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第六章 ヴィルヘルミーナの白い海賊船
6-14.故郷は護ってこそ 1
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アインス商会が、夜通しで作業をしてくれ、ガレオン船には多くの武器が搭載された。
ヤスミンの指示通りに言ったようだ。
「いえ、まだ、完全武装ではありません。大砲の入っていないところがありますが、概ね戦えます」
「分かったわ」
そして、ゲルハルト会長は、漁師から船を借りてきて、武装したようだ。
小型の船舶になるが、大砲を一門でも詰めたら、水雷邸みたいなことが出来るやもしれない。
一方、ローズマリーたちは、ボンの街中よりやや上流にあるドラッペンブルグ城近くの突堤に停泊していた。
そこを、数隻の船舶が上流に向かって行くのが見えた。
「あれだわ。こんな早朝に出発したのね。伝書鳩で通信しないと」
そして、ボンを過ぎると、もうそこは、ラインラント。
つまり、プファルツ選帝侯領になる。
川賊の反乱を利用し、ブルゴーニュの亡霊たちが、ライン川を登って来る。
私のいるラインフェルスまで、あと数時間ということだ。
***
私の屋敷の下には、入り江となっており、船舶が停泊できるようになっている。
乗るには便利だが、占拠されたら、アッと言う間にこの屋敷は落とされる。
なので、この入り江に入られる前に叩かないとイケない。
屋敷から、少しライン川を下ったところに、中洲がある。
ここに固定砲台を設置し、左右の対岸からも攻撃をしたらどうだろう。
一般兵はむしろ余っているのだから。
「では、お父さま、お母さま、行ってまいります」
「ああ、ヴィル。川は任せたぞ」と言う父は、陸から攻めるようだ。
対岸から、砲撃をする。
城の守りが薄くなるのではないだろうか?
そうこうしていると、朝日が昇るようだ。
燦燦と輝く太陽が地平の彼方に現れた。
そして、敵の船も遥か彼方に現れた。
「よし、出るぞ」と、私はガレオン船を入り江から発進させた。
アインス商会が集めてくれた漁船も10隻はいたかと思う。
――このうち、何隻残れるのかと思うと心が痛かった。
「キーナ、気を付けて欲しいの」
「エマリー、どうしたの」
「このガレオン船には、他の船と違って大きな弱点があるの」
私は、エマリーにそう言われて、心臓が高鳴った。
このガレオン船が一騎当千の働きをしないとイケないのに、弱点があるとは……
「このガレオン船の船底は、今までのどの船よりも鋭角なの。だから、浅瀬に入ると動けなくなるし、傾くわ。また、横転にも気を付けないとイケないわ」
「そうか。でも、気にしている余裕はないかもね」
これは本音だ。
「ヤスミン、68ポンド砲は何回使える?」
「はい、10発撃てます」
「分かったわ。いつでも撃てるようにしておいて」
さて、問題の中洲をどう使うかである。
護衛隊に一般兵が、中洲にいるはずだ。そして、数門の大砲を設置している。
中洲と、両岸からの砲撃は免れない。
そして、中洲を抜けてきたところを、68ポンド砲で仕留めてやる。
すると、敵船は、まだ、射程距離に入っていないにもかかわらず発砲してきた。
中洲や岸で待機している一般兵は逃げまどうしかなかった。
「おい、エマリー。あれはどういうことなのだ。あんなに遠くから発砲して、何故、届いているんだ」
「分からないわ。ヤスミン、ヤスミン」
――イカン、ヤスミンは68ポンド砲のところにいる。ヤスミンを呼んでしまっては、砲撃が出来ない。
「やめて、エマリー。彼女は砲術長の仕事をしているわ」
「あッ!」と言うも、「どうしましたか?」とヤスミンが来てしまった。
なんと、ちぐはぐな……
仕方がない、「ヤスミン、敵の砲撃が長いように感じるのだけれど」
「あれは、半カルバリン砲ですね。アイルランド島で使っていたカルバリン砲の半分の重さの弾を使っていますので、10キロ程度は飛ばせます。ただ、威力は無いので、対人兵器の範疇です」
「やられたか。人を狙っているんだ」
――あぁ、私は、初めてのガレオン船での指揮、故郷でカッコ良いところを見せようと思っていたこと、海と違い川の戦闘になれていないこと。あらゆることが裏目に出ている。
「中洲を盾にして、真後ろに船を停めろ。浅瀬に乗り上げるな」と、指示を出した。
どのみち、中洲の右か左を通らなくてはならない。
その際、殴り合いになれば、68ポンド砲が決め手になるはずだ。
だが、これだけは譲れない。
私の故郷は、私が護る。
ヤスミンの指示通りに言ったようだ。
「いえ、まだ、完全武装ではありません。大砲の入っていないところがありますが、概ね戦えます」
「分かったわ」
そして、ゲルハルト会長は、漁師から船を借りてきて、武装したようだ。
小型の船舶になるが、大砲を一門でも詰めたら、水雷邸みたいなことが出来るやもしれない。
一方、ローズマリーたちは、ボンの街中よりやや上流にあるドラッペンブルグ城近くの突堤に停泊していた。
そこを、数隻の船舶が上流に向かって行くのが見えた。
「あれだわ。こんな早朝に出発したのね。伝書鳩で通信しないと」
そして、ボンを過ぎると、もうそこは、ラインラント。
つまり、プファルツ選帝侯領になる。
川賊の反乱を利用し、ブルゴーニュの亡霊たちが、ライン川を登って来る。
私のいるラインフェルスまで、あと数時間ということだ。
***
私の屋敷の下には、入り江となっており、船舶が停泊できるようになっている。
乗るには便利だが、占拠されたら、アッと言う間にこの屋敷は落とされる。
なので、この入り江に入られる前に叩かないとイケない。
屋敷から、少しライン川を下ったところに、中洲がある。
ここに固定砲台を設置し、左右の対岸からも攻撃をしたらどうだろう。
一般兵はむしろ余っているのだから。
「では、お父さま、お母さま、行ってまいります」
「ああ、ヴィル。川は任せたぞ」と言う父は、陸から攻めるようだ。
対岸から、砲撃をする。
城の守りが薄くなるのではないだろうか?
そうこうしていると、朝日が昇るようだ。
燦燦と輝く太陽が地平の彼方に現れた。
そして、敵の船も遥か彼方に現れた。
「よし、出るぞ」と、私はガレオン船を入り江から発進させた。
アインス商会が集めてくれた漁船も10隻はいたかと思う。
――このうち、何隻残れるのかと思うと心が痛かった。
「キーナ、気を付けて欲しいの」
「エマリー、どうしたの」
「このガレオン船には、他の船と違って大きな弱点があるの」
私は、エマリーにそう言われて、心臓が高鳴った。
このガレオン船が一騎当千の働きをしないとイケないのに、弱点があるとは……
「このガレオン船の船底は、今までのどの船よりも鋭角なの。だから、浅瀬に入ると動けなくなるし、傾くわ。また、横転にも気を付けないとイケないわ」
「そうか。でも、気にしている余裕はないかもね」
これは本音だ。
「ヤスミン、68ポンド砲は何回使える?」
「はい、10発撃てます」
「分かったわ。いつでも撃てるようにしておいて」
さて、問題の中洲をどう使うかである。
護衛隊に一般兵が、中洲にいるはずだ。そして、数門の大砲を設置している。
中洲と、両岸からの砲撃は免れない。
そして、中洲を抜けてきたところを、68ポンド砲で仕留めてやる。
すると、敵船は、まだ、射程距離に入っていないにもかかわらず発砲してきた。
中洲や岸で待機している一般兵は逃げまどうしかなかった。
「おい、エマリー。あれはどういうことなのだ。あんなに遠くから発砲して、何故、届いているんだ」
「分からないわ。ヤスミン、ヤスミン」
――イカン、ヤスミンは68ポンド砲のところにいる。ヤスミンを呼んでしまっては、砲撃が出来ない。
「やめて、エマリー。彼女は砲術長の仕事をしているわ」
「あッ!」と言うも、「どうしましたか?」とヤスミンが来てしまった。
なんと、ちぐはぐな……
仕方がない、「ヤスミン、敵の砲撃が長いように感じるのだけれど」
「あれは、半カルバリン砲ですね。アイルランド島で使っていたカルバリン砲の半分の重さの弾を使っていますので、10キロ程度は飛ばせます。ただ、威力は無いので、対人兵器の範疇です」
「やられたか。人を狙っているんだ」
――あぁ、私は、初めてのガレオン船での指揮、故郷でカッコ良いところを見せようと思っていたこと、海と違い川の戦闘になれていないこと。あらゆることが裏目に出ている。
「中洲を盾にして、真後ろに船を停めろ。浅瀬に乗り上げるな」と、指示を出した。
どのみち、中洲の右か左を通らなくてはならない。
その際、殴り合いになれば、68ポンド砲が決め手になるはずだ。
だが、これだけは譲れない。
私の故郷は、私が護る。
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