完結【R18】「私は女だ！」と言っているだろうが！ ーコスプレに男の娘、でも、さすがにAV出演は無理ですー

8.対決：母と娘

第8話
対決：母と娘


　翌朝

　興奮したせいだろうか、10分どころか30分も早起きしたようだ。

　静かな朝だった……

　私、加藤絵麻は取りあえず、着替えをして、顔を洗うと、母親が声をかけてきた。

「おはよう、絵麻ちゃん。なんだか、早いのね」
「おはよう。目が覚めちゃったの」と軽く返事をしておいた。

　一旦、部屋に戻るふりをして、意を決して尚人のベッドへ向うことにした。
　
「よし、まだ寝ている」

　そっと、近付いていく。
　その時、尚人は壁側を向いて寝ており、私は尚人の背中越しに立っていた。

　尚人の背面側に立つ私。

　左手を、そっと、尚人の男性自身に滑らせる。
　パジャマのズボンの上からだったが、
「えっ！！！　これは、なに？　なんて硬いの？」
　そう、私は驚いてしまった。

　弟の男性自身は、硬直と言うべきだろうか？　コチコチに固まっていたのだから。

　だって、私の身体には、この様な部位は無いのだから、面食らってしまった。

　尚人は、まだ、スヤスヤと寝ていたので、安心だ。
　今度は、直接、パンツの中に手を……

　すると、背後から声がした。
「絵麻ちゃん、貴女、何をしているの？」

　この声は、母親だ！
　しまった！？
　み、見つかってしまった。

　絶体絶命のピンチ。

　苦しい。
　心臓が万力で締め付けられるようだ。

「いや、ナオ君を起こしてあげようと思って」と、とっさに言い訳をしたが、この時、私は、あのことを思い出した。

　この母親おんなは、私以上に尚人を溺愛していたことを！？

　そして、息子を女の子風味に仕立てている張本人なのだ！

　ゴゴゴ、ゴゴゴォ！？


　振り向くと、いつもなら考えられないような険しい表情の母親がいた。

　娘の私に対し、なんと、敵意を剥き出しにしているのだッ！

　少年マンガなら、背後に幽霊か宇宙人のような人形ひとがたがボンヤリ見えるかもしれない。

　母親にとっては、同じ自分が産んだ子供でも、娘と息子では、こうも扱いが違うのかと、ショックを受けたというより、私は恐怖した。
　殺人犯と対面している気分だったからだ。

　いや、こんなのは、うちの母親だけかもしれないが。

　そして、母の私を見る目は、何か、やらしいもの、穢らわしいものでも見る目だった。
　まるで汚物を処分するかの様な顔だ。

　そして、母親は、芝居がかった声で、
「まあ、そうなの。でも、ナオ君を起こすのは、“わ　た　し　の”　お仕事なのよ」
「……」

「そうなの、ママのお仕事なのね。ごめんなさい」
「分かれば良いのよ、分かれば」


　この時、私は二つ理解した。

　私には、この母親と同じ血が流れていること。
　そして、母は自分の敵であることを！



　次回は、中学時代を振り返ります。
　


　次の投稿は、今日の２１時です。