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第4章 恋の手ほどきお願いします
第11話〜戦意喪失〜
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深町君に堂々と恋人宣言したものの、こっ恥ずかし過ぎて頭がおかしくなりそうだった。こんなこと言ったところでどうにかなるとは思っていなかったが、口に出す事で自分は小田桐の彼女なんだと今更ながら自覚が芽生え始めてきたような気がする。
少々性格が捻くれてはいるが、そんなことなど物ともしない程容姿端麗な小田桐だからこそ、本当はやっぱりどこか信じられない所があったのは事実だった。何かと私に突っかかってきていたからてっきり嫌われているのだとばかり思っていたのが、好きだと言われて付き合う事になって。嫉妬されたり、キスをしたり、求められたりしても、いつか掌を返すようにしてあっさり私の目の前から去っていくんじゃないか。そう思うと小田桐の言葉全てを素直に受け止める事が出来なかった。
でも、もうそんなウジウジした自分も今日でやめにする。
あんなに真面目な顔でぶつかってくる小田桐なんて私は今まで見た事が無い。彼の言っている事は本心から言っていることなのだと素直に信じる事にし、次に求められたら逃げださずにちゃんと応じる覚悟を、私はこの時決めたのだった。
「今日は出勤してません! お引取り下さい!」
「だから! 今日出勤だって俺は知ってるって言ってんだろ? いいから早く芳野出せよ!」
決意新たに恋人に会いに行けば、レジカウンターに身を乗り出し小田桐は慎吾さんに詰め寄っていた。この二人が絡むといつもこんな調子だ、一体全体何がきっかけでこうなってしまったんだか。
小田桐の背後から近寄っていくと慎吾さんが先に私に気付き、慎吾さんの視線につられた小田桐も私の方を振り返る。 昨日の今日で幾分気まずいながらも、私はこの店の店員として然るべき対応を心がけることにした。
「他のお客さんの迷惑になるので、店内では大声で騒がないで下さい」
「あ? 未来のプロカメラマン様が一体こんなところで何してんだ?」
「う、うっさい! これは世を忍ぶ仮の姿なの!」
――やっぱりさっきの覚悟は撤回。きっとこんな嫌味ったらしい事を言うのも小田桐の本心なのだろう。
小田桐の一言で店員らしい凛々しい態度なんて一瞬で消え去った上、注意をした本人の方が声を荒げてしまうとは本末転倒。まぁ、見たところ、別に他の客なんて居ないからどうでもいいと言ってしまえばお終いだけど。
「――ああ、さっさとこんな店、辞めちまえ」
吐き捨てる様にそう言いながら、小田桐は慎吾さんに目を向けた。慎吾さんはと言うと私の放った言葉のせいか口元をひくつかせていて、その様子を見て初めて小田桐の罠にまんまと引っ掛かってしまったのだと気が付いた。
「あ、え? ちがっ、慎吾さん、そういう意味じゃ」
「ああ、べ、別に気にしてないよ。カメラマンになるのは歩ちゃんの夢だからね。いやーいいねー、夢があるって……」
ぶつぶつと呟きながら慎吾さんは背を向けると、まだ在庫が十分あると言うのにからあげちゃんを揚げる準備に取り掛かる。どんどん卑屈になってきている慎吾さんにかける言葉も見つからず、私は伸ばした手を仕方なく引っ込めた。
「ちょっと、小田桐!」
当然の如く、私の怒りの矛先は小田桐へと向かう。人を陥れる為だけにこんな深夜にわざわざ来たのかと思うと、人間性を疑いたくもなる。
「あんた一体何し、に……。――何よ、これ」
「さぁ? 梨乃がお前に渡してくれって。『きっと役に立つから』だと」
大きな紙袋を顔の前に差し出され、身体が少し仰け反る。仕方なくその紙袋を受け取り、中身を確認しようとゴソゴソしている私の頭の上に、思い掛けない言葉が降ってきた。
「あと、……昨日は悪かった。ちょっと調子乗りすぎた」
「え?」
さっきまでの勢いは何処へやら。急にシュンとして頬を指でポリポリと掻いている。急にこんなにしおらしくなるなんておかしいと思った私は、過去の事例がふっと頭に浮かんだ。
「もしかして、また梨乃さんに話して『謝りなさい』って言われたとか?」
以前、小田桐が私にした悪ふざけが度を越し、それを聞いて怒った梨乃さんに『謝ってきなさい』と言われ、本当にのこのこと謝りに来た事がある。昨夜の話も、いや、もしかすると今までの事ぜーんぶ梨乃さんに話しているんじゃないかと私は一抹の不安を覚えた。
「いや、梨乃には何も話してない。ただ単純に一晩寝て起きたら……その、自己嫌悪で一杯になってだな」
「そ、う」
「てなわけだから。――それ、ちゃんと渡したぞ。んじゃ、」
「……あ、待って!」
その場を去ろうとしている小田桐の袖をグッと引っ張ると、から揚げちゃんを揚げている慎吾さんに声を掛けた。キョトンとした顔で近づいてきた慎吾さんに向かい、大きく息を吸うと、
「あの、慎吾さん。いつも、か、か、か、……。――! わっ、“私の彼氏”が迷惑ばかり掛けてすいません!」
「へ!?」
「……芳野?」
思い切って言ってみたものの、恥ずかしさでどっちの顔も見る事が出来ず、小田桐の袖を掴んだままずっと頭を下げていた。
ある意味一世一代の告白を終えた後、小田桐は勝ち誇った様にいやらしい笑みを浮かべながら立ち去り、慎吾さんはまるで悪い夢でも見たかの様に頭を抱え込んでいた。いつも小田桐から私を守ろうとしていたのに、いざ蓋を開けてみれば実は付き合っていたのだと知り、流石にショックを受けてしまったようだ。
「あの、慎吾さん、黙っててすみません。なんだか言い出しにくくて」
頭を抱え込んでいる慎吾さんの横で何度も頭を下げていると、慎吾さんが突然ガバッと頭を上げた。
「歩ちゃん、何か弱みでも握られてるんじゃないの?」
「へ?」
「ああ! きっとそうだ! 金にモノを言わせて歩ちゃんを……!」
「あ、いや、ちが」
「歩ちゃん! 僕がきっと君を魔の手から救い出してあげるからね!」
両手をがしっと握り締め勝手に誓いを立てると、又から揚げちゃんを揚げる為にふらふらとした足取りでフライヤーへと向かっていった。
「ははっ……。まっ、いっか。――それより梨乃さん何くれたんだろう?」
あらためて紙袋の中を覗いてみると、更に包装された紙袋が入っている。テープを剥がし中身を見て、――驚愕した。
「あ、えーっと。……これって、つまり、その」
赤、黒、白。その他諸々彩色豊かなセクシーな下着がご丁寧に、私サイズ、しかも上下セットでぎっしりと詰めこまれていた。
◇◆◇
その後、私はコンビニを円満退職し、カメラアシスタントの仕事に集中した。相変わらずエロい仕事が大半を占めていて萎える事も多いが、たまにある服を着た仕事の時なんかはその反動なのか、水を得た魚の様に酷く張り切ってしまう。仕事に差をつけるのは宜しくないとわかっていても自然と好き嫌いが滲み出てしまっていたのか、たまに桑山さん一人で撮影に出かけることも少なからずあった。
これじゃいけないと思いつつも桑山さんの気遣いにどっぷりと甘えてしまい、私は中々言い出せないで居た。
「そろそろお風呂に入ろうと思うんだけど」
今日も小田桐は家に遊びに来ている。慎吾さんに恋人宣言してからと言うもの、彼はずっとご機嫌なご様子だ。『手を出さない』と啖呵を切った後も何度か会いはしたが、キスは愚か手が触れ合うことすらない状態だった。
「ご自由に。――ああ、そうだ、芳野。明日六時に迎えに行くからちゃんと家に居ろよ」
明日は小田桐の会社のオープニングセレモニーと言うやつが催されるらしい。以前、梨乃さんにドレスを作るから採寸させろと言われ、――ついでに胸も揉まれてしまった。下着のサイズも測り直した結果、カップが2サイズも上がったのは目から鱗が落ちる程感激したが、まさかあんなセクシーな下着まで贈られてしまうとは……。
『きっと役に立つから』と言われるも、今のところ一切役には立っていない。もしかすると、本当に私からお願いしなければ一切触れ合うことすら出来ないのかとさえ思えてきた。
「ああ、うん。ってか、ほんっとーに私も行くの?」
「当たり前だろ。だってお前は……、」
「?」
「いや、いい。明日はジャックも来るから。お前に会いたがってる」
「え? 本当? わー、久し振りだな。楽しみ」
「……」
「あっ、もうこんな時間じゃん。お風呂行ってこよっと」
久々にジャッ君に会えると聞いて、行きたくなかったセレモニーとやらも少し楽しみになってくる。小田桐の表情が少し曇ったような気がしたが、私は特にその事に触れる事無くいつもの様にお風呂場に直行した。
◇◆◇
シャワーのコックを捻り熱いお湯を頭からかぶる。狭い浴室は一気に湯気が充満し、たちまち視界が悪くなった。
「はぁー。でも、やっぱりキツイなー」
やはり慣れない場所は緊張する。何故自分も付き添わなければならないのかよくわからないが、きっとお偉いさんばかりが来るに違いない。ちゃんとした場所でのマナーとか一切知らない私がそんなところに行っていいのかと思うと、グッと胃が重くなるのを感じた。
「んー、まぁなんとか……なるのかなぁ??」
シャワーのお湯で顔を何度も擦りながらそんな事を考えていると、ガチャッと扉が開くような音が聞こえた。
「……? ――うぁっ!? お、小田桐?? な、なに!?」
後ろを振り返って見ると浴室の扉が何故か開いていて、そこに小田桐が立ち呆けていた。
少々性格が捻くれてはいるが、そんなことなど物ともしない程容姿端麗な小田桐だからこそ、本当はやっぱりどこか信じられない所があったのは事実だった。何かと私に突っかかってきていたからてっきり嫌われているのだとばかり思っていたのが、好きだと言われて付き合う事になって。嫉妬されたり、キスをしたり、求められたりしても、いつか掌を返すようにしてあっさり私の目の前から去っていくんじゃないか。そう思うと小田桐の言葉全てを素直に受け止める事が出来なかった。
でも、もうそんなウジウジした自分も今日でやめにする。
あんなに真面目な顔でぶつかってくる小田桐なんて私は今まで見た事が無い。彼の言っている事は本心から言っていることなのだと素直に信じる事にし、次に求められたら逃げださずにちゃんと応じる覚悟を、私はこの時決めたのだった。
「今日は出勤してません! お引取り下さい!」
「だから! 今日出勤だって俺は知ってるって言ってんだろ? いいから早く芳野出せよ!」
決意新たに恋人に会いに行けば、レジカウンターに身を乗り出し小田桐は慎吾さんに詰め寄っていた。この二人が絡むといつもこんな調子だ、一体全体何がきっかけでこうなってしまったんだか。
小田桐の背後から近寄っていくと慎吾さんが先に私に気付き、慎吾さんの視線につられた小田桐も私の方を振り返る。 昨日の今日で幾分気まずいながらも、私はこの店の店員として然るべき対応を心がけることにした。
「他のお客さんの迷惑になるので、店内では大声で騒がないで下さい」
「あ? 未来のプロカメラマン様が一体こんなところで何してんだ?」
「う、うっさい! これは世を忍ぶ仮の姿なの!」
――やっぱりさっきの覚悟は撤回。きっとこんな嫌味ったらしい事を言うのも小田桐の本心なのだろう。
小田桐の一言で店員らしい凛々しい態度なんて一瞬で消え去った上、注意をした本人の方が声を荒げてしまうとは本末転倒。まぁ、見たところ、別に他の客なんて居ないからどうでもいいと言ってしまえばお終いだけど。
「――ああ、さっさとこんな店、辞めちまえ」
吐き捨てる様にそう言いながら、小田桐は慎吾さんに目を向けた。慎吾さんはと言うと私の放った言葉のせいか口元をひくつかせていて、その様子を見て初めて小田桐の罠にまんまと引っ掛かってしまったのだと気が付いた。
「あ、え? ちがっ、慎吾さん、そういう意味じゃ」
「ああ、べ、別に気にしてないよ。カメラマンになるのは歩ちゃんの夢だからね。いやーいいねー、夢があるって……」
ぶつぶつと呟きながら慎吾さんは背を向けると、まだ在庫が十分あると言うのにからあげちゃんを揚げる準備に取り掛かる。どんどん卑屈になってきている慎吾さんにかける言葉も見つからず、私は伸ばした手を仕方なく引っ込めた。
「ちょっと、小田桐!」
当然の如く、私の怒りの矛先は小田桐へと向かう。人を陥れる為だけにこんな深夜にわざわざ来たのかと思うと、人間性を疑いたくもなる。
「あんた一体何し、に……。――何よ、これ」
「さぁ? 梨乃がお前に渡してくれって。『きっと役に立つから』だと」
大きな紙袋を顔の前に差し出され、身体が少し仰け反る。仕方なくその紙袋を受け取り、中身を確認しようとゴソゴソしている私の頭の上に、思い掛けない言葉が降ってきた。
「あと、……昨日は悪かった。ちょっと調子乗りすぎた」
「え?」
さっきまでの勢いは何処へやら。急にシュンとして頬を指でポリポリと掻いている。急にこんなにしおらしくなるなんておかしいと思った私は、過去の事例がふっと頭に浮かんだ。
「もしかして、また梨乃さんに話して『謝りなさい』って言われたとか?」
以前、小田桐が私にした悪ふざけが度を越し、それを聞いて怒った梨乃さんに『謝ってきなさい』と言われ、本当にのこのこと謝りに来た事がある。昨夜の話も、いや、もしかすると今までの事ぜーんぶ梨乃さんに話しているんじゃないかと私は一抹の不安を覚えた。
「いや、梨乃には何も話してない。ただ単純に一晩寝て起きたら……その、自己嫌悪で一杯になってだな」
「そ、う」
「てなわけだから。――それ、ちゃんと渡したぞ。んじゃ、」
「……あ、待って!」
その場を去ろうとしている小田桐の袖をグッと引っ張ると、から揚げちゃんを揚げている慎吾さんに声を掛けた。キョトンとした顔で近づいてきた慎吾さんに向かい、大きく息を吸うと、
「あの、慎吾さん。いつも、か、か、か、……。――! わっ、“私の彼氏”が迷惑ばかり掛けてすいません!」
「へ!?」
「……芳野?」
思い切って言ってみたものの、恥ずかしさでどっちの顔も見る事が出来ず、小田桐の袖を掴んだままずっと頭を下げていた。
ある意味一世一代の告白を終えた後、小田桐は勝ち誇った様にいやらしい笑みを浮かべながら立ち去り、慎吾さんはまるで悪い夢でも見たかの様に頭を抱え込んでいた。いつも小田桐から私を守ろうとしていたのに、いざ蓋を開けてみれば実は付き合っていたのだと知り、流石にショックを受けてしまったようだ。
「あの、慎吾さん、黙っててすみません。なんだか言い出しにくくて」
頭を抱え込んでいる慎吾さんの横で何度も頭を下げていると、慎吾さんが突然ガバッと頭を上げた。
「歩ちゃん、何か弱みでも握られてるんじゃないの?」
「へ?」
「ああ! きっとそうだ! 金にモノを言わせて歩ちゃんを……!」
「あ、いや、ちが」
「歩ちゃん! 僕がきっと君を魔の手から救い出してあげるからね!」
両手をがしっと握り締め勝手に誓いを立てると、又から揚げちゃんを揚げる為にふらふらとした足取りでフライヤーへと向かっていった。
「ははっ……。まっ、いっか。――それより梨乃さん何くれたんだろう?」
あらためて紙袋の中を覗いてみると、更に包装された紙袋が入っている。テープを剥がし中身を見て、――驚愕した。
「あ、えーっと。……これって、つまり、その」
赤、黒、白。その他諸々彩色豊かなセクシーな下着がご丁寧に、私サイズ、しかも上下セットでぎっしりと詰めこまれていた。
◇◆◇
その後、私はコンビニを円満退職し、カメラアシスタントの仕事に集中した。相変わらずエロい仕事が大半を占めていて萎える事も多いが、たまにある服を着た仕事の時なんかはその反動なのか、水を得た魚の様に酷く張り切ってしまう。仕事に差をつけるのは宜しくないとわかっていても自然と好き嫌いが滲み出てしまっていたのか、たまに桑山さん一人で撮影に出かけることも少なからずあった。
これじゃいけないと思いつつも桑山さんの気遣いにどっぷりと甘えてしまい、私は中々言い出せないで居た。
「そろそろお風呂に入ろうと思うんだけど」
今日も小田桐は家に遊びに来ている。慎吾さんに恋人宣言してからと言うもの、彼はずっとご機嫌なご様子だ。『手を出さない』と啖呵を切った後も何度か会いはしたが、キスは愚か手が触れ合うことすらない状態だった。
「ご自由に。――ああ、そうだ、芳野。明日六時に迎えに行くからちゃんと家に居ろよ」
明日は小田桐の会社のオープニングセレモニーと言うやつが催されるらしい。以前、梨乃さんにドレスを作るから採寸させろと言われ、――ついでに胸も揉まれてしまった。下着のサイズも測り直した結果、カップが2サイズも上がったのは目から鱗が落ちる程感激したが、まさかあんなセクシーな下着まで贈られてしまうとは……。
『きっと役に立つから』と言われるも、今のところ一切役には立っていない。もしかすると、本当に私からお願いしなければ一切触れ合うことすら出来ないのかとさえ思えてきた。
「ああ、うん。ってか、ほんっとーに私も行くの?」
「当たり前だろ。だってお前は……、」
「?」
「いや、いい。明日はジャックも来るから。お前に会いたがってる」
「え? 本当? わー、久し振りだな。楽しみ」
「……」
「あっ、もうこんな時間じゃん。お風呂行ってこよっと」
久々にジャッ君に会えると聞いて、行きたくなかったセレモニーとやらも少し楽しみになってくる。小田桐の表情が少し曇ったような気がしたが、私は特にその事に触れる事無くいつもの様にお風呂場に直行した。
◇◆◇
シャワーのコックを捻り熱いお湯を頭からかぶる。狭い浴室は一気に湯気が充満し、たちまち視界が悪くなった。
「はぁー。でも、やっぱりキツイなー」
やはり慣れない場所は緊張する。何故自分も付き添わなければならないのかよくわからないが、きっとお偉いさんばかりが来るに違いない。ちゃんとした場所でのマナーとか一切知らない私がそんなところに行っていいのかと思うと、グッと胃が重くなるのを感じた。
「んー、まぁなんとか……なるのかなぁ??」
シャワーのお湯で顔を何度も擦りながらそんな事を考えていると、ガチャッと扉が開くような音が聞こえた。
「……? ――うぁっ!? お、小田桐?? な、なに!?」
後ろを振り返って見ると浴室の扉が何故か開いていて、そこに小田桐が立ち呆けていた。
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