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第4章《旅立ち~獣人国ガルヴィオ》編
第175話 他国の大聖堂
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ヴァドは私たちを怪訝な目でじろりと一瞥したが、少しの間を置くと溜め息を吐いた。
「フッ、お前たちが罪人とか言われても、信じられんがな」
そう言ったヴァドは笑った。緊張感の走った雰囲気が和らぐ。私たちはホッと胸を撫で下ろした。
「罪人とは思わんが、一体なんでそんなことになってんだ?」
ヴァドはオキを見るが、オキは肩をすくめる。
「さあねぇ、俺たちにも原因が分からないんだよねー。だから理不尽に捕まるとかしたくない訳よ。そこでヴァドに先に聞いてもらえないかなーって」
さすがオキ。しれーっと原因不明だと話している……。実はあんたが拘束しろとか言われているくせに、と苦笑する。まあなんで私が拘束されるはめになっているかはオキ自身も理由は知らないみたいだけど。
「なんかよく分からんが、うーん……、まあ、分かった」
ヴァドは怪訝な顔をしながらも協力してくれることとなった。
「しかし、万が一アシェルーダからなにか指示が入っていたらどうする?」
ディノが確認する。確かに、もしアシェルーダからなにか指示されていた場合、やはり神殿に行くことは出来ない。そうなるとどうやって神殿に向かえばいいんだろう……。
「いくら三国統一の大聖堂とはいえ、他国の介入は出来ないはずだから、まあ大丈夫じゃないか?」
ふむ、と顎に手をやり考えるヴァドが言った。神殿はひとつしかないが、大聖堂は三国全てに必ずある。それは神殿へと繋がるためだ。だから基本的には大聖堂は三国共通で統一されている。しかし、だからといって他国の大聖堂に介入は出来ない。その国の大聖堂はその国のものであるとされているからだ。そんな存在である大聖堂に他国が介入したとなれば、それこそ大問題になりそうな話なのだ。
「う、うん、そうだよね……大丈夫……かな」
「ま、そんときはとりあえず魔傀儡師探しにでも行けば良いんじゃね?」
オキがあっけらかんと言う。その姿になんだか力が抜け苦笑する。
「ハハ、そうね。とにかく行ってみないと分からないしね」
「なら、明日はとりあえず大聖堂へ向かって、俺が先に聞いてみるってことだな。で、駄目そうなら魔傀儡師探しに行くかー」
ヴァドが言った明日の予定に皆が頷いた。その後は部屋に夕食が運ばれて来て、またしても目を見開く私たちだった。
夜、眠るときにはもちろんルギニアスは小さいままでお願いしましたよ。うん、それはね、もちろんね。
翌朝、大聖堂へ向けて出発。大聖堂はアシェルーダとは違い、王城にある訳ではないらしい。
「ガルヴィオの大聖堂は王都の外れにある。せっかくだし列車に乗るか?」
ニッと笑ったヴァド。リラーナも私も、もちろん大いに頷いたのは言うまでもない。
昨夜見た列車が停車するという駅へと向かう。街の高い建物に囲まれた道は、しかし幅も広く、多くの魔導車が行き交っていた。小さい魔導車から昨夜乗ったような大きいものまで様々。店もすでに開店していて賑わっている。
獣人たちもザビーグやゼスドルで見かけた獣人よりも、なんだかお洒落なような……。人型の獣人も獣姿の獣人も、皆、お洒落な服装をしている。しかし、帽子やズボンの隙間から耳や尻尾がピコピコ動いているのが、なんだか可愛くてついつい見詰めてしまう。
駅は巨大な建物で、一階部分しかないが広い敷地に大きな屋根で覆われ、二本のレールが敷かれていた。
「このレールの上を走って行くのね?」
レールとは分けられた場所に乗客が乗り降りするための場所がある。そこからレールを覗き込み、ひたすら真っ直ぐ伸びるレールを眺めた。
「あぁ。大聖堂までは一駅しか行かないからあっという間だけどな」
一駅しかなくてもせっかくだから乗ってみたい! ということになり、私たちは停車していた列車に乗り込んだ。
乗り込んだ列車のなかは真ん中の通路を挟んで左右に座席がある。二人掛けの椅子が向かい合い、四人が座れる空間となっているようだ。天井はそれほど高くもなく、ヴァドが通るのにやっとというくらい。天井には等間隔に灯りが設置されてあり、昨夜列車らしきものから見えた等間隔の灯りは、この灯りが窓から漏れていたのだ、ということが分かった。
木造で出来た列車内部は歩くたびにギシッと音がし、木の香りが漂っている。なんだか落ち着く車内だなぁ、とほっこりしていると、頭上から余計な一言が降って来た。
「人間は面倒なことをするもんだな。移動なんぞ飛べば良いものを」
ブンッと頭を振り、ルギニアスを振り落とす。
「おい!」
転がり落ちたルギニアスをキャッチしたが、ルギニアスはぷんすかと怒っていた。
「人間はルギニアスみたいに魔力が強くないの! 飛翔魔法も空間転移魔法もそんな簡単に出来る人はいないの!」
目の前に持ち上げ、真っ直ぐに見据えて言うが、ルギニアスはプイッと横を向く。
「まあ、ルギニアスには簡単なことなんだろうけどね。羨ましい」
「今度抱いて飛んでやろうか」
ニヤッと笑いながら言うルギニアスに、あの大聖堂からの脱出時を思い出し、なんだか恥ずかしいやら怖かったことやら色々思い出し複雑な表情となってしまった。
「いい」
ムッとし、ルギニアスを鞄のなかに突っ込んだら「おい!」って怒られました。
「フッ、お前たちが罪人とか言われても、信じられんがな」
そう言ったヴァドは笑った。緊張感の走った雰囲気が和らぐ。私たちはホッと胸を撫で下ろした。
「罪人とは思わんが、一体なんでそんなことになってんだ?」
ヴァドはオキを見るが、オキは肩をすくめる。
「さあねぇ、俺たちにも原因が分からないんだよねー。だから理不尽に捕まるとかしたくない訳よ。そこでヴァドに先に聞いてもらえないかなーって」
さすがオキ。しれーっと原因不明だと話している……。実はあんたが拘束しろとか言われているくせに、と苦笑する。まあなんで私が拘束されるはめになっているかはオキ自身も理由は知らないみたいだけど。
「なんかよく分からんが、うーん……、まあ、分かった」
ヴァドは怪訝な顔をしながらも協力してくれることとなった。
「しかし、万が一アシェルーダからなにか指示が入っていたらどうする?」
ディノが確認する。確かに、もしアシェルーダからなにか指示されていた場合、やはり神殿に行くことは出来ない。そうなるとどうやって神殿に向かえばいいんだろう……。
「いくら三国統一の大聖堂とはいえ、他国の介入は出来ないはずだから、まあ大丈夫じゃないか?」
ふむ、と顎に手をやり考えるヴァドが言った。神殿はひとつしかないが、大聖堂は三国全てに必ずある。それは神殿へと繋がるためだ。だから基本的には大聖堂は三国共通で統一されている。しかし、だからといって他国の大聖堂に介入は出来ない。その国の大聖堂はその国のものであるとされているからだ。そんな存在である大聖堂に他国が介入したとなれば、それこそ大問題になりそうな話なのだ。
「う、うん、そうだよね……大丈夫……かな」
「ま、そんときはとりあえず魔傀儡師探しにでも行けば良いんじゃね?」
オキがあっけらかんと言う。その姿になんだか力が抜け苦笑する。
「ハハ、そうね。とにかく行ってみないと分からないしね」
「なら、明日はとりあえず大聖堂へ向かって、俺が先に聞いてみるってことだな。で、駄目そうなら魔傀儡師探しに行くかー」
ヴァドが言った明日の予定に皆が頷いた。その後は部屋に夕食が運ばれて来て、またしても目を見開く私たちだった。
夜、眠るときにはもちろんルギニアスは小さいままでお願いしましたよ。うん、それはね、もちろんね。
翌朝、大聖堂へ向けて出発。大聖堂はアシェルーダとは違い、王城にある訳ではないらしい。
「ガルヴィオの大聖堂は王都の外れにある。せっかくだし列車に乗るか?」
ニッと笑ったヴァド。リラーナも私も、もちろん大いに頷いたのは言うまでもない。
昨夜見た列車が停車するという駅へと向かう。街の高い建物に囲まれた道は、しかし幅も広く、多くの魔導車が行き交っていた。小さい魔導車から昨夜乗ったような大きいものまで様々。店もすでに開店していて賑わっている。
獣人たちもザビーグやゼスドルで見かけた獣人よりも、なんだかお洒落なような……。人型の獣人も獣姿の獣人も、皆、お洒落な服装をしている。しかし、帽子やズボンの隙間から耳や尻尾がピコピコ動いているのが、なんだか可愛くてついつい見詰めてしまう。
駅は巨大な建物で、一階部分しかないが広い敷地に大きな屋根で覆われ、二本のレールが敷かれていた。
「このレールの上を走って行くのね?」
レールとは分けられた場所に乗客が乗り降りするための場所がある。そこからレールを覗き込み、ひたすら真っ直ぐ伸びるレールを眺めた。
「あぁ。大聖堂までは一駅しか行かないからあっという間だけどな」
一駅しかなくてもせっかくだから乗ってみたい! ということになり、私たちは停車していた列車に乗り込んだ。
乗り込んだ列車のなかは真ん中の通路を挟んで左右に座席がある。二人掛けの椅子が向かい合い、四人が座れる空間となっているようだ。天井はそれほど高くもなく、ヴァドが通るのにやっとというくらい。天井には等間隔に灯りが設置されてあり、昨夜列車らしきものから見えた等間隔の灯りは、この灯りが窓から漏れていたのだ、ということが分かった。
木造で出来た列車内部は歩くたびにギシッと音がし、木の香りが漂っている。なんだか落ち着く車内だなぁ、とほっこりしていると、頭上から余計な一言が降って来た。
「人間は面倒なことをするもんだな。移動なんぞ飛べば良いものを」
ブンッと頭を振り、ルギニアスを振り落とす。
「おい!」
転がり落ちたルギニアスをキャッチしたが、ルギニアスはぷんすかと怒っていた。
「人間はルギニアスみたいに魔力が強くないの! 飛翔魔法も空間転移魔法もそんな簡単に出来る人はいないの!」
目の前に持ち上げ、真っ直ぐに見据えて言うが、ルギニアスはプイッと横を向く。
「まあ、ルギニアスには簡単なことなんだろうけどね。羨ましい」
「今度抱いて飛んでやろうか」
ニヤッと笑いながら言うルギニアスに、あの大聖堂からの脱出時を思い出し、なんだか恥ずかしいやら怖かったことやら色々思い出し複雑な表情となってしまった。
「いい」
ムッとし、ルギニアスを鞄のなかに突っ込んだら「おい!」って怒られました。
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