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エピローグ

① 私のナイトは……私!?

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 お部屋に来ましたわ! まずはプレボ~~。クセでクローゼットを開けて確認してしまいますの。

 ひらひら……あれ、なんかカードかな?

「あ、それはゲームマスターからの手紙ピコ」

「ん―っと、両ルートクリアしたプレイヤーのみなさんへ隠し報酬のご案内?」

 おぉ~~? 隠しなんちゃらってロマンある!

「なになに、特別にこのルートのどのキャラへでも転生希望を叶えて差し上げます!って……」
 どういうこと?

「つまり~、元々エリザベースかマリーヤかって話だったピコよね? でもプレイしてる途中に、他の登場キャラもいいかもって思ったお客サンのために、その最終ルート内なら誰にでも転生できる権利をあげるってことピコ」
 選択肢が増えるんだ?

「でも普通はヒロインになるのを選ぶピコ。他を選ぶのはスーパーマニアックな攻略をしたプレイヤーだけピコ」

 たとえばワイヤーの彼がメインヒーローより気に入ったら、彼の恋人に転生できるってことですわね。

「まぁ、私はエリザベース一択ですわ」

「ならいつでも転生できるピコ。まだこのルートで遊ぶピコ? それともすぐ転生? ピータンに会ってから?」

「早く生まれ変わりたい! できるだけ早くピータンに会いたいもん、転生後の自分で。今すぐ転生!」

「じゃあ転生に関して注意事項だピコ」
「うん?」

「基本は生まれた直後に転生するピコ。転生してものりえの記憶や知識、体力がだいたい残っているから、エリザベースが頭ゆるふわでも子ども時代にかなり矯正できるピコ」

 矯正に全力を懸けます。

「セーブデータは“ピータンと出会って彼と結ばれる”という情報だけ有効だから、ルートを辿るのも良しアレンジするのも良し、のりえの新しい人生、好きにするピコ!」

 ルートを辿るにはカビローンロンやらなきゃいけないのか……。やらずに恋に落ちる方法あるかな??

「ごくまれに、成長を待ちきれなくて都合のいい時期に転生してしまうプレイヤーもいるピコけど。たとえばのりえの場合、このクリア後のエリザベースに転生してすぐにピータンと挙式とか」

 それも捨てがたいけど、やっぱり矯正したい。

「まぁもしかしたら他にもあるかもしれないけど、何かあったらボクが駆け付けるピコ! このゲームはアフターサービスも完璧なんだピコ!」

 そっか、それなら安心。ピコピコとはここずっと一緒にいて、離れちゃうの寂しくなってきたんだ。

「今の心の声、ちゃんと聞こえてるピコよ~~。のりえ~~ボクのことをそんなにも~~えぐっえぐっ」

 や、やだ、そんな感動して泣かないでよっ。

「とはいっても、ボクが現れるのはあくまで“何かあった時”だピコ。新しい人生の邪魔はしないピコ」
「分かりましたわ。お世話になりましたわね、ピコピコ」
「のりえの新しい門出にご多幸あれピコ~~。いってらっしゃい!」

「あ、そうだ! ピコピコ! 私、思い出した私の名前! 今度からはこう呼んでよ。私は、のりか……」




 そして私は、がっ!!と目を見開いた。私は生まれ変わったのだ!! そして私の本能が叫んでいる!!

「今、会いに行く――!!」

 私はこの転生前からの力を引き出して、全力でベッドを飛び出した。


 今こそ、全力で守らねば。この無償の愛をもってして!

「全力で守ろう、愛するマリーヤ!! ……って、え???」

 あれ? 私はいったい……。家を抜け出して、そして人と対峙した気がする。それから全力を振り絞ってそのヤバげな人物を撃退して……でももうだめだ。立ってもいられない。

 分かる、私の生命力はもう、これっぽっちも残されていない。

 なんだかとっても眠いんだ。そうそう、一度死んでるから、この感じ、覚えがあるもん……。



 はっ!……あれ? 薄ピンクの部屋? ここは確か、時空の控え室?? あ、ピコピコが慌てて飛んできた。
「わぶっ」
 そして私の頭にクラッシュした。

「ピコピコ~~~~!?」
「あっのりえ、今どっちを怒っているピコ? ぶつかったこと? それともバグ出しちゃったことピコ??」

「短期的に見たらぶつかったことを怒っているんだけど。で、いったいなにこの状況!? バグって何よ!!」

「ボクも今運営から連絡入ったところで……オロオロ~~」
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