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三章 依頼

第十七話

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 動物と会話出来るのは嬉しいな。実家で飼っていた犬を思い出した。どうしてるかなぁ。少ししんみりしてしまったので、慌てて違うことを考えた。
 それにしても攻撃魔法凄かったな。いや、凄すぎない!? 飛翔とか結界も強力な感じだったし。
 何でこんな凄い魔力が……異世界人特典とか?
 考えている内になぜか嫌な予感がしてきたので考えることを止めた。
 うん、魔法って便利! 何でもすぐ使える私ってば凄いラッキーじゃない! と楽観的に考えてみた。そうしないと嫌な予感しかしなかったからだ。

 マリー亭へと帰ってみると、客のたくさん入った店内から声がした。

「あ! ユウ帰って来た! 待ってたよ」

 そこにはフィルさんとメルダさんがいた。今日は食べに来たのかな? と二人のテーブルに向かった。

「いらっしゃい、フィルさん、メルダさん」
「今日は店休んでたんだね、どこか行ってたのかい?」

 メルダさんに聞かれた。

「あ、ちょっと街の外に」
「街の外?」
「はい、昨日フィルさんに魔導具もらったんで魔力附与してみたんですけど、それを試したくて」
「あぁ! もう附与したんだね。で、どうだった? 上手く附与出来てた?」
「はい!」

 あまりの強力っぷりは言わないでおこう。私自身色々疑問だし、突っ込まれて聞かれても答えられないし。

 附与した魔力と使ってみた体感とを説明した。

「はー、やっぱりディルアスと同じくらいの魔石にして良かったよ。とんでもない数を附与したね」

 少しばかり呆れられてしまった。

「そういえば通信もしてみたいんだっけ? 俺の魔石とで通信附与してみる?」
「え、良いんですか!?」
「うん、良いよ」

 また前のめりな感じになりフィルさんに笑われた。

「附与は良いけど店ですると迷惑だよ。それよりユウに話すことあるんじゃないのかい?」

 メルダさんがフィルさんを止めた。
 あ、そういえば附与が成功するととんでもなく光るんだった。そりゃ迷惑だよね。

「あ、そうだった!」

 メルダさんに言われて何かを思い出したようだ。

「ごめんごめん、附与はまた別の日に。今日は違う用事で来たんだよ」

 そう言いながら話を続けた。

「前に言ってたと思うけど、依頼を受けてみたらどうかと思ってね。ちょうど領主様が調査の依頼を出してるんだ。実践練習するにはちょうど良いくらいじゃないかと思って、どうだい?」
「調査依頼ってどんな内容なんですか?」
「キシュクから王都まで行く道のりに岩肌に囲まれた谷を通るんだけど、普段は特に何も起こらず平和に通行出来るその場所が、最近なぜか動物や魔獣に襲われて通行出来なくなってるらしいんだ」

 魔獣に襲われて……初めての調査で魔獣が出るかもしれないのか……。

「ユウ、無理しなくても良いんだよ? 実践練習って言って、魔獣となんか出会ってしまったら危険だしね」

 フィルさんの説明に戸惑っているとメルダさんがフォローしてくれた。
 でもやってみる価値はあるかも? あれだけ凄い魔法が使えても、使わなければ意味がないし、咄嗟に使えなければそれもまた意味がないし。

「うん、やってみます!」
「大丈夫かい?」

 フィルさんもメルダさんも心配してくれたが、大丈夫! と強気に言ってみた。そうじゃないと、止めます、って言ってしまいそうだったし。

「じゃあ明日領主邸に行こう。話だけ先にしておくから、昼過ぎにメルダと一緒においで」
「じゃあ昼に治療院まで来てくれるかい? それから一緒に行こう」

 フィルさんは先に領主邸へ、メルダさんと私は遅れて領主邸に行くことになった。
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