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2.フェロル大西洋方面軍基地
2-2.フェロル港襲撃
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2-2.フェロル港襲撃
何故、この船が大西洋を仕切っているポルトガルとスペインの領海を堂々とわたっているのか?
それは、このガレオン船には必殺技といえる武器を装備していた。
一国の海軍すら、いくら所有しているだろうか? という代物である。
それは68ポンド砲、通称:カノンロイヤルとかダブルカノンと呼ばれている強大な破壊力を持つ大砲だ。
しかも射程距離は、1600mはある。
そんな必殺の武器を船首に三門も装備したこのガレオン船は、正面切ってのタイマンの殴り合いなら、海軍艦にも負ける気はしなかった。
そして、一隻のスペインの商船を襲って、我らはヨーロッパに向かっていた。
ここは、フェロル大西洋方面基地。
「ダニエル大佐ッ」
「提督、お呼びでしょうか」
「大佐、海賊が好き放題しておるようではないかッ。これは君の管轄ではないのかね」
無論、そんなことはダニエルと呼ばれる男は、百も承知であった。
イギリスやオランダなど、反スペイン国家が私掠船制度を使い、スペインの商船を襲うようになり、堂々と海賊行為を行うようになってきた。
我がスペインも私掠船制度を作り、対抗しているが、押されているように感じる。
そうなのだ。
スペインやポルトガルの方が植民地が多く、商船が活発に動いているため、イギリスやオランダで私掠船登録する方が儲かるのだ。
「クソッ。エリザベスめ」
そして、今や、イギリスやオランダで私掠船登録する海賊船は、イギリスやオランダ以外の船も多くいる。
「クソめ」
ダニエル大佐は、提督と呼ばれる男に、嫌味を散々、言われた。
それから、三日ほど経過した日の夜、食事をフェロル港の酒場で取っていた時のことだった。
「大佐、随分とお困りの様子だね」と、低い声の女が声をかけてきた。
この女が、大佐を本当に心配しているのだろうか。
単に、そう見えただけかもしれないし、面白がっているのかもしれない。
だが、女は声をかけてきた。
「あぁ、クレマンティーヌか! 羽振りも良さそうじゃないか」
「あはは、それは、どうも。それより、大佐、どうかしたのかい?」
ラフな話し方だが、この女はフランスの金持ちで、フェロル港には頻繁に稼ぎに来ている。なので、大佐とは顔見知りなのだ。
「分かっているだろう? イギリス連中の略奪行為だ。かなりの損害が出ている。
今では、デンマーク人やドイツ人まで、イギリスやオランダで私掠船登録して、スペイン商船を襲っている」
「取り締まるのは大佐たち海軍の仕事なので、相談には乗れないわね。でも……」
「『でも』って、何か案でもあるかな?」
「実は、イギリスが毛織物を、バルト海の商人と取引きするみたいなの……」
「なるほど、それを略奪すると」
「略奪となるとハードルが高くなるけど、邪魔をする程度のことなら、ふふッ」
「ほう、策があるのか?」
「多少の効果がある程度ならということよ」
「多少なのか……」
「まあ、聞きなさいよ」
そして、クレマンティーヌの話を聞いたダニエルは、
「どの程度、効果があるかわからんが、試してみよう」と、答えたのだった。
その時、一人の海兵が店の中に入ってきた。
「大佐、お戻りください。イギリスの私掠船が、まっすぐこちらに向かってきます」
「何だと、私掠船が海軍基地を襲撃するだと」
「はい、イギリスの私掠船、“The key to the future”号です」
何故、この船が大西洋を仕切っているポルトガルとスペインの領海を堂々とわたっているのか?
それは、このガレオン船には必殺技といえる武器を装備していた。
一国の海軍すら、いくら所有しているだろうか? という代物である。
それは68ポンド砲、通称:カノンロイヤルとかダブルカノンと呼ばれている強大な破壊力を持つ大砲だ。
しかも射程距離は、1600mはある。
そんな必殺の武器を船首に三門も装備したこのガレオン船は、正面切ってのタイマンの殴り合いなら、海軍艦にも負ける気はしなかった。
そして、一隻のスペインの商船を襲って、我らはヨーロッパに向かっていた。
ここは、フェロル大西洋方面基地。
「ダニエル大佐ッ」
「提督、お呼びでしょうか」
「大佐、海賊が好き放題しておるようではないかッ。これは君の管轄ではないのかね」
無論、そんなことはダニエルと呼ばれる男は、百も承知であった。
イギリスやオランダなど、反スペイン国家が私掠船制度を使い、スペインの商船を襲うようになり、堂々と海賊行為を行うようになってきた。
我がスペインも私掠船制度を作り、対抗しているが、押されているように感じる。
そうなのだ。
スペインやポルトガルの方が植民地が多く、商船が活発に動いているため、イギリスやオランダで私掠船登録する方が儲かるのだ。
「クソッ。エリザベスめ」
そして、今や、イギリスやオランダで私掠船登録する海賊船は、イギリスやオランダ以外の船も多くいる。
「クソめ」
ダニエル大佐は、提督と呼ばれる男に、嫌味を散々、言われた。
それから、三日ほど経過した日の夜、食事をフェロル港の酒場で取っていた時のことだった。
「大佐、随分とお困りの様子だね」と、低い声の女が声をかけてきた。
この女が、大佐を本当に心配しているのだろうか。
単に、そう見えただけかもしれないし、面白がっているのかもしれない。
だが、女は声をかけてきた。
「あぁ、クレマンティーヌか! 羽振りも良さそうじゃないか」
「あはは、それは、どうも。それより、大佐、どうかしたのかい?」
ラフな話し方だが、この女はフランスの金持ちで、フェロル港には頻繁に稼ぎに来ている。なので、大佐とは顔見知りなのだ。
「分かっているだろう? イギリス連中の略奪行為だ。かなりの損害が出ている。
今では、デンマーク人やドイツ人まで、イギリスやオランダで私掠船登録して、スペイン商船を襲っている」
「取り締まるのは大佐たち海軍の仕事なので、相談には乗れないわね。でも……」
「『でも』って、何か案でもあるかな?」
「実は、イギリスが毛織物を、バルト海の商人と取引きするみたいなの……」
「なるほど、それを略奪すると」
「略奪となるとハードルが高くなるけど、邪魔をする程度のことなら、ふふッ」
「ほう、策があるのか?」
「多少の効果がある程度ならということよ」
「多少なのか……」
「まあ、聞きなさいよ」
そして、クレマンティーヌの話を聞いたダニエルは、
「どの程度、効果があるかわからんが、試してみよう」と、答えたのだった。
その時、一人の海兵が店の中に入ってきた。
「大佐、お戻りください。イギリスの私掠船が、まっすぐこちらに向かってきます」
「何だと、私掠船が海軍基地を襲撃するだと」
「はい、イギリスの私掠船、“The key to the future”号です」
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