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第六章 あなたを落としたい
⑦ 即席男女ユニット 我らは Oh'z !!
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また朝からユウナギは農作業、王は縄づくりに勤しんでいた。その昼の休憩中にユウナギは自分の考えを話す。
「私は舞いが得意だけど、ここには歌劇団の舞姫たちの演舞があるから。あまり競合したくないというか、あちらは大勢いるから見た目もずっと華やかだし……。だから、私も楽器をやってみようと思うんです! 王様が主旋律で、私が伴奏!」
「ああ、いいと思うよ」
「でも私、楽器弾いたことなくて。初心者でもできそうな楽器、ないかな?」
「そうだなぁ、吹くよりは叩く方が気楽だろうな」
「太鼓、とか?」
そこで王は近くにある竹を叩いて鳴らした。次に土器を鳴らしてみた。
「他にも何か、叩いて音が鳴るものを集めてくれ」
「? はい」
ユウナギは近所を駆け回り、陶器や銅をいくつも持ってきた。そして王がすべて鳴らした後、その並び順を変えるのだった。
「こちらから順に叩いてごらん」
「はい?」
タンタンタンタン……と、ユウナギが竹棒で叩いてみたところ。
「だんだん音が高くなってる!」
ユウナギは喜んだ。そして王は簡単な曲をそれで弾いてみせるのだった。
「! すごい! 陶器が楽器になった!」
「ではこれで私の伴奏をしてくれるかい?」
「弾き方を教えてくれたら! 頑張って練習するわ!」
こうしてふたりは夕方まで仕事に励み、それ以降は月明りの下で楽曲演奏の練習を行う、そんな日々を過ごすことになった。
寝る間も惜しんで練習し、10日も過ぎただろうか。
「ものすごい上達ぶりだよ。さすがにあれだけの舞いを披露できる芸術家は、拍子の取り方も一級だ」
思いがけず褒められ、ユウナギは有頂天になる。
「え、え~~? それほどでもないですよ~~」
気分が良くなりついでに、演奏しながら唄など唄ってしまう。
「!? うっ……」
「う?」
青ざめおののく王の様子に、ユウナギは心配して声を掛ける。
「どうかしましたか?」
「い、いや……」
王は、あれだけ素晴らしく舞い、楽器の素養も認められるのに、少し唄っただけで分かるほどの壊滅的な音感の無さはどういうことか、と齢40を超え、未知の生きものに遭遇した心持ちになった。
「私の伴奏よりも、やっぱり王様の笛は叙情的で、人を惹きつけますよ。笛を改良してから、もっと美しい音色になりましたもん。王様、実は楽師なの?」
「ははは、昔はよく家族で音楽を奏でていたのだよ」
「へぇ、楽しそう! 羨ましいわ。さて、そろそろ広場で披露できるかな」
「そうだね、試しに明日、初披露してみようか」
「はい!」
少し気持ちに余裕ができたその夜、ユウナギは食事中、王に尋ねた。
「前、よくこの国にお忍びでいらしてたって話してましたよね。そう、確か人を探しているって。……まだ見つかってないんですか?」
少々独り言のような問いかけを、王は黙って聞いていたのだが、重い口を開いた。
「ああ、見つかっていない。もう生きていないのかもしれない」
「私、中央に戻ったら、できるだけ協力します。それはどういった方なんですか?」
「妻と娘だ。前話したとおり、私にはふたりの妻がいたのだがね」
王のふたりの妻は、それぞれ息子、娘をもうけていた。
彼としてはどちらの母子も同じように大事にしていたつもりだ。しかし出身の位が高く、息子を生んだ妻はもうひとりの妻を疎み、その憎しみは次第に増長していった。
ある時その妻は、もうひとりの妻の幼い娘に、焼き印を押すという暴挙に出たのだった。
「ふたりの身をこれ以上の危険にさらすわけにいかず、私は信頼できる従者に即刻ふたりを国外へ逃がすよう命じた。後ほど東の方に行ったと聞き……」
ユウナギは言葉に詰まった。
「もう十数年前のことだ。数年前に視力を失うまでは己の足でも探していたのだが、とうとう見つからなかった。きっと、もう……」
「それでも、見つかるかもしれないです。諦めなければ、いつか」
「そうだな。ただ、見つからなくてもせめて、幸せに生きていてくれればと願うよ」
そしてふたりは翌日の披露目のために、寝床でゆっくり休んだ。
翌日仕事を終え、早速広場で演奏を始めた。
最初はまばらだった聴き手もひとりふたりと寄ってきて、更には「すごく素敵な音色が聴ける!」とその場で評判が流れ、あっという間に人だかりができた。
そして演奏が一曲終わると、聴衆はいったんそこを離れ、それぞれ農作物を供えに持ってくるのだった。
それを繰り返し、日没手前、結果的に数日では食べきれないほどの食材をふたりは手に入れた。
「これ、いろいろ提供してくれてる近所の人に配りましょ」
といったわけで、その代わりに仕事量も減らしてもらい、更に場を転転とし演奏すること数日間。
「食材、素材は大量に手に入ったけど、肝心の銅貨は、これっぽっち――!!」
銅貨十枚を、両手にいったりきたりさせるユウナギだった。
王は苦笑いをしている。
「たまに役人が通って銅貨を投げてくれたってことよね」
「こればかりは、やはり演奏の技術だけではどうしようもないことだ。歌劇団だって商売として成り立たせるまでに、長い年月と努力、そして戦略が必要だったろう」
実のところユウナギは、一般の民が貨幣にここまで無縁だとは知らなかったのだ。
「ただ芸を磨くだけじゃダメ?」
「貨幣を稼ぐというならば、初めからその商売相手を高位の人々に定めなくてはいけない。しかしそこと繋がるのすら、はじめは容易でない。技術が評判となり、いつかはその遠い人々に届くこともあるかもしれないが、やはりそれには時間をかけることが必要だ」
「貨幣を稼ぐって、こんなに難しいことだったのね……」
彼女にとって、銅貨はただ与えられるものだった。
「それでも銅貨は結局、食物を得るためのものだ。今、我らにはこんなに美味しい食材が山ほどある。とても有難いことだよ」
「王様、ごめんなさい。私、本当に世間知らずで、空回りばっかり……」
「とんでもない。私はこの数日、実に幸せだった。久しぶりに音楽に興じることができ、その上自らの演奏を民に聴いてもらい、喜ばれ。こんな幸せはめったに味わえないさ」
ユウナギはそれを聞いて心が救われる。
「また久しぶりに、彼女たちの舞台が見たくなってきたな」
「彼女たちって、目当てはあの歌姫でしょ! どうぞ、いってらしてください!」
ふたりは笑い合った。
「私は舞いが得意だけど、ここには歌劇団の舞姫たちの演舞があるから。あまり競合したくないというか、あちらは大勢いるから見た目もずっと華やかだし……。だから、私も楽器をやってみようと思うんです! 王様が主旋律で、私が伴奏!」
「ああ、いいと思うよ」
「でも私、楽器弾いたことなくて。初心者でもできそうな楽器、ないかな?」
「そうだなぁ、吹くよりは叩く方が気楽だろうな」
「太鼓、とか?」
そこで王は近くにある竹を叩いて鳴らした。次に土器を鳴らしてみた。
「他にも何か、叩いて音が鳴るものを集めてくれ」
「? はい」
ユウナギは近所を駆け回り、陶器や銅をいくつも持ってきた。そして王がすべて鳴らした後、その並び順を変えるのだった。
「こちらから順に叩いてごらん」
「はい?」
タンタンタンタン……と、ユウナギが竹棒で叩いてみたところ。
「だんだん音が高くなってる!」
ユウナギは喜んだ。そして王は簡単な曲をそれで弾いてみせるのだった。
「! すごい! 陶器が楽器になった!」
「ではこれで私の伴奏をしてくれるかい?」
「弾き方を教えてくれたら! 頑張って練習するわ!」
こうしてふたりは夕方まで仕事に励み、それ以降は月明りの下で楽曲演奏の練習を行う、そんな日々を過ごすことになった。
寝る間も惜しんで練習し、10日も過ぎただろうか。
「ものすごい上達ぶりだよ。さすがにあれだけの舞いを披露できる芸術家は、拍子の取り方も一級だ」
思いがけず褒められ、ユウナギは有頂天になる。
「え、え~~? それほどでもないですよ~~」
気分が良くなりついでに、演奏しながら唄など唄ってしまう。
「!? うっ……」
「う?」
青ざめおののく王の様子に、ユウナギは心配して声を掛ける。
「どうかしましたか?」
「い、いや……」
王は、あれだけ素晴らしく舞い、楽器の素養も認められるのに、少し唄っただけで分かるほどの壊滅的な音感の無さはどういうことか、と齢40を超え、未知の生きものに遭遇した心持ちになった。
「私の伴奏よりも、やっぱり王様の笛は叙情的で、人を惹きつけますよ。笛を改良してから、もっと美しい音色になりましたもん。王様、実は楽師なの?」
「ははは、昔はよく家族で音楽を奏でていたのだよ」
「へぇ、楽しそう! 羨ましいわ。さて、そろそろ広場で披露できるかな」
「そうだね、試しに明日、初披露してみようか」
「はい!」
少し気持ちに余裕ができたその夜、ユウナギは食事中、王に尋ねた。
「前、よくこの国にお忍びでいらしてたって話してましたよね。そう、確か人を探しているって。……まだ見つかってないんですか?」
少々独り言のような問いかけを、王は黙って聞いていたのだが、重い口を開いた。
「ああ、見つかっていない。もう生きていないのかもしれない」
「私、中央に戻ったら、できるだけ協力します。それはどういった方なんですか?」
「妻と娘だ。前話したとおり、私にはふたりの妻がいたのだがね」
王のふたりの妻は、それぞれ息子、娘をもうけていた。
彼としてはどちらの母子も同じように大事にしていたつもりだ。しかし出身の位が高く、息子を生んだ妻はもうひとりの妻を疎み、その憎しみは次第に増長していった。
ある時その妻は、もうひとりの妻の幼い娘に、焼き印を押すという暴挙に出たのだった。
「ふたりの身をこれ以上の危険にさらすわけにいかず、私は信頼できる従者に即刻ふたりを国外へ逃がすよう命じた。後ほど東の方に行ったと聞き……」
ユウナギは言葉に詰まった。
「もう十数年前のことだ。数年前に視力を失うまでは己の足でも探していたのだが、とうとう見つからなかった。きっと、もう……」
「それでも、見つかるかもしれないです。諦めなければ、いつか」
「そうだな。ただ、見つからなくてもせめて、幸せに生きていてくれればと願うよ」
そしてふたりは翌日の披露目のために、寝床でゆっくり休んだ。
翌日仕事を終え、早速広場で演奏を始めた。
最初はまばらだった聴き手もひとりふたりと寄ってきて、更には「すごく素敵な音色が聴ける!」とその場で評判が流れ、あっという間に人だかりができた。
そして演奏が一曲終わると、聴衆はいったんそこを離れ、それぞれ農作物を供えに持ってくるのだった。
それを繰り返し、日没手前、結果的に数日では食べきれないほどの食材をふたりは手に入れた。
「これ、いろいろ提供してくれてる近所の人に配りましょ」
といったわけで、その代わりに仕事量も減らしてもらい、更に場を転転とし演奏すること数日間。
「食材、素材は大量に手に入ったけど、肝心の銅貨は、これっぽっち――!!」
銅貨十枚を、両手にいったりきたりさせるユウナギだった。
王は苦笑いをしている。
「たまに役人が通って銅貨を投げてくれたってことよね」
「こればかりは、やはり演奏の技術だけではどうしようもないことだ。歌劇団だって商売として成り立たせるまでに、長い年月と努力、そして戦略が必要だったろう」
実のところユウナギは、一般の民が貨幣にここまで無縁だとは知らなかったのだ。
「ただ芸を磨くだけじゃダメ?」
「貨幣を稼ぐというならば、初めからその商売相手を高位の人々に定めなくてはいけない。しかしそこと繋がるのすら、はじめは容易でない。技術が評判となり、いつかはその遠い人々に届くこともあるかもしれないが、やはりそれには時間をかけることが必要だ」
「貨幣を稼ぐって、こんなに難しいことだったのね……」
彼女にとって、銅貨はただ与えられるものだった。
「それでも銅貨は結局、食物を得るためのものだ。今、我らにはこんなに美味しい食材が山ほどある。とても有難いことだよ」
「王様、ごめんなさい。私、本当に世間知らずで、空回りばっかり……」
「とんでもない。私はこの数日、実に幸せだった。久しぶりに音楽に興じることができ、その上自らの演奏を民に聴いてもらい、喜ばれ。こんな幸せはめったに味わえないさ」
ユウナギはそれを聞いて心が救われる。
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