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寧々ちゃんまだまだ寵愛中
杵と臼
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「うーん……」
開け放たれた物置を前に小首を傾げると、荷物を整理しながらクリスマスツリーを閉まっている辰巳さんの背中が、
「あら、悩ましい吐息だね。もう少しツリー出しておきたかった?」
「いえいえ、終わったらサクッとしまわないと! 今度はお正月の準備にワクワクしてますから」
「寧々ちゃんと始めての年越しだね僕も楽しみ。簡単なものだけど、お節も一緒に作りましょうね」
「はい!」
「祖母に教わったアーモンドの田作り、とっても美味しいよ」
「食べたーい!! 作る!」
おっきな背中に飛び付いたら、後ろからドロ君が箱を持って来た。
「はい、これで飾りの箱もしゅーりょ! ……っつかさあ、本当使えねえ姉貴だな、少しくらい手伝えよ」
「あ、ごめんなさい」
「ドーラ、寧々ちゃんはちゃんと僕を応援してくれていたよ。物を運ぶだけが仕事じゃないでしょ。ケガすると危ないから寧々ちゃんにはつまようじより重たい物は持たせないって決めてるんだ」
「決めんなよ、どんだけ過保護極めてんだ。それじゃ自分の赤ん坊も抱けねえじゃねえか」
お?! って眼鏡持ってキラッってする!
「何です?! ドロ君は早く甥っ子ご所望なんですぅ!??」
「いい叔父さんなりそうだよねえ」
「何甥っ子って決めつけてんだよ」
「私も辰巳さんと13歳差ですし、年の差とか気にしませんから!」
「はあ? あ? お前何考えてんの?! そういうのもいける口なの、マジきんもい! ねえお兄ちゃん!! 別れた方がいいよ! この眼鏡危険!!」
「大丈夫、お兄ちゃんも割と電波系の危ない眼鏡だから分かり合えてる」
後ろからMy godが抱き締めてくれて、えっへんってしとくけど、どう考えても私達の子供にメロメロになるドロ君しか想像できないな。
「それよりも聖夜にミニスカートを履いた可愛らしいサンタさんが来てくれてね? これはもう授かったなって思ったんだけど、写真見ま」
「ダメダメダメダメ!!!」
辰巳さんはポケットからスマホ出して、ヒャアダ!! 待ち受けネネサンタにしてる!! おバカ! ってポケットに戻して、義弟の冷たい視線が痛いです。
「それで寧々ちゃんさっきは何で、うーんってしてたの?」
「う?」
見上げたら額にキスされて、ドロ君は舌打ちしながら、荷物を奥に運んでる。
「物置見渡して残念そうな溜め息漏らしてたでしょ」
「ああ、それは…………残念というか、杵と臼ないんだなって」
「杵と臼?」
「そうです! なんかありそうだったから、お正月とか? お餅ついてそうなお家じゃないですか」
「ああ……」
辰巳さんは目を逸らして……そしたらドロ君が、
「あったぞ昔。町会で使ったヤツ買い替えるって古いのを親父が貰ってきた」
「へえ、それどうしたんです?」
「ちょっとドロ」
ドロ君は腰を叩いて物置から出て伸びをして。
「じゃあ正月に皆で餅搗こうってなって、家族とちょっと近所の子供集めてさ。臼に熱湯張って木慣らして餅米蒸かして、ばーちゃん達が大根おろしだ納豆だ餡子だ海苔だって色々準備してたら、兄貴が素振りするって杵で振り上げて、臼ブッ叩いて割った」
「え」
「ふぅん? ちょっと僕の記憶にないな」
「兄貴18歳。「ドロこうやって杵を使うんだよ」って臼真っ二つにかち割って、へえそうやって使うんだ~って間違った知識を得た8歳の冬。でもその直後、英語と日本語とロシア語で一斉に怒られる兄貴を見て、あ、やっぱ違うんだって思った」
「あれって割れるもんなんですね?!!」
顔上げたら眼鏡直してて目合わせてくれない。
「まあ、お古だからね、きっとヒビが入っていたんだと思います僕引きこもりの高校生だから力なんて本を捲る位しかなかったし」
「まあそんなんで一度も使わず捨てたな」
聞いた事ない辰巳さんの一面が聞けて嬉しい。倉庫を閉めたら辰巳さんは私の頭をポンポン撫でてきて私は振り返って、クリスマスにあげた超お似合いのマフラー直してあげる。
「それじゃ用も済んだし買い物にでも行こうか?」
「お買い物?」
「だって欲しいんでしょ? 杵と臼」
「わーい!」
「今度は正しい杵の使い方教えてくれよな」
開け放たれた物置を前に小首を傾げると、荷物を整理しながらクリスマスツリーを閉まっている辰巳さんの背中が、
「あら、悩ましい吐息だね。もう少しツリー出しておきたかった?」
「いえいえ、終わったらサクッとしまわないと! 今度はお正月の準備にワクワクしてますから」
「寧々ちゃんと始めての年越しだね僕も楽しみ。簡単なものだけど、お節も一緒に作りましょうね」
「はい!」
「祖母に教わったアーモンドの田作り、とっても美味しいよ」
「食べたーい!! 作る!」
おっきな背中に飛び付いたら、後ろからドロ君が箱を持って来た。
「はい、これで飾りの箱もしゅーりょ! ……っつかさあ、本当使えねえ姉貴だな、少しくらい手伝えよ」
「あ、ごめんなさい」
「ドーラ、寧々ちゃんはちゃんと僕を応援してくれていたよ。物を運ぶだけが仕事じゃないでしょ。ケガすると危ないから寧々ちゃんにはつまようじより重たい物は持たせないって決めてるんだ」
「決めんなよ、どんだけ過保護極めてんだ。それじゃ自分の赤ん坊も抱けねえじゃねえか」
お?! って眼鏡持ってキラッってする!
「何です?! ドロ君は早く甥っ子ご所望なんですぅ!??」
「いい叔父さんなりそうだよねえ」
「何甥っ子って決めつけてんだよ」
「私も辰巳さんと13歳差ですし、年の差とか気にしませんから!」
「はあ? あ? お前何考えてんの?! そういうのもいける口なの、マジきんもい! ねえお兄ちゃん!! 別れた方がいいよ! この眼鏡危険!!」
「大丈夫、お兄ちゃんも割と電波系の危ない眼鏡だから分かり合えてる」
後ろからMy godが抱き締めてくれて、えっへんってしとくけど、どう考えても私達の子供にメロメロになるドロ君しか想像できないな。
「それよりも聖夜にミニスカートを履いた可愛らしいサンタさんが来てくれてね? これはもう授かったなって思ったんだけど、写真見ま」
「ダメダメダメダメ!!!」
辰巳さんはポケットからスマホ出して、ヒャアダ!! 待ち受けネネサンタにしてる!! おバカ! ってポケットに戻して、義弟の冷たい視線が痛いです。
「それで寧々ちゃんさっきは何で、うーんってしてたの?」
「う?」
見上げたら額にキスされて、ドロ君は舌打ちしながら、荷物を奥に運んでる。
「物置見渡して残念そうな溜め息漏らしてたでしょ」
「ああ、それは…………残念というか、杵と臼ないんだなって」
「杵と臼?」
「そうです! なんかありそうだったから、お正月とか? お餅ついてそうなお家じゃないですか」
「ああ……」
辰巳さんは目を逸らして……そしたらドロ君が、
「あったぞ昔。町会で使ったヤツ買い替えるって古いのを親父が貰ってきた」
「へえ、それどうしたんです?」
「ちょっとドロ」
ドロ君は腰を叩いて物置から出て伸びをして。
「じゃあ正月に皆で餅搗こうってなって、家族とちょっと近所の子供集めてさ。臼に熱湯張って木慣らして餅米蒸かして、ばーちゃん達が大根おろしだ納豆だ餡子だ海苔だって色々準備してたら、兄貴が素振りするって杵で振り上げて、臼ブッ叩いて割った」
「え」
「ふぅん? ちょっと僕の記憶にないな」
「兄貴18歳。「ドロこうやって杵を使うんだよ」って臼真っ二つにかち割って、へえそうやって使うんだ~って間違った知識を得た8歳の冬。でもその直後、英語と日本語とロシア語で一斉に怒られる兄貴を見て、あ、やっぱ違うんだって思った」
「あれって割れるもんなんですね?!!」
顔上げたら眼鏡直してて目合わせてくれない。
「まあ、お古だからね、きっとヒビが入っていたんだと思います僕引きこもりの高校生だから力なんて本を捲る位しかなかったし」
「まあそんなんで一度も使わず捨てたな」
聞いた事ない辰巳さんの一面が聞けて嬉しい。倉庫を閉めたら辰巳さんは私の頭をポンポン撫でてきて私は振り返って、クリスマスにあげた超お似合いのマフラー直してあげる。
「それじゃ用も済んだし買い物にでも行こうか?」
「お買い物?」
「だって欲しいんでしょ? 杵と臼」
「わーい!」
「今度は正しい杵の使い方教えてくれよな」
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