19 / 111
第2章 空手家、異世界冒険者になる
19.罠
しおりを挟む
第19話
罠
ギルド職員は、オレに「もう1試合あるが、“大丈夫”で間違いないね?」と尋ねてきた。
もう1試合やって、さも当たり前という態度だ。
なので、
「当たり前だ!」と答えてやった。
これで、『蒼井サイドからの試合を要望したと言い逃れが出来る』とギルド職員は思ったなど、オレは知る由もなかった。
そんなことよりも、オレは武器の選択のことで、頭がいっぱいなのだ。
先ほどの魔法使いとの闘いでは、木剣は役に立たなかった。
やはり、盾は必要なのだろうか?
オレは色々と考えてはみたが、考えがまとまらず、先ほどと同じく木剣と投擲用にナイフを6本用意し会場へと向かった。
会場には、既にジムが待ち構えていた。
先ほどのギルド職員から、会場に説明があった。
「この試合は完全決着ルールとします。受験者が『参った』をしても、ギルド側が戦えると判断した場合は、続行いたします」
会場がざわめく。
これは、先の試合で、オレがアニーの顔の前で拳を止め、寸止めをしたのが良くなかったのだろうか?
審査を見に来ていたギャラリー達からは、「マジなのか?」と、滅多に見ることの無いことに興奮する。
一方、ハンター達は、「これはおかしい。ハメられたのでは?」と、声が上がっている。
ギルドマスターは、「即刻、中止だ!」と言う間に、開始の合図が告げられた。
ジム・ライトは何も持たず、ただ立っていた。
「おや、丸腰の相手に木剣かい?」と低い声が響いた。
ジムの挑発に乗るような蒼井ではないが、ギルド職員からは、試合は始まってあるにも関わらず、「この試合は、左右両手に短刀・ナイフ型の模擬武器のみ使用可能とします」と告げられた。
再度、会場がざわめく。武器の選択は自由だからだ。
ギルドマスターは、試合を中止させるべく、部屋を出ようとするが、職員達に足止めを食らっていた。
「どうした? 新人んんん、怖くなったか?」
それは、「如何にも」といわんばかりの安い挑発だった。
しかし、ジムは知らなかった。空手というものを!
先のアニーとの闘いは、『たまたま、素手で勝利したのだ』と、ジムはそう思っていたのだから。
そして、オレは、その安い挑発に乗ることにした。
「良いだろう」と言うと、オレは、木剣を捨てるのであった。
***
二人ともに競技場の真ん中で、睨み合っていた。
さて、先に動いたのはジムであった。
右手のナイフを降り、オレの顔面を襲ってきた。
その時、オレは『素人臭いな』と思った。
ナイフを振り回すのは、怖くない。
命を狙う時は、刺す場合が多い。
だが、今は、命のやり取りではないので、フェイントだろう。左手で仕掛けてくるのが、本命か?
そう考えていると、やはり左手で突いてきた。
あまり、速いとはいえない速さだった。
神足雷撃の伝統派空手になれているオレにとって、スローな闘いであった。
だが、ジムのナイフを蒼井が左手のナイフで受けた際、ナイフがぶっ飛ばされた。
「何故だ?」
同じ木製の模型のナイフにしては、奴のナイフは、重かったように思える。
「鉄製のナイフではないのか?」
「これのどこが、鉄製なのだ? 新人んん?」
確かに、ジムのナイフは木で覆われていた。
だが、仕込み杖のように中は、金属で出来ていることは、ジムと立会をしている職員連中しかいなかった。
左手のナイフを無くしたオレに、ジムのナイフが容赦なく襲いかかる。
さて、ジムが何故、ナイフ型の武器を選んだのだろうか?
それは、近接戦闘になるからである!
お互い接触する距離なら、周囲に見えない角度から、仕込みナイフや隠しているカランビットナイフで殺すことも可能だからだ。
さあ、片手で2本のナイフを受け続けることとなったオレだが。
しかし、
「ぐあぁぁぁ」と、悲鳴の声を上げたのはジムの方だった。
何が起こったのだろうか?
次回の空手家は、決着!
勝つのは、どっちだ?
罠
ギルド職員は、オレに「もう1試合あるが、“大丈夫”で間違いないね?」と尋ねてきた。
もう1試合やって、さも当たり前という態度だ。
なので、
「当たり前だ!」と答えてやった。
これで、『蒼井サイドからの試合を要望したと言い逃れが出来る』とギルド職員は思ったなど、オレは知る由もなかった。
そんなことよりも、オレは武器の選択のことで、頭がいっぱいなのだ。
先ほどの魔法使いとの闘いでは、木剣は役に立たなかった。
やはり、盾は必要なのだろうか?
オレは色々と考えてはみたが、考えがまとまらず、先ほどと同じく木剣と投擲用にナイフを6本用意し会場へと向かった。
会場には、既にジムが待ち構えていた。
先ほどのギルド職員から、会場に説明があった。
「この試合は完全決着ルールとします。受験者が『参った』をしても、ギルド側が戦えると判断した場合は、続行いたします」
会場がざわめく。
これは、先の試合で、オレがアニーの顔の前で拳を止め、寸止めをしたのが良くなかったのだろうか?
審査を見に来ていたギャラリー達からは、「マジなのか?」と、滅多に見ることの無いことに興奮する。
一方、ハンター達は、「これはおかしい。ハメられたのでは?」と、声が上がっている。
ギルドマスターは、「即刻、中止だ!」と言う間に、開始の合図が告げられた。
ジム・ライトは何も持たず、ただ立っていた。
「おや、丸腰の相手に木剣かい?」と低い声が響いた。
ジムの挑発に乗るような蒼井ではないが、ギルド職員からは、試合は始まってあるにも関わらず、「この試合は、左右両手に短刀・ナイフ型の模擬武器のみ使用可能とします」と告げられた。
再度、会場がざわめく。武器の選択は自由だからだ。
ギルドマスターは、試合を中止させるべく、部屋を出ようとするが、職員達に足止めを食らっていた。
「どうした? 新人んんん、怖くなったか?」
それは、「如何にも」といわんばかりの安い挑発だった。
しかし、ジムは知らなかった。空手というものを!
先のアニーとの闘いは、『たまたま、素手で勝利したのだ』と、ジムはそう思っていたのだから。
そして、オレは、その安い挑発に乗ることにした。
「良いだろう」と言うと、オレは、木剣を捨てるのであった。
***
二人ともに競技場の真ん中で、睨み合っていた。
さて、先に動いたのはジムであった。
右手のナイフを降り、オレの顔面を襲ってきた。
その時、オレは『素人臭いな』と思った。
ナイフを振り回すのは、怖くない。
命を狙う時は、刺す場合が多い。
だが、今は、命のやり取りではないので、フェイントだろう。左手で仕掛けてくるのが、本命か?
そう考えていると、やはり左手で突いてきた。
あまり、速いとはいえない速さだった。
神足雷撃の伝統派空手になれているオレにとって、スローな闘いであった。
だが、ジムのナイフを蒼井が左手のナイフで受けた際、ナイフがぶっ飛ばされた。
「何故だ?」
同じ木製の模型のナイフにしては、奴のナイフは、重かったように思える。
「鉄製のナイフではないのか?」
「これのどこが、鉄製なのだ? 新人んん?」
確かに、ジムのナイフは木で覆われていた。
だが、仕込み杖のように中は、金属で出来ていることは、ジムと立会をしている職員連中しかいなかった。
左手のナイフを無くしたオレに、ジムのナイフが容赦なく襲いかかる。
さて、ジムが何故、ナイフ型の武器を選んだのだろうか?
それは、近接戦闘になるからである!
お互い接触する距離なら、周囲に見えない角度から、仕込みナイフや隠しているカランビットナイフで殺すことも可能だからだ。
さあ、片手で2本のナイフを受け続けることとなったオレだが。
しかし、
「ぐあぁぁぁ」と、悲鳴の声を上げたのはジムの方だった。
何が起こったのだろうか?
次回の空手家は、決着!
勝つのは、どっちだ?
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす
こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!
元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
狐の声劇台本置場
小狐門(ごんぎつねもん)
ファンタジー
小狐門の書いた台本一覧となります。もし良ければ演じてみてね!( *´꒳`* )
非商用であれば基本的に連絡は不要となります。しかし、配信の際に演じる場合に教えて頂ければ、ニッコニコで聞きに行きます!あと、出来れば『台本タイトルと作者名』を記入していただければ幸いです。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
白兎令嬢の取捨選択
菜っぱ
ファンタジー
「強い女の子に憧れちゃダメですか?」
騎士を数多く輩出するオルブライト伯爵家の箱入り娘、リジェットは見た目はとっても女の子らしいTHE御令嬢。
けれども、彼女の夢は夢は国家騎士団・王家の剣に入隊すること!
前世では女の子だからって親に反対されて剣道道場を継げなかったけれど、今世こそは自分の意思を貫いて立派な騎士になりたい!
どんなに体格に恵まれていなくても、知恵を絞って頑張ります
でも周りは自分のことを、他領の妻、王妃、教皇、商材、果ては古代兵器に仕立てあげたいと考えているようで……?
いつだって自分の未来を決めるのは、自分自身!
夢に向かって全力疾走! リジェットは無事に憧れの王家の剣になれるのか
白い髪、赤い目をした、まるで兎みたいな女の子の選択と捨てるものを追う物語
他サイトにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる