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一章 異世界召還
第十話
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「メルダさんたちはディルアスと凄く仲が良いんですね」
歩きながら話しかけた。
「ん? ディルアスとかい? う~ん、まあ仲は良いんだろうね」
少し考えながら微笑んで言った。今までの豪快な笑い方ではなく、優しい笑顔だった。
「あたしとフィルは同い年で少し下のディルアスが弟って感じかな。小さい頃にディルアスがやってきて、たまたま近所で顔を合わすことがよくあったから自然と一緒に遊んだりするようになってね」
懐かしそうにメルダさんは話す。
「三人で兄弟みたいに育って、魔法の勉強も一緒にやったり。でもねぇ、あの子一度も笑ったことないんだよね」
「笑ったことがない?」
「そう。いっつも無表情。どうにかして笑わせようとフィルと二人で色々したけど全くダメだった。まあだからと言って感情がない訳ではないみたいなんだけどね。さっきみたいに」
さっきとは、教えるのは苦手、あのセリフのことだろう、とメルダさんを見た。
少し意地悪そうにメルダさんは笑った。
「笑わないし無愛想だけど、たまにああやって感情が出るから面白いやつなんだよ。それに笑わないのは恐らく昔のことが原因だろうし……」
メルダさんは先程の意地悪な笑顔とは変わって少し悲しそうな顔になった。
昔のことが原因? マリーさんたちに引き取られたときのことかな。気になるが、あまり他人が触れてはいけない話のような気がして言葉に詰まった。
それが分かったのかメルダさんは、
「気になるかい? 気になるならマリーさんに聞くと良いよ。別に隠してる訳じゃないみたいだし、本人たちは全く気にしてなさそうだから、きっと普通に教えてくれるよ。さすがにあたしが言うのは違うと思うからさ」
詳しくは話せないから、とすまなそうな顔をした。
「ユウも仲良くしてやってくれたら嬉しい」
そう言ったメルダさんの優しい顔は本当のお姉さんみたいだな、と何だかほんわかした気分になった。
メルダさんはあちこちの店に案内してくれた。食事処や、カフェらしきところ、服屋に日用品の店、生活していくにあたっての必要なものも色々教えてくれて、大量の買い物になった。
半分の荷物を引き受けてくれて、最後に、と、メルダさんの働く治療院に、フィルさんの働く魔導具屋に案内してくれた。
治療院は小さな部屋が何部屋かあり、何人かの治療士と薬師でケガや病気を診ているのだと教えてくれた。
フィルさんの魔導具屋は中に入ると少し薄暗く、アクセサリーのようなものや、日常使う道具まで様々なものが置いてある。
不思議に思って聞いてみると、様々な道具に魔石を埋め込んで魔導具を作るということだった。
メルダさんに説明を受けているとフィルさんが店の奥から出て来た。
「やあユウ、いらっしゃい。ユウも何か魔導具を作るかい?」
「魔導具って何が出来るんですか?」
「ユウは魔導具を使ったことないんだね」
「はい」
少し驚いた表情をしたが、フィルさんは丁寧に教えてくれた。
魔導具は様々なことが出来るらしい。
日用品に魔力を込めた魔石を埋め込むと、作業や動作の手助けに。例えば荷馬車に埋め込むと積んだ荷物の重さを感じなくなる、とか、逆に馬に魔石を埋め込んだ装飾品を付けると、馬の体力が上がるとか、らしい。
武器に埋め込むと攻撃力が上がったり、魔法攻撃の威力も上がったり。
「でもその時々に合った魔力を込めないといけないから手間も費用もかかる。だから日用品以外はそれなりに高級品になってくるからなかなか売れにくくて、どちらかというと王宮御用達みたいになってるよ」
フィルさんが苦笑いをしながら言った。
魔導具の話も興味深かったが、『王宮御用達』という言葉に引っ掛かってしまった。
「王宮ですか?」
「そう、王宮。王宮では魔石を埋め込んだ武器や転移用や通信用にアクセサリータイプをよくお買い上げいただいてるよ」
そういえばディルアスが最初に四つの国があってそれぞれ王がいると教えてくれたな、とぼんやり思い出し、本当に違う世界なんだな、と改めて思った。さらに転移? 通信? 何だか訳が分からなくなってきた。
「ま、魔導具の話はこの辺で良いじゃないか。マリー亭に戻って魔法講座だよ!」
メルダさんが一向に終わらなそうな会話を止めて話を進めた。
「あぁ、そうだな。俺もすぐ行くから先に行ってて」
フィルさんはそう言うと、片手を振ってまた店の奥に消えた。
メルダさんと一緒にマリー亭(マリーさんの名前をそのまま店の名前として付けたらしい)に帰った。
荷物を二階に運び終わるとマリーさんが昼食を用意してくれていたので、メルダさんと一緒に食べた。
「ディルアスはどこ行ったんだい?」
メルダさんが見あたらないディルアスの行方を聞いた。
「さあねぇ、あの子神出鬼没だからね」
笑いながらマリーさんが答える。ディルアスはどうやら出かけているらしい。
ディルアスの魔法も見たかったな、とちょっと残念に思った。
遅れてフィルさんも合流し、マリー亭の裏庭へ。
そこで魔法講座とやらをしてくれるらしい。
歩きながら話しかけた。
「ん? ディルアスとかい? う~ん、まあ仲は良いんだろうね」
少し考えながら微笑んで言った。今までの豪快な笑い方ではなく、優しい笑顔だった。
「あたしとフィルは同い年で少し下のディルアスが弟って感じかな。小さい頃にディルアスがやってきて、たまたま近所で顔を合わすことがよくあったから自然と一緒に遊んだりするようになってね」
懐かしそうにメルダさんは話す。
「三人で兄弟みたいに育って、魔法の勉強も一緒にやったり。でもねぇ、あの子一度も笑ったことないんだよね」
「笑ったことがない?」
「そう。いっつも無表情。どうにかして笑わせようとフィルと二人で色々したけど全くダメだった。まあだからと言って感情がない訳ではないみたいなんだけどね。さっきみたいに」
さっきとは、教えるのは苦手、あのセリフのことだろう、とメルダさんを見た。
少し意地悪そうにメルダさんは笑った。
「笑わないし無愛想だけど、たまにああやって感情が出るから面白いやつなんだよ。それに笑わないのは恐らく昔のことが原因だろうし……」
メルダさんは先程の意地悪な笑顔とは変わって少し悲しそうな顔になった。
昔のことが原因? マリーさんたちに引き取られたときのことかな。気になるが、あまり他人が触れてはいけない話のような気がして言葉に詰まった。
それが分かったのかメルダさんは、
「気になるかい? 気になるならマリーさんに聞くと良いよ。別に隠してる訳じゃないみたいだし、本人たちは全く気にしてなさそうだから、きっと普通に教えてくれるよ。さすがにあたしが言うのは違うと思うからさ」
詳しくは話せないから、とすまなそうな顔をした。
「ユウも仲良くしてやってくれたら嬉しい」
そう言ったメルダさんの優しい顔は本当のお姉さんみたいだな、と何だかほんわかした気分になった。
メルダさんはあちこちの店に案内してくれた。食事処や、カフェらしきところ、服屋に日用品の店、生活していくにあたっての必要なものも色々教えてくれて、大量の買い物になった。
半分の荷物を引き受けてくれて、最後に、と、メルダさんの働く治療院に、フィルさんの働く魔導具屋に案内してくれた。
治療院は小さな部屋が何部屋かあり、何人かの治療士と薬師でケガや病気を診ているのだと教えてくれた。
フィルさんの魔導具屋は中に入ると少し薄暗く、アクセサリーのようなものや、日常使う道具まで様々なものが置いてある。
不思議に思って聞いてみると、様々な道具に魔石を埋め込んで魔導具を作るということだった。
メルダさんに説明を受けているとフィルさんが店の奥から出て来た。
「やあユウ、いらっしゃい。ユウも何か魔導具を作るかい?」
「魔導具って何が出来るんですか?」
「ユウは魔導具を使ったことないんだね」
「はい」
少し驚いた表情をしたが、フィルさんは丁寧に教えてくれた。
魔導具は様々なことが出来るらしい。
日用品に魔力を込めた魔石を埋め込むと、作業や動作の手助けに。例えば荷馬車に埋め込むと積んだ荷物の重さを感じなくなる、とか、逆に馬に魔石を埋め込んだ装飾品を付けると、馬の体力が上がるとか、らしい。
武器に埋め込むと攻撃力が上がったり、魔法攻撃の威力も上がったり。
「でもその時々に合った魔力を込めないといけないから手間も費用もかかる。だから日用品以外はそれなりに高級品になってくるからなかなか売れにくくて、どちらかというと王宮御用達みたいになってるよ」
フィルさんが苦笑いをしながら言った。
魔導具の話も興味深かったが、『王宮御用達』という言葉に引っ掛かってしまった。
「王宮ですか?」
「そう、王宮。王宮では魔石を埋め込んだ武器や転移用や通信用にアクセサリータイプをよくお買い上げいただいてるよ」
そういえばディルアスが最初に四つの国があってそれぞれ王がいると教えてくれたな、とぼんやり思い出し、本当に違う世界なんだな、と改めて思った。さらに転移? 通信? 何だか訳が分からなくなってきた。
「ま、魔導具の話はこの辺で良いじゃないか。マリー亭に戻って魔法講座だよ!」
メルダさんが一向に終わらなそうな会話を止めて話を進めた。
「あぁ、そうだな。俺もすぐ行くから先に行ってて」
フィルさんはそう言うと、片手を振ってまた店の奥に消えた。
メルダさんと一緒にマリー亭(マリーさんの名前をそのまま店の名前として付けたらしい)に帰った。
荷物を二階に運び終わるとマリーさんが昼食を用意してくれていたので、メルダさんと一緒に食べた。
「ディルアスはどこ行ったんだい?」
メルダさんが見あたらないディルアスの行方を聞いた。
「さあねぇ、あの子神出鬼没だからね」
笑いながらマリーさんが答える。ディルアスはどうやら出かけているらしい。
ディルアスの魔法も見たかったな、とちょっと残念に思った。
遅れてフィルさんも合流し、マリー亭の裏庭へ。
そこで魔法講座とやらをしてくれるらしい。
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