67 / 73
その後編
クラハの一日
しおりを挟む
その後編です。
・ヒナタとラズの一日
・クラハの一日
・アルティスの一日
・ジークの一日
どれも一話完結の単話です。
話も繋がっていないので、順番関係なくお読みいただけます。
ジークの話だけ明日土曜日の投稿に繋がります。
****************
「あぁぁぁあ、どうしよう……」
盛大な溜め息と共に項垂れながら言葉を吐いたクラハ。
先日ヒナタから「日本に帰ることが出来るかもしれない、もし帰ることが出来たら、何でも屋はもう働くことが出来ない」と告げられた。
「ヒナタの人生だしね、君が帰りたいと思うなら止めることは出来ないよ」
本心だった……止めることが出来ないことは事実だし、元々この世界の人ではないのだ。来たくて来た訳でもない。それを帰りたいと言われて引き留められる訳がない。
そう、だから本心だったんだよ。
「で、でもさぁぁあ!!」
ちゃぶ台に突っ伏しながらグダグダといつまでも言っている自分が情けなく思うが、それでもやはり溜め息が漏れてしまう。
ヒナタが来てからはというもの、客からの評判も良く、仕事の依頼も膨大に増えた。ヒナタの仕事は丁寧で早い。さらに客とも仲良くなるのだから、それは評判も良くなるというものだ。
そうやってヒナタのおかげで増えた依頼を、これから一人でどうするか。
それが頭の痛いところだった。依頼の件数を減らすのは仕方ないにしても、今までヒナタの仕事の丁寧さで人気を得ていた依頼を、自分一人でこなすことが出来るのか、それだけがどうしたら良いのか結論が出なかった。
いや、まあ俺が丁寧にやれば良いだけなんだけどさ、でも人間得意不得意ってあるじゃないか、俺にはどうやっても上手く出来ないこともあるんだよ。
それを思うと頭が痛い……。
「はぁぁあ、どうしよ……、あんな格好つけるじゃなかった……」
そんなことを悩む日々を送っていると、一週間後、ヒナタが帰ったかもしれないと思われる日の翌日にヒナタが現れた。
「えぇ!?」
まあ驚くよね。もう二度と会えないと思っていたヒナタに、しかも後ろには誰なんだかイケメンさんがヒナタにびったりとくっついている……。誰だあれ。
「ちょっとラズ、そんなにくっつかないでよ」
「良いだろ、これくらい」
「もう! 動きにくい!」
「んんん!?」
ラ、ラズ!? ラズとか言ったか? 今。え? ん? んん?
「クラハさん……、すいません、またここで働かせていただけませんか?」
「え? いや、ちょっと待って、え? ヒナタ? なんで? 日本に帰ったんじゃ」
「あー、帰れそうだったんですよ……帰れそうだったんですけどね……」
ヒナタは後ろにビタッとくっつく男を振り向き見上げ、じろりと睨んだ。
「い、いや、だって……それは……、それは謝ったじゃないか!」
男はもごもごと言い訳をしている。
「す、すまん、状況が分からん。ヒナタは日本には帰れなかった、ということか?」
「そうですね、残念ながら」
「で、その男は誰なんだ?」
「あ……」
ヒナタは驚いたような顔をし、後ろの男はニッと笑みを浮かべ、ヒナタの腰に手を回したまま引き寄せた。
「ちょ、ちょっといい加減に……」
「いやだ」
「…………」
「あ、その! この人は、えっと……ラズです……」
「は?」
ヒナタは苦笑した。
「今まで私の側にいた黒猫のラズなんです。その……呪いにかかっていて黒猫の姿だったんです。で、その呪いが解けて人間の姿に戻ったんですよ」
「…………、えぇ!? 人間!? 人間だったの!?」
あの黒猫のラズが人間……、しかも男……、しかもヒナタにべったり……。
「えっと……、その……、ラズっていうのは驚いたけど分かった……、それでその……、二人は付き合ってるということか?」
まあこのべったり具合を見ると明らかだが、そこは一応確認するか。
「い、いえ!」
「そうだ!」
二人して真逆の返答……。
「「えぇ!?」」
お互いが驚いてるし……なんだこれ。
「おい! なんでだよ! 俺らもう恋人同士だろ!?」
「ちょ、ちょっと恋人同士とか大声で言わないでよ!」
「あんなキスした仲……むぐっ」
ラズの口を思い切り押さえたヒナタ……、いや、うん、聞こえたけどね……ハハ。
「な、な、なに言ってくれちゃってんのよ! こんなところでそんなこと言わないでよ!」
「ヒナタが付き合ってないとか言うからだろ!!」
「そ、それは!!」
ギャーギャーと二人で言い合っている。なんだこれ、惚気か?
「ちょっと二人とも……、痴話喧嘩ならよそでやってくれる?」
「痴話喧嘩って!」
ヒナタが真っ赤な顔をしてこちらに振り向いた。ラズと言われた男はニヤニヤしてるし……。
「うーん、まあ二人が恋人同士かはもうこの際どっちでも良いや」
「おい!」
「それよりもヒナタはじゃあまたここで働いてくれるんだね!? 俺にとってそれが一番重要だから!」
ヒナタに詰め寄り肩をガッと掴むと、ヒナタはたじろぎ、ラズが思い切りヒナタを俺から引き剥がした。
「はい、またお願いしても良いですか? 急に辞めたりまた戻って来たり……本当に申し訳なく思うのですが……」
「いやぁあ! 助かるよ!! ヒナタがいなくなってどうしようかと思ってたんだ!」
「あー、ハハ、本当にすいませんでした……でも、クラハさん、これからは私がいなくてもなんとかなるように考えましょう」
「あ、はい……」
こうして戻って来たヒナタと、ついでにラズも? と再び何でも屋を出来る日々が戻ったのだった。
・ヒナタとラズの一日
・クラハの一日
・アルティスの一日
・ジークの一日
どれも一話完結の単話です。
話も繋がっていないので、順番関係なくお読みいただけます。
ジークの話だけ明日土曜日の投稿に繋がります。
****************
「あぁぁぁあ、どうしよう……」
盛大な溜め息と共に項垂れながら言葉を吐いたクラハ。
先日ヒナタから「日本に帰ることが出来るかもしれない、もし帰ることが出来たら、何でも屋はもう働くことが出来ない」と告げられた。
「ヒナタの人生だしね、君が帰りたいと思うなら止めることは出来ないよ」
本心だった……止めることが出来ないことは事実だし、元々この世界の人ではないのだ。来たくて来た訳でもない。それを帰りたいと言われて引き留められる訳がない。
そう、だから本心だったんだよ。
「で、でもさぁぁあ!!」
ちゃぶ台に突っ伏しながらグダグダといつまでも言っている自分が情けなく思うが、それでもやはり溜め息が漏れてしまう。
ヒナタが来てからはというもの、客からの評判も良く、仕事の依頼も膨大に増えた。ヒナタの仕事は丁寧で早い。さらに客とも仲良くなるのだから、それは評判も良くなるというものだ。
そうやってヒナタのおかげで増えた依頼を、これから一人でどうするか。
それが頭の痛いところだった。依頼の件数を減らすのは仕方ないにしても、今までヒナタの仕事の丁寧さで人気を得ていた依頼を、自分一人でこなすことが出来るのか、それだけがどうしたら良いのか結論が出なかった。
いや、まあ俺が丁寧にやれば良いだけなんだけどさ、でも人間得意不得意ってあるじゃないか、俺にはどうやっても上手く出来ないこともあるんだよ。
それを思うと頭が痛い……。
「はぁぁあ、どうしよ……、あんな格好つけるじゃなかった……」
そんなことを悩む日々を送っていると、一週間後、ヒナタが帰ったかもしれないと思われる日の翌日にヒナタが現れた。
「えぇ!?」
まあ驚くよね。もう二度と会えないと思っていたヒナタに、しかも後ろには誰なんだかイケメンさんがヒナタにびったりとくっついている……。誰だあれ。
「ちょっとラズ、そんなにくっつかないでよ」
「良いだろ、これくらい」
「もう! 動きにくい!」
「んんん!?」
ラ、ラズ!? ラズとか言ったか? 今。え? ん? んん?
「クラハさん……、すいません、またここで働かせていただけませんか?」
「え? いや、ちょっと待って、え? ヒナタ? なんで? 日本に帰ったんじゃ」
「あー、帰れそうだったんですよ……帰れそうだったんですけどね……」
ヒナタは後ろにビタッとくっつく男を振り向き見上げ、じろりと睨んだ。
「い、いや、だって……それは……、それは謝ったじゃないか!」
男はもごもごと言い訳をしている。
「す、すまん、状況が分からん。ヒナタは日本には帰れなかった、ということか?」
「そうですね、残念ながら」
「で、その男は誰なんだ?」
「あ……」
ヒナタは驚いたような顔をし、後ろの男はニッと笑みを浮かべ、ヒナタの腰に手を回したまま引き寄せた。
「ちょ、ちょっといい加減に……」
「いやだ」
「…………」
「あ、その! この人は、えっと……ラズです……」
「は?」
ヒナタは苦笑した。
「今まで私の側にいた黒猫のラズなんです。その……呪いにかかっていて黒猫の姿だったんです。で、その呪いが解けて人間の姿に戻ったんですよ」
「…………、えぇ!? 人間!? 人間だったの!?」
あの黒猫のラズが人間……、しかも男……、しかもヒナタにべったり……。
「えっと……、その……、ラズっていうのは驚いたけど分かった……、それでその……、二人は付き合ってるということか?」
まあこのべったり具合を見ると明らかだが、そこは一応確認するか。
「い、いえ!」
「そうだ!」
二人して真逆の返答……。
「「えぇ!?」」
お互いが驚いてるし……なんだこれ。
「おい! なんでだよ! 俺らもう恋人同士だろ!?」
「ちょ、ちょっと恋人同士とか大声で言わないでよ!」
「あんなキスした仲……むぐっ」
ラズの口を思い切り押さえたヒナタ……、いや、うん、聞こえたけどね……ハハ。
「な、な、なに言ってくれちゃってんのよ! こんなところでそんなこと言わないでよ!」
「ヒナタが付き合ってないとか言うからだろ!!」
「そ、それは!!」
ギャーギャーと二人で言い合っている。なんだこれ、惚気か?
「ちょっと二人とも……、痴話喧嘩ならよそでやってくれる?」
「痴話喧嘩って!」
ヒナタが真っ赤な顔をしてこちらに振り向いた。ラズと言われた男はニヤニヤしてるし……。
「うーん、まあ二人が恋人同士かはもうこの際どっちでも良いや」
「おい!」
「それよりもヒナタはじゃあまたここで働いてくれるんだね!? 俺にとってそれが一番重要だから!」
ヒナタに詰め寄り肩をガッと掴むと、ヒナタはたじろぎ、ラズが思い切りヒナタを俺から引き剥がした。
「はい、またお願いしても良いですか? 急に辞めたりまた戻って来たり……本当に申し訳なく思うのですが……」
「いやぁあ! 助かるよ!! ヒナタがいなくなってどうしようかと思ってたんだ!」
「あー、ハハ、本当にすいませんでした……でも、クラハさん、これからは私がいなくてもなんとかなるように考えましょう」
「あ、はい……」
こうして戻って来たヒナタと、ついでにラズも? と再び何でも屋を出来る日々が戻ったのだった。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
七年間の婚約は今日で終わりを迎えます
hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる