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最終章 魔人と闘う空手家

80.魔人討伐

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80.
 魔人討伐

 このミサキと言う幽霊使いは、Sランクのハンターと言うではないか!
 スロープシティからの依頼で応援に駆け付けたようだ。
 どんな相手でも幽霊が取り付けば、拘束できるというのだ。
 攻撃は他のハンターに任せているようだな。

 また、ミサキの話では、地上のゴーレムを倒したのも、Sランクハンターでアープとかいうらしい。
 しかし、地元のDランクではグリフォン一体、処分できんのか!
 これは、厄介だな。

 そして、翌朝、会議があった。

 地下道の地図の写しも完成し、すべてのハンターに配布された。
 そして、街の護衛は地元のハンターとシェリフが中心となるようだ。
 普段から行っているので、容易くできるわけだ。

 突撃隊は、地元でもC以上のランクハンター、国軍、スロープシティの地方支部と港町支部からの応援でC以上のランクハンターが行うことになった。
 特に国軍は兵站が行えるので、この広間を占領後、簡易基地として武器や食料の倉庫として使うようだ。

 その地下道なのだが、第一階層は、主に下水道だ。
 おそらく、用途としても下水道として使っているのだろう。
 出入口は、まさに下水道の出入口なのと、どういう訳か、民家の中にもある。これが脱出路なんだろう。
 なので、その民家の家族は避難しているとのことだ。

 さて、第一階層から第二階層への道は、五か所ほどある。
 そのうち三か所は細道、残り二か所は大きい道のようだ。
「兵站を考えるなら、この二つの大きい道は抑えるべきだ」とギルド職員が説明した。

 なるほど!

 第二階層には広間がいくつかある。そこを占拠する。
 さらに、第二階層から第三階層へは、道は二本しかない。
 そのいずれも、大広間につながっており、大広間から先は地図には書かれていなかった。

 結論から言うと、三部隊に分かれて侵攻する。
 大きい道を二部隊で攻撃し、残り一部隊は、もしもの時に救援する。

 そして、我々は、リード様からラブコールを受けているにも拘らず、そのもしもの時の救援部隊なのだ。

 先行する二部隊のA部隊とB部隊は、Sランク・Aランクに国軍という主力と地元ハンターが中心だった。
 よそから来たCランクのオレには、左程、戦力にならんと思っているのだろう。
 オレたちの中で一番高ランクは、アニーのBランクなのだ。
 それでも、先日のミサキはこのC部隊であった。
 Sランクが一人もいないのは、部隊の士気にかかわるからだ。

「なるほどじゃのぉ」
「まあ、後から着いていくか?」
「なんか活躍できないよ。ハヤトぉ」
「オレに言われてもなッ」
「がっくりね。私達の活躍を見てなかったのかしら。ギルドの連中!」
「ワォン!」

 そうぼやいていると、例のミサキが気を使って、
「まあ、そうおっしゃらずに、皆さんを温存していると思ってくださいね」と言ってくれた。

 人格者だ!

 そして、討伐の日が来た。

 地元ハンターが地下道への出入口を警備している。

 A部隊の一班から地下へ入って行った。
 また、別の入り口からはB部隊が入って行った。

 まずは、目指すは、第二層にある最初の広間だ。

 オレたちはC部隊の三班だった。
 三班は、いつものメンバーで、オレに、アニー、ビリー、毒堀と横綱の五人である。
 ハッキリ言って、人手が足りていない。というのも、C部隊は五班までしかない。
 つまり、20人強の部隊だ。

 A部隊、B部隊は50人ずついるようだが、魔人一人にSランクが五人必要なのだから、人手不足だな。

 やはり、他の地区との連絡がつかないから援軍が来ないのだ。
 西部地区でも、スロープシティからの呼びかけで応じた者も全員出なかったらしい。
 地方に遠征に出ている者は、捕まらなかったのだから、魔人は相当、街道や伝書鳩を抑えたのだろう。
 それでもSランクが10人は集まったようだが、魔人は、リードに時田にブラッドリーと今知っているだけで三人はいる。

 やばいな!

 そんなことを考えていたが、第一階層は、先陣を切ったA部隊が処理したらしく、敵らしい敵はいなかった。
 しいて言えば、不衛生な昆虫がたむろしていたことか?
 非常に精神的な攻撃を与える彼らは、この世からいなくなることはないのだろう。ここ死後の異世界であっても。

 おかげで、非常に簡単に、第二階層の最初の広間についた。
 広間では、国軍が武器やらの箱を積んでいた。
 先行部隊が次の広間を確保したらしく、その箱を運び出そうとしていたところだった。

「第三班、到着しました!」と、声をかけると、兵站の班長らしき男が、
「次の移送隊が出たら、出発してくれ。第二広間を占拠したので」という。

 周りを見渡すと、ここは、ゴブリンが護っていたのだろう。
「リードの奴、手を抜いたな」
「どうなんじゃろな」
「オレだったら、最初にミノタウロスぐらいの上位の魔物を配備させるが」
「えぇ、そんな貴重な魔物を?」
「ああ、ミノタウロスは、狭いところでは無敵だ。ここみたいに」と、オレは答えたが、実際は、上位種は後に取っておきたい気持ちもわかる。
 しかし、次の広間も確保したということは、やはり、下位の魔物だったのだろうか?

 しっくりこないな。

 反対側から進んでいるB部隊は、どんな相手と闘っているのだろうか?

 そして、オレたちの三班が進行する番となった。やはり、何もなく、進むことが出来た。
「緊張感がないのぉ。とても敵の懐に入ったとは思えんの」と毒堀がオレに同意を求めてきた。
「確かに」と答えると、皆頷いた。

 しかし、二番目の広間から、次の広間への進行の命令が発せられていないようで、C部隊は一班から五班まで、待ちぼうけとなってしまった。
「どうしたんだ? 何故、次へ進めないのだ?」と、ざわついてきた。

「毒堀ッ。これはオレたちC部隊の出番ではないのか?」
「そうじゃなぁ」と毒堀は顎髭を触りながら、にやついていた。
「出たわけね」とアニーも目が輝いてきた。
「ワォン」と横綱も尻尾をフリフリしている。

 そもそも、次の三番目の広間は、A部隊とB部隊が合流する予定の広間なので、戦力的には十分なはず。
 それが手こずっているということは、コマンダー辺りが多くいるのかもしれない。
 
 そして、オレはC部隊の隊長をしているミサキに言い放った。
「三班は、先遣隊の援護に行く。以上だ」


 次回の空手家は、第三広間では意外な敵が!
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