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おしまいの後

袴田雄太 ◎

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 こんにちは八雲 寧々です。
 尾台さんの隣に座る事務員ですが、いかんせん存在が空気すぎて皆さんに気付かれません。
 まあモブなのでこれからも誰の目にも触れず、尾台さんのいい匂いだけ吸って生きていきます。
 趣味はBがLしている姿を愛でる事や描くことです、これは尾台さんのお役のにも立てていると思います、袴田君からたまに睨まれますが止めません。

 そしたら、ある日の午後、隣の尾台さんが眉間を寄せて唸っているじゃありませんか。
 尽かさず眼鏡を直して話掛けてみる、わ、私に何かできることはないかな!




「うーん……」
「ど、どうしました? 尾台さん!」
「うぅぅうーん」
「そんな、ろくろ回して」
「え! 回してたかな?!」

 尾台さんは手を止めて瞼を開けて私を見てきて。

「してましたよ【それは限りなくフリーダムでアジャイルそしてイノベーティブであり、シュリンクされたパジェットをどのようなスキームで獲得していくのか、そのオポチュニティマティーマネジメントがこそが鍵です】みたいな顔してました」
「めっちゃろくろ回すヤツそれ!!」
「で、どうしたんですか」
「ああ、えっと……」

 すると、スッとある場所を指差して私もその先を見る。


「ピ!!」
「やっぱり寧々ちゃんもそんなリアクションすると思ってたよ」

 動揺してしまって落ちそうになった眼鏡を戻して、はい! 二人で口元書類で隠す!!!
 そこには袴田君と桐生さんが仕事の話してて、あのちょっと!! 桐生さん袴田君の肩に手置いちゃったりなんかして袴田君もイヤがねんgldんvfhd;ws、bん;:s:。mbgm;¥。

 



「待って待って大丈夫!? 寧々ちゃん眼鏡グルグルしちゃってるよ!」
「こ、これは……あの」
「ほ、ほら! 寧々ちゃんもろくろ回してるじゃん!!」
「完成間近ですね」
「芸術品ですよね」

 そのあの、対照的な二人が並んでのどうしようこれ…………。








 とてもイイ!!!







「尾台さんの前で言うのも……と思うんですが、私非常にアリ寄りの…………アリです!」
「桐生さんのヒーロー感と袴田君の草食感(偽)いいよね……」

 とりあえず、メモメモ、って思ったけど!
「ヤダどうしよう尾台さん、こんな絵を鞄に忍ばせてたら午後お仕事集中できない! な、何か他の事考えないと!」
「え? ああ、そうだね! 直ぐ口元緩んじゃうもんね! ええっと……そうだな、アレ! さっき寧々ちゃん手見てニコニコしてたよね? あれ何?」
「手を見て?」
「そうそう、左手上げてじっと見てなかった?」

 言われて手を見てみて、ああそれは……。
 うう、それもそれで恥ずかしいけど……。

「あの……それは」
「うん、何?」
「私も結婚したらここに指輪するんだなって思って見てたただけです」
「おおお……」
「名前も辰巳寧々になるのかな……とか」
「ほう…………………んんん?!!!」


 ふぅーんと尾台さんは頷いてたのに最後に何か思いついたようにハッとして頬を両手で押さえた。

「え? 尾台さんこそどうしたんですか?」
「いや、今凄いのキちゃって…………」
「何ですか! 気になる!!!」
「マジ凄いよ寧々ちゃん、あのさ…………」

 目を泳がせる尾台さんの顔を覗き込んだら、震えた唇が。


















「桐生雄太……」







「?!!!!!!!!」

「ほら! 何かシックリくるでしょう?!!!」
「大発見じゃないですかッ!!!!」
「袴田陸!」
「しゅごいぃい!!」
「しゅごくないです気持ち悪いので止めて下さい総務の袴田雄太です。尾台さんそろそろ怒るよ」
「ヒッ!」

 いつの間にか背後に立っていた袴田君が眼鏡キラってしながら尾台さんの頭鷲掴みにしてて、私もスクっと背筋を伸ばす。

「もちろん、桐生さんはお仕事に対して非常に勤勉で誠実な方なので俺も評価してますよ、でもねから、変な妄想するの止めて下さい」
「だだだだ、だってピッタリだと思ったんだもん! ね? 寧々ちゃん!!」
「私は辰巳雄太も推してますよ!」
「僕は桐生絵夢が一番しっくりくると思ってるよ、尾台」
「てめーオイ桐生、一回シメるから表出ろ」
「ひゃだ! 袴田君格好いいけど暴力はいけません」









※今晩、袴田君一部取り下げを行います。
DL等、必要な方は宜しくお願いします。





それでは、現状の袴田君、さようなら。
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