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第3章《試験》編
第85話 採取場所
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「アッハッハッ!! ガルヴィオに行きたいって!」
全員に笑われた。いや、ちょっと、そんな笑う!?
「えぇ、なんで!? ガルヴィオに行ってみたいと思わない!? そんな凄いものを造る国を見てみたくない!?」
「いやぁ、そりゃ見てみたいけど、無理だろ」
「うん。そんな簡単に入国出来ないんじゃない?」
「え、そ、そうなの?」
ガーン。入国困難なの!?
「ガルヴィオに行ったことがある人も数人聞いたことはあるけれど、どの人も皆、国の偉い人とかだったような。所謂外交だよね」
「えぇぇ、そうなんだ……」
そんな簡単には行けないのか……。ガックリ……。
「ま、まあなにかしら方法はあるかもしれないし……というか、それよりも試験だよ!」
思い出したかのようにライが叫んだ。皆が「あっ」という顔になる。
「そうよ! 明日から特殊魔石の採取に行かないといけないのに!」
「エルシュとガルヴィオの話が興味深過ぎてすっかり忘れるところだったわね」
リースとメルも苦笑する。
「アハハ、ごめんごめん、僕が街の話をし出したから」
「いやいや、面白い話が聞けて良かったよ」
皆がうんうん、と頷く。エルシュとガルヴィオには行きたいけど、今は目先の試験の心配をしないとね。
「皆はどこに採取に行くの?」
「俺とリースはフェスラーデの森だな」
「凄いな、いきなりフェスラーデの森に行くのか」
アランが驚いた顔をした。フェスラーデの森はとても広い森で魔獣や魔蟲が多くいる。しかしそこの魔獣はとても強く、私が独り立ちのときにダラスさんからは厳しいかもしれないと説明された場所だ。
「俺とリースは同じ師匠だからな。一応共闘しようかと思っている」
「なるほど」
共闘することに別段問題はない。結果的に魔石を提出さえ出来たら良いのだ。採取するときにどちらのものか、といった問題さえなければ、共闘するほうが有利に決まっている。
しかし、強い魔獣から強い魔石を採取した、となったときに、どちらが手にするかで揉めることもあるようで、だからあまり共闘する人はいないと聞いたことがある。
その点、ライとリースは同じ師匠の元にいる弟子同士。ライバルでもあるのだろうが、気心知れた仲なのだろう。
「良いなぁ、共闘かぁ。私は一人だし、砂漠に行こうかと思ってる」
メルがそんな二人を羨ましそうに眺めながら言った。
「僕もとりあえずは砂漠かな。そこで様子を見て、フェスラーデの森に移るかもしれないけど」
ダラスさんの話では、特殊魔石での試験はより強力な魔石が求められると言っていた。魔石の品質によって力量が決められてしまう、と。だから安全を取って、簡単なものを採取したところで合格にならないかもしれない。皆、より強いものを求めて採取しようとする。それが危険だともダラスさんは言っていた。
アランのとりあえず砂漠で様子を見る、というのは無難なのだろう。そこで強い魔石を手に入れられたらそれで良し。それで駄目ならばフェスラーデの森へ。
「ルーサはどうするの?」
メルが聞いた。
「私は……」
無難に行けば砂漠なのかもしれないけれど、フェスラーデの森にも修行中に何度か行った。ディノとイーザンとの連携も取れるようになってきた。だから……
「私はフェスラーデの森に行くよ」
「えぇ、ルーサ、フェスラーデの森に行くの!? こ、怖くない!?」
「うーん、怖くないと言ったら嘘になるけど、もう何度も一緒に採取に行ってくれている護衛の人たちもいるし、なんとかなるんじゃないかと思う」
「そうなんだ……皆、フェスラーデの森に行くのね……あぁぁあ! 私だけ!!」
メルはテーブルに突っ伏した。
「王都で護衛を雇うのも初めてだし……色々不安……」
「なんなら僕と一緒に行く?」
見兼ねてかアランがメルに声を掛けた。
「え、良いの!?」
「ハハ、良いよ。僕も王都の護衛は初めてだからメルと一緒の立場だしね。出来れば協力し合いたい」
「ありがとう!!」
メルが涙目になりながらアランに握手を求めていた。良かった、メルが一人にならなくて。私が一緒に行ってあげられたら良かったんだけど……ディノとイーザンにはフェスラーデの森に行くって伝えてある。それに私も強い魔石に挑戦したい。ごめんね、メル。少しばかり後ろめたい気分になってしまった。
『おい、いつもの奴に加えて、なんか数人いるぞ』
ルギニアスの声が聞こえた。周りに聞こえないようにか、小さい声で話しかけてきた。
数人? いつもの奴っていうのはおそらく私をいつもつけていた人よね。魔石感知で周囲を探ると、いつも感じる魔石の気配だけでなく、なにやら似たような、しかし一般的ではない魔石の気配を二つ感じる。どうやら同じ場所からこちらの様子を伺っているようだ。
なんなのかしら……なぜ今日に限って三つの気配……。なにやら不安を感じたが、いつものごとく様子を伺っているだけのようで、こちらに近付いてくる気配はない。しかも皆はなにも気付いていない。仕方がないのでそのままやり過ごしたのだった。
全員に笑われた。いや、ちょっと、そんな笑う!?
「えぇ、なんで!? ガルヴィオに行ってみたいと思わない!? そんな凄いものを造る国を見てみたくない!?」
「いやぁ、そりゃ見てみたいけど、無理だろ」
「うん。そんな簡単に入国出来ないんじゃない?」
「え、そ、そうなの?」
ガーン。入国困難なの!?
「ガルヴィオに行ったことがある人も数人聞いたことはあるけれど、どの人も皆、国の偉い人とかだったような。所謂外交だよね」
「えぇぇ、そうなんだ……」
そんな簡単には行けないのか……。ガックリ……。
「ま、まあなにかしら方法はあるかもしれないし……というか、それよりも試験だよ!」
思い出したかのようにライが叫んだ。皆が「あっ」という顔になる。
「そうよ! 明日から特殊魔石の採取に行かないといけないのに!」
「エルシュとガルヴィオの話が興味深過ぎてすっかり忘れるところだったわね」
リースとメルも苦笑する。
「アハハ、ごめんごめん、僕が街の話をし出したから」
「いやいや、面白い話が聞けて良かったよ」
皆がうんうん、と頷く。エルシュとガルヴィオには行きたいけど、今は目先の試験の心配をしないとね。
「皆はどこに採取に行くの?」
「俺とリースはフェスラーデの森だな」
「凄いな、いきなりフェスラーデの森に行くのか」
アランが驚いた顔をした。フェスラーデの森はとても広い森で魔獣や魔蟲が多くいる。しかしそこの魔獣はとても強く、私が独り立ちのときにダラスさんからは厳しいかもしれないと説明された場所だ。
「俺とリースは同じ師匠だからな。一応共闘しようかと思っている」
「なるほど」
共闘することに別段問題はない。結果的に魔石を提出さえ出来たら良いのだ。採取するときにどちらのものか、といった問題さえなければ、共闘するほうが有利に決まっている。
しかし、強い魔獣から強い魔石を採取した、となったときに、どちらが手にするかで揉めることもあるようで、だからあまり共闘する人はいないと聞いたことがある。
その点、ライとリースは同じ師匠の元にいる弟子同士。ライバルでもあるのだろうが、気心知れた仲なのだろう。
「良いなぁ、共闘かぁ。私は一人だし、砂漠に行こうかと思ってる」
メルがそんな二人を羨ましそうに眺めながら言った。
「僕もとりあえずは砂漠かな。そこで様子を見て、フェスラーデの森に移るかもしれないけど」
ダラスさんの話では、特殊魔石での試験はより強力な魔石が求められると言っていた。魔石の品質によって力量が決められてしまう、と。だから安全を取って、簡単なものを採取したところで合格にならないかもしれない。皆、より強いものを求めて採取しようとする。それが危険だともダラスさんは言っていた。
アランのとりあえず砂漠で様子を見る、というのは無難なのだろう。そこで強い魔石を手に入れられたらそれで良し。それで駄目ならばフェスラーデの森へ。
「ルーサはどうするの?」
メルが聞いた。
「私は……」
無難に行けば砂漠なのかもしれないけれど、フェスラーデの森にも修行中に何度か行った。ディノとイーザンとの連携も取れるようになってきた。だから……
「私はフェスラーデの森に行くよ」
「えぇ、ルーサ、フェスラーデの森に行くの!? こ、怖くない!?」
「うーん、怖くないと言ったら嘘になるけど、もう何度も一緒に採取に行ってくれている護衛の人たちもいるし、なんとかなるんじゃないかと思う」
「そうなんだ……皆、フェスラーデの森に行くのね……あぁぁあ! 私だけ!!」
メルはテーブルに突っ伏した。
「王都で護衛を雇うのも初めてだし……色々不安……」
「なんなら僕と一緒に行く?」
見兼ねてかアランがメルに声を掛けた。
「え、良いの!?」
「ハハ、良いよ。僕も王都の護衛は初めてだからメルと一緒の立場だしね。出来れば協力し合いたい」
「ありがとう!!」
メルが涙目になりながらアランに握手を求めていた。良かった、メルが一人にならなくて。私が一緒に行ってあげられたら良かったんだけど……ディノとイーザンにはフェスラーデの森に行くって伝えてある。それに私も強い魔石に挑戦したい。ごめんね、メル。少しばかり後ろめたい気分になってしまった。
『おい、いつもの奴に加えて、なんか数人いるぞ』
ルギニアスの声が聞こえた。周りに聞こえないようにか、小さい声で話しかけてきた。
数人? いつもの奴っていうのはおそらく私をいつもつけていた人よね。魔石感知で周囲を探ると、いつも感じる魔石の気配だけでなく、なにやら似たような、しかし一般的ではない魔石の気配を二つ感じる。どうやら同じ場所からこちらの様子を伺っているようだ。
なんなのかしら……なぜ今日に限って三つの気配……。なにやら不安を感じたが、いつものごとく様子を伺っているだけのようで、こちらに近付いてくる気配はない。しかも皆はなにも気付いていない。仕方がないのでそのままやり過ごしたのだった。
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