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最終章 魔人と闘う空手家

81.第三の広間

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81.
 第三の広間


「ちょっと!」とミサキが言うも、オレたちは、もう駆けだしていた。
 討伐に来て、闘うこと無しと言うのは、気性に合わないのだ。

 足の遅い、毒堀とアニーは、縮小化を解除した横綱の背中に乗っていた。

 すると、第三の広間が見えてきた。
 A部隊が格闘戦をしているように見える!?

 しかし、問題はその相手だ!
 なんと、B部隊と格闘をしていたのだ。

 なぜだ?

 これは、どういうことなのか?

***

 その頃、ヤシアーの街では、この日は雨だった。
 もう、街には住人は、ほとんどおらず、東や北に避難していたようだ。

 それでも、朱美はヤシアーの街から出ることはなかったのだ。
 ハヤトが帰って来る場所を護るために、避難をしなかったのだ。
 住人はいなくなったので、店は開けることはなかったのだが、ここにいることを決めていた。
 そして、窓から雨の降る空を眺めていた。
「早く帰って来ないかなぁ」

***

 A部隊とB部隊が戦闘をしているので、オレたちは、どうすれば良いのかわからない。
 やめさせるべきなのか?
 どちらかの味方をすればよいのか?

「ハヤト!」
「これって、どういうことなの?」
「分からん。どうなっているのだ」

 こういう時は、殴って解決を図る!

 格闘している一組に狙いを定め、その片方をぶん殴った!

 殴られた方は、吹っ飛んだ!
 ということは、もう一方は、手が空くわけだ。
 そいつに質問をする。
「どいうことだ?」と。

「ウゥー、ガァ」と犬歯をむき出してきた。
「こいつはゾンビだ! あの時と同じだ」
「なら、頭をつぶせばよいのじゃな」と毒堀が喜んでいる。

 しかし、こいつがゾンビだったということは、オレが殴り飛ばした方は人間だったのかもしれないな。
 気のせいだ!
 闘うことにしようぜ!

 裏拳打ちと正拳突きで、歯も犬歯も叩き折った!

 しかし、ゾンビにさせられたということは、魔人がいるということだろう。
 まだ、近くにいるのか?


 このゾンビは、まだ、ゾンビになり立てのようで、まだまだ、痛みとかは残っているようだ。
 ビリーのナイフ攻撃も、それなりに有効で、肉を削り取っている間に毒堀がハンマーで頭を砕いている。
 アニーは、炎の鎧を纏い人間松明状態になり、ゾンビに近づいている。
 ゾンビも燃やされるのは嫌なのか? 逃げまどっている。
 
 アニー、理性の無いゾンビが燃えた状態で走られたら、困るんだけどな!

 横綱のトルネードは、ゾンビの頭にヒットすれば吹っ飛ぶため、即活動停止が出来る威力があった。

 まあ、先ほどまで、互角に戦っていたゾンビ兵も劣勢になっているようだった。

 それでも、ゾンビにかまれた兵士やハンターは、ゾンビにさせられるため、なかなか片付かなかったが、最後の一体を始末した。
 
 しかし、A部隊もB部隊も、数をかなり減らしてしまったようだ。
 さすがにSランクやAランクはゾンビにやられることはなかったようだが。

「蒼井さん」と言う声が聞えた。
「おぉ、安田君では」
 そうなのだ、港町ギルドで共に仕事をした安田がいたのだ。
 リードの奴がヴィーナスの丘を火事にした際、共に下まで駆け抜けた仲だ。

 オレたちは、木箱を椅子代わりにして、話を聞くことにした。

「安田君、このゾンビ騒ぎは、一体どういうことなんだ?」と、彼に聞いてみた。

 彼の話によると、B部隊は、第一から第二広間まで進んだ際、コマンダーとオークが現れたようだ。

 そして、コマンダーは、ハンターの一人を倒すと、何やら瓶を取り出して、粉をまき散らすと、倒れた男がゾンビになり仲間を襲いだしたと。

「おい、ソンビパウダーか?」

 オークと仲間のゾンビに襲われ、B部隊はチリ尻になり、第三広間に到着するとA部隊が仲間のゾンビと格闘していたようだ。

 さらに、厄介な事に、倒したオークもゾンビになっていたようで、かなりのピンチだったようだ。

 次回の空手家は、まだまだ、ピンチだな。

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