう。交流を深めていくうちに侯爵令嬢から諭され、自分の置かれた環境に疑問を抱くようになる。そこでオリビエは媚びるのをやめることにした。するとに周囲の環境が変化しはじめ―― ※他サイトでも投稿中

白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます

時岡継美
ファンタジー
 初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。  侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。  しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?  他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。  誤字脱字報告ありがとうございます!

勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる

千環
恋愛
 第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。  なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を庇おうとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。

処理中です...